2015年11月18日水曜日

中国政府転覆計画?:そんな動きが現れたはじめた中国、まだまだお粗末だがはじめの一歩になるかも

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サーチナニュース 2015-11-17 22:17
http://news.searchina.net/id/1594482?page=1

項羽の子孫名乗る男、
「影の軍団」結成して政府転覆図る  
TNT火薬で爆破準備=中国

 中国で「項羽」の子孫を自称する男が「影の軍団」を結成し、政府を転覆させる計画を進めていたとして、21人が警察に身柄を拘束されていたことが分かった。
 警察は爆発物および爆発物の原料を合わせて50キログラム、押収したという。
 中国人民広播電台(中国人民ラジオ)、新華社などが報じた。

 男の名は項逢選で41歳、広東省広州市内で洗濯店を経営していた。
 SNSを利用して「同志」を募っていた。
 警察は3月になり、ユーザーからの通報があったので気づいたという。

 項容疑者はSNSを通じて、「武装蜂起で現行体制を覆し、民主憲政の道をもたらす」などと宣言。
 “理念”に共鳴した者が具体的連絡方法を求めた。
 インターネットを利用していただけに、「共鳴者」の所在は中国のさまざまな場所で、受け入れられた者は広州まで行き、項容疑者の洗濯店で寝泊まりし、食事もあてがわれていた。

 項容疑者は自らのグループを「民選党」とも称し、自分は「司令官」や「総統」と称し、気に入った配下を「功臣」として、「官職」と「爵位」を与えていたという。

 項容疑者は爆発物および爆発物の原料を合わせて50キログラム集めていたが、一味には爆発技術に詳しい者や金属加工の技術に詳しいもの、法律関連の仕事の経験者もいた。
 警察関係者は、身柄を拘束した者はいずれも、社会おける地位が低く、仕事も結婚生活も順調ではなかったと説明。
 さらに犯罪歴のある者も多かったという。

 項容疑者らはまず、資産家を誘拐して多額の身代金を資金として、人の多く集まる場所を爆破して社会を混乱させようと計画していたという。
 爆破計画を担当していた者は警察に対して
 「彼(項容疑者)には思想があった。
 私はこのような状況では行動せねばならないと信じた」
と供述したという。

 警察は8月、項容疑者の経営する洗濯店に踏み込み、項容疑者を含む幹部7人の身柄を拘束。9月30日には、その他の14人の身柄を拘束したという。

**********

◆解説◆
 「項羽の子孫」、「官職と爵位」、「政府転覆」など、いかにも「トンデモ事件」ではあるが、
 中国社会が抱える問題点を思えば、かなり深刻な事件とも言える。

 まず、中国には生活や仕事などの現状に強い不満を持つ人が多いことだ。
 改革開放政策における「負け組」になってしまった人と言える。
 しばらく前なら、経済の高度成長という背景があり「敗者復活」の夢も持ちやすかったが、現在は経済の成長が鈍化している。
 そうなれば、「自分の苦境は体制が悪い」、さらに
 「いかなる手段を使っても現体制を変えねばならない」との発想
にもなりやすい。

 項容疑者はインターネットを利用した。同調者を集めやすかった代わりに「あまりにも語り過ぎた」ため、異常さを感じた一般ユーザーが警察に通報した。
 しかし、もっと巧妙な方法で、過激な考えをする者のグループが結成されている可能性は、完全に否定する方が難しいだろう。

 「おかしな思想に取りつかれた者らの犯した、特異な犯罪」
とだけ理解したのでは、過激思想を持つグループが出現しやすい社会の状況という上記事件の本質を見誤る恐れもある。日本でもオウム真理教が一連のテロや殺害事件を起こした例がある。

 過激派組織「イスラム国(IS)」も当初は同じ傾向を持つグループのなかで特別に大きな組織ではなかったが、混乱するシリアで、勢力を急激に拡大させた。



 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2015年11月18日(Wed)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5595

失敗に終わった新疆政策
失われた中国政府の寛容さ

英フィナンシャルタイムズ紙は10月13日付で、中国の西進政策に関して、北京駐在のトム・ミッチェル記者による、新疆ウイグル自治区の現状についての分析を掲載しています。
Getty Imagesより

