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JB Press 2015.11.13(金) 柯 隆
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45251
「お腹いっぱい」になった中国人が次に求めるもの
手に入れられないのは民主主義の土壌が備わっていないから
だいぶ前に、ある大学の日本人教授が筆者に
「今の日本人の学生に経済成長とは何かを説明するのは本当に難しい」
と語った。
おそらく、20年もデフレが続いたために、日本の若者は経済成長を実感することができなくなったのだろう。
一方、中国では急激な経済成長が30年も続いた結果、
一人っ子の若者たちは貧困がどういうものかを知らない。
40年前の中国はまだ毛沢東時代の末期にあり、経済が破たん状態にあった。
食糧をはじめとするほぼすべての消費財は不足しており、配給制が実施されていた。
40年前の中国人が夢見ていたことはただ1つ、
腹いっぱい食べられるようになること
だった。
1976年、毛沢東の死去とともに、毛沢東夫人の江青女史をはじめとする「四人組」が逮捕され、鄧小平が復権した。
最高実力者となった鄧小平は「改革・開放」政策を推し進め、
国民に「小康生活」(そこそこの生活レベル)の実現を約束した。
「小康生活」は決して“リッチ”な生活とはいえないが、それでも毛沢東時代に比べると豊かな生活の実現を期待することができた。
腹いっぱい食べられるようになることを夢見て、人々は懸命に働くようになった。
80年代に入ると中国人の夢はもう少し膨らみ、「日本製の家電(カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機)を持つこと」になった。
90年代初期、都市部の住民のほとんどはその夢を実現した。
そして、2000年頃には農民の半分ほどがこの夢を実現した。
ちなみに、今でも中国には依然として2億人ぐらいの貧困層がいる。
習近平政権が掲げる新たな政策目標は、2020年に全面的に小康社会を実現することだ。
それは、中国社会から貧困を撲滅することを意味する。
■自由を求める富裕層が頭痛の種に
20年も景気停滞を喫した日本人は、もういちど経済成長を味わいたいはずである。
アベノミクスは日本人のそうしたニーズに応えるために、GDP600兆円の達成、希望出生率1.8の実現という成長戦略を打ち出している。
冷静に考えれば、いずれも簡単には実現できない目標である。
もちろん実現しなくても問題にはならない。
なぜならば、そのときは安倍政権がすでに交替したあとだからだ。
一方、習近平政権は目標とする「全面的な小康社会」を2020年までに実現しなければならない。
習近平政権は2022年まで続く予定なので、任期内に政策目標を実現する必要がある。
しかし、習近平政権は厳しい現実に直面することになるだろう。
貧困層はもちろん豊かな生活を送りたいと考えている。
富裕層も裕福な生活を送りたいと考えている。
だが、富裕層はそれだけでは満足しない。
裕福であると同時に「自由」な生活が欲しいのだ。
自由を求める富裕層は、共産党の一党支配の政治体制と対立してしまう。
習近平政権の執政方針は、社会を厳しく管理しながら経済成長を目指すことである。
つまり、共産党政権を持続しながら経済成長を図ることである。
共産党の利益と人民の利益とが対立した場合、躊躇なく共産党の利益を優先することになる。
■民主化を妨げる政策を一貫して実施
中国では、短大以上の教育を受けた人は総人口の2割未満である。
国民の半分は初等教育以下の教育しか受けていない。
中国では、民主化を実現する土壌が備わっていないといえるかもしれない。
また中国は法治国家ではないとよく指摘されるが、その原因の1つとして、中国の教育水準が低いため法治の意識が十分に向上していないことが挙げられる。
では、なぜ台湾では民主化が実現したのだろうか。
まず台湾では、戦後に教育水準の向上が図られた。
日本の植民地時代に築かれた教育基盤と社会基盤は民主化の実現に大きく貢献したと思われる。
なによりも、台湾は戦後、鎖国政策を取らなかった。
それに対して、中国大陸は毛沢東時代の27年間に厳しい鎖国政策が取られたうえ、民主化の啓蒙活動がほとんど行われなかった。
「改革・開放」政策以降、中国の大学では先進国の価値観が広がりを見せたが、中国政府は一貫してそれを封じ込めた。
例えば、鄧小平の時代には「ブルジョア自由化」を反対するキャンペーンが繰り広げられた。
そのなかで民主化と自由化に理解を示した胡耀邦は失脚した。
また江沢民政権の時代には愛国教育が強化された。さらに胡錦濤政権になってから、徐々に言論統制が強化された。
それを受けて習近平政権は、共産党の指導体制をさらに強化している。
このように共産党は、民主化と自由化に逆行する政策を一貫して実施してきた。
おそらく今後も本格的に民主化、自由化を進めることはないだろう。
■「権利」意識は高まったが・・・