■自治と寛容の統治から強硬路線への転換

 すなわち、新疆は習近平政権の「新シルクロード」プロジェクトの要である。
 しかし、新疆は現在、暴動の温床となっており、中国政府のフラストレーションと悩みの種である。
 それは中国政府の政策がもたらした結果でもある。
 中国がインフラ整備を通してユーラシア大陸の通商と繁栄の再興を夢見るのであれば、まず新疆を安定させなければならない。
 しかし今の所、政府は民族の不満を助長しているだけの現行政策を変えるつもりはないようだ。

 新疆は中国にとって極めて重要な資源産出地域である。
 その上、資源が豊かな中央アジアへの玄関口でもある。
 そのこともあって、中国政府は新疆に多大な投資を行ってきた。
 しかし、それは新疆の不満を沈静化することにはならなかった。
 中央政府は、「民族分裂主義」、「宗教過激派」、「テロリズム」と戦っているというが、これらの暴力行為は政府の戦略に由来すると言う者もいる。
 1990年代中葉に策定された「七号文件」は、公安主導による宗教統制を強化し、1980年代の自治と寛容を強調する政策から強硬路線の民族政策へと回帰した。
 政治的弾圧と経済的支援という、硬軟混じりの新しい政策が画定され、今日に至るまで強化されている。

 今日の新疆において、警察と軍の存在感が際立っており、至る所で厳重な警備が敷かれている。
 2009年7月5日の暴動ですべてが変わり、この地域は暴力の発生と軍事化を繰り返す負のスパイラルに陥ってしまった。
 ウイグル族の多くの者は標準語である中国語を話せないために、良い仕事を漢族に奪われている。
 新疆における漢族の割合は、この60年で6パーセントから40パーセントを超えるまでになっている(それでもウイグル族は43パーセントを占めている)。
 オックスフォード大学のレザ・ハズマスは
 「硬軟混じりの政策は、
 教育水準の割に就業機会が少ないこと、
 政治的な代表の欠如
というウイグル族社会の二つの主要な不満を解消することに失敗した」
と話す。

 王力雄という著名な政府に批判的な人物は、政府の新疆政策は宗教的寛容と政治的自治を強調するウイグル族の中の穏健な声を消滅させるという結果をもたらしたとする。
 王は
 「政府は人々を下僕か敵かの二択で考えている。
 彼らは中間にいる者と接することができない」
と話す。

出典:Tom Mitchell,‘China’s Great Game: New frontier, old foes’(Financial Times, October 13, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/60f33cf8-6dae-11e5-8171-ba1968cf791a.html#axzz3oyN90JXv

*   *   *

■ムスリム世界との関係占う新疆政策成否

 この論評は、正確な分析であると思います。
 中国の新疆ウイグル政策決定者は、歪曲された自己中心的な視点の制約を受けており、異文化に対する知識不足という大きな限界を持っています。

 新疆の少数民族問題は、チベットよりはるかに困難です。
 チベットは本質的にチベットに限定され、国際的広がりを欠きます。
 しかし、
 新疆のウイグル族は、民族的にも宗教的にも大きな国際的コネクションを持ち得ますし、現に持ち始めています。
 さらに、チベット族が628万人なのに対し、ウイグル族は1000万人を越えます。

 中国がさらに西進すれば、その地域に存在する現実の諸問題に関与せざるを得ず、そこでの対立抗争に必然的に巻き込まれることになります。
 大昔のシルクロードは、中国の富を目指して異邦人が自己責任で中国にやってきたのですが、今度は自分たちが出かけて行こうとしています。
 中国は最近ロシアのシリア空爆を支持し、支援することを決めたようですが、中国のこの地域の問題への関与の深化と国内でのウイグル族の圧迫の継続は、中国とムスリム世界との関係をさらに複雑化させるでしょう。

 同時に、中国が現行の新疆政策を変えない限り、新疆の状況は悪化し続けるでしょう。
 しかし、習近平自身、昨年4月に新疆を訪問した際、発展を通じる民政の向上は強調しましたが、新疆政策の根本には手を付ける気配はありませんでした。