今の中国人に何が一番ほしいかと尋ねると、都市部の人たちは自由に「自分の権利が侵されない生活」と答えるだろう。
豊かになった中国人は自分の権利を明確に意識するようになった。
この点は中国社会の進歩といえる。
ただし、自分とは関係のないことについて、多くの中国人は依然として無関心のようだ。
例えば、国内のどこかの川の水質が汚染されていても、自分の住居のそばでなければ無関心である。
それは自分の権利と無関係だからだ。
中国の法学者、弁護士やジャーナリストは「公民社会」の構築に取り組んでいる。
「公民」とは自由、民主と人権を強く意識する存在であり、自分と直接関係のない事象についても社会責任を果たす存在である。
中国政府は、こうした「新公民運動」が反政府運動の温床になるのではないかと警戒し、活動家の多くを拘束している。
だが悲しいことに、中国人の大多数は新公民運動についてほとんど理解していないうえ、無関心な態度を取っている。
ここで10~20年後の中国社会を展望しても、民主主義体制の実現はほとんど期待できない。
中国には民主主義の土壌がまだ備わっていないからである。
民主主義体制においては、多様な価値観が共存しながら常に均衡と不均衡を繰り返していくが、
法による統治(the rule of law)によって極端な不安定化が避けられる。
一方、専制政治では強い権力によって社会が統制されるため、一見安定するように見える。
しかし、そのパワーバランスがいったん崩れてしまうと、社会は極端に不安定化する。
この観点で中国の今後を展望すれば、とても楽観視することはできない。
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サーチナニュース 2015-11-20 13:18
http://biz.searchina.net/id/1594817?page=1
中国人の需要の満たし方が分からない
需要はブランドから品質へと移り変わり=中国メディア
人件費の上昇などを背景に、中国から撤退するメーカーが近年増えつつあるものの、中国が今なお「世界の工場」であることは間違いなく、中国国内では非常に多くの種類の製品が生産されている。
さまざまな製品が中国国内で生産されている以上、中国人はそうした製品を入手しやすいのではないかと考えるのが普通だが、それではなぜ中国人旅行客はわざわざ国外で消費を行い、中国国内でも入手できる製品にいたるまで「国外製」を求めるのだろうか。
中国メディアの新華社は15日、中国のネット通販サイトでは爪切りや歯磨き粉といった日常品にいたるまで個人輸入の対象になっていることを指摘。
さらに、2014年に中国人が国外で消費した金額が1兆元(約19兆3400億円)を突破
したことを伝え、
「中国の製造業はより良い物を求め始めた中国人の需要をどのようにして満たせば良いのか」
と疑問を投げかけた。
記事は、中国人が国外で行う消費について、「近年はこれまでは明らかな変化が見られる」と伝え、以前は高級ファッションブランドなどのぜいたく品が消費の中心であり、「ブランド名」が重要だったとしながらも、現在は「品質」が重視されるようになってきていると論じた。
さらに、時計など一部のぜいたく品は同じ製品であっても中国国内のほうが価格が高いことを指摘する一方、価格差は中国人が国外で消費する理由の1つに過ぎないと指摘。
むしろ、中国国内で生産されている中国製品はコスト上昇によって価格も上昇しているにもかかわらず、品質やブランド力は価格の上昇に見合うほど向上しておらず、コストパフォーマンスが低下していると論じた。
中国製品のこれまでの最大の強みであった価格優位が薄れるなか、
中国の消費者たちが国外で消費を行うことは中国人消費者の心が中国製品から離れていることを示す。
経済成長の鈍化が叫ばれる中国だが、中国製品の品質が向上すれば消費者は中国国内で消費を行い、内需も拡大するだろう。
中国製品の品質向上は中国の経済成長に向けた1つの重要な取り組みにつながるかもしれない。
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サーチナニュース 2015-11-20 12:54
http://biz.searchina.net/id/1594814?page=1
中国が高速鉄道は作れて、
使いやすい温水洗浄便座は作れない理由=中国メディア
インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画において受注を決めたのは日本ではなく中国だった。
中国案が採用されたことに複数の要素が関係しているにしても、中国の科学技術が非常に高いレベルにあることは間違いない。
しかし、中国人がはるばる日本までやってきて日本製の電気炊飯器や温水洗浄便座を買い求めている事実について、中国メディアの中国メディア大河网は、高速鉄道や大型旅客機を造れる中国がなぜ、中国国民の心を引き付ける炊飯器や温水洗浄便座を造れないのかと問題を提起し、その理由について論じている。
まず記事は1人の中国人として
中国の製造業が造りだす温水洗浄便座が日本製に及ばないのは
「中国人の生活に深く根付くある価値観に原因がある」
と主張。
中国の農村部の人びとが人生で目指すのは立派な家を建てることであるとし、立派な家は自分の「顔」であると同時に成功のシンボルでもあり、そのためなら出稼ぎやローンをいとわないと主張。
成功のためなら苦労も厭わないし、子どもを教育や自分の健康などは「小さなこと」にすぎないと論じた。
つまり、
中国人にとって立派な家とは「メンツ」であり、
メンツこそ中国人にとっては生活の些細な点よりもはるかに重要だとし、
こうした考え方が中国人に深く根付いている価値観だと主張。
こうした価値観があるからこそ、
高速鉄道や大型旅客機などメンツの立つ製品を製造する一方で、
使いやすいボールぺンや温水洗浄便座を造りだせない原因であると論じた。
中国では確かにペン先の細い、使いやすいボールペンは入手しにくい。
また温水洗浄便座が人気だと言っても、実際に自宅に温水洗浄便座を設置できているのはすでに裕福になった一部の中国人だ。
だが、BMWやアウディなどの高級車は非常に多く見かけるが、中国人が自家用車にお金をかけるのも自動車が自分の地位を象徴し、「メンツ」を示すツールでもあるからだ。
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レコードチャイナ 配信日時:2015年11月24日(火) 4時13分
http://www.recordchina.co.jp/a123765.html
日本のボールを使用して年間400億本のボールペンを製造する中国
=「これで世界の製造強国だと言うとは面の皮が厚い」―中国ネット
2015年11月22日、中国中央テレビは中国版ツイッター微博(ウェイボー)で、中国では多くのボールペンが製造されているものの、その利益は少ないと伝えた。
中国では年間400億本近くのボールペンが製造されているものの、その利益は1本あたり1分(約2銭)にもならない。
なぜなら、ボールペンのボールなどの部品で日本が利益を上げており、設備でスイスが利益を上げているからだ。
つまり、中国にはハイレベルのボールやインクを製造できる核心技術がないということだ。
これに対して中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。
「結局のところ中国には加工工場としての役割しかない」
「改革開放から何十年もたったのに、いまだに世界の代理製造工場なのか」
「同じことを20~30年前から言っているような気がするが、いまだに変わらないんだな」
「研究開発をしたがらずにひたすら模倣する。
だから成功した企業とは永遠になり得ない」
「ボールペンのボールすら作れないのに世界の製造強国などと言うのだから、面の皮が厚いことこの上ない」
「中国のどこに核心技術があるというのだろう」
「ボールペンの製造技術すらないとは驚いた!
てっきりボールペンは中国が発明したのかと思っていたよ」
「でも今どきボールペンを使う機会なんて少ないけどね」
「日本製品ボイコットを主張する人たちはボールペンも使えなくなるな」
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世界ではほとんどボールペンで、学校の筆記用具だけがシャープペンのように思うが、中国ではホールペンは使われていないのだろうか。
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レコードチャイナ 配信日時:2015年11月23日(月) 20時40分
http://www.recordchina.co.jp/a113823.html
中産層が2億人を突破か、不動産に過剰依存する傾向―中国
2015年11月19日、参考消息網は記事
「中国中産層は2億人を突破か、資産は不動産に過剰依存」
を掲載した。
クレディスイスの報告書「グローバル・ウェルス・リポート2015」によると、
中国民間の総資産は22兆8000億ドルと日本を抜き、米国に次ぐ世界2位となった。
また、中産層の数も1億900万人で世界一となった。
2位は米国の9200万人。
この中産層の人数が果たして正しいのか、議論が起きている。
クレディスイスの報告書は2000年の社会科学院報告書による全世帯数における中産層の比率をもとに算出された推定値にすぎない。
この15年間で中産層の比率が増えていることも考えられる。
中国家庭金融調査(CHFS)によると、
中産層の比率は青年人口の約20%とクレディスイスの統計の約2倍だという。
この試算を採用すれば中国の中産層はすでに2億人を突破している。
また、中国の中産層の資産構成には大きな偏りがあるのも特徴だ。
資産の約80%が不動産で、金融資産の比率は「10.8%」にとどまっている。
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