レコードチャイナ 配信日時:2015年11月20日(金) 16時0分
http://www.recordchina.co.jp/a123419.html

仏記者「ウイグルは非情な弾圧を受けている」、
中国の反テロ姿勢の矛盾指摘
=中国メディア「この記者の偏見の深さには震撼させられる」

 2015年11月20日、中国共産党系メディア・環球時報は、
 「フランスメディアが中国の反テロ問題を歪曲(わいきょく)している」
と伝えた。

 フランスの雑誌Le Nouvel Observateurは18日、駐北京特派員のUrsula Gauthier記者の記事を掲載した。
 記事は、テロ問題における中国の姿勢を「ダブルスタンダードだ」と批判。
 中国国内で
 ウイグル族によるテロが起きている原因は、「ウイグル族が非情な弾圧を受けていることにある」
と指摘するものだ。
 記事はその例として、
 イスラムの名前の使用が禁じられていることや、
 ラマダン(断食月)の期間に人々の目の前で食事をさせること、
 男性がひげを伸ばし女性がベールで顔を覆うと宗教テロリストであるとみなすこと
などを挙げた。

 環球時報はこれに対し、「すべて現実を歪曲したもので、ウイグル族の学者も怒りを示している」と指摘。
 「Gauthier記者は、中国国内のテロで犠牲になった人に同情する気持ちは起きないようだ。
 罪のない民への殺りくがフランスでは罪になり、中国では“理解できる”などという道理はない。
 中国メディアがISを非難したにもかかわらず、フランスメディアは恩を仇で返した上、優越感に浸っている」
とし、
 「この記者の偏見の深さには震撼させられる」
と痛烈に批判している。

 同記者は昨年3月にも、
 「中国人にとってウイグルは殺人犯の同義語になっている」
 「ウイグルの若者は完全に消えてしまった」
などとする記事を書いている。



ロイター 2015年 11月 20日 18:17 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/11/20/china-security-xinjiang-idJPKCN0T90SX20151120

中国が新疆で「テロリスト」28人殺害、9月の炭鉱襲撃を確認

 [北京 20日 ロイター] -
 中国の新疆ウイグル自治区政府は20日、9月に自治区内で起きた炭鉱襲撃事件に関与した「テロリスト」28人を治安部隊が殺害したと発表した。
 事件は「外国の過激派」の指示によるものだとしている。

 自治区の公式メディアである新疆日報は、9月18日にアクス地区の炭鉱が襲撃され、警官5人を含む16人が死亡、18人が負傷したと伝えている。
 新疆日報による事件の報道はこれが初めてだが、米政府系放送局ラジオ自由アジアが2カ月前に伝えたところでは、少なくとも50人が死亡した。

 新疆日報は、襲撃メンバーらが2008年以降、過激派の動画を見ていたほか、外国の過激派組織に6回接触して戦略指導を求めていたとしている。



テレビ朝日系(ANN) 11月21日(土)0時5分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20151121-00000000-ann-int

 警察当局が容疑者28人殺害 新疆ウイグル自治区



 中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区で起きた炭鉱襲撃事件で、地元メディアは、警察当局が容疑者28人を殺害したと報じました。

 中国メディアによりますと、この事件では武装集団が炭鉱を襲撃し、住民や警察を含め、合わせて16人が死亡しました。
 容疑者は逃走しましたが、56日間に及ぶ捜索の結果、1人が投降し、容疑者28人が射殺されたということです。
 中国外務省・洪磊副報道局長:「このようなテロに、中国は当然、断固たる打撃を加えなければならない」
 さらに、中国メディアは、武装集団は海外に拠点を置くグループの指揮下にあったと報じています。
 事件に関してアメリカのメディアは、殺害された容疑者のなかに女性と子ども7人が含まれていたと報じています。


サーチナニュース 2015-11-26 10:55
http://news.searchina.net/id/1595260?page=1

新疆ウイグル「テロ活動に共産党員幹部も参加」=現地責任者

 中国共産党中央紀律検査委員会の機関紙「中国紀検監察報」は24日付で、同党新疆ウイグル自治区委員会の徐海栄常務委員(写真)の署名による、自治区内に存在する問題と対策を紹介する文章を掲載した。
  文章は、自治区内の党員幹部の間で動揺が発生しており、テロ活動を支持したり参加する者もいると論じた。

 徐常務委員は同自治区内における規律問題の責任者でもある。
 文章の題は
 「政治規律を厳正にし、長久の統治と安定を実現」
とした。
 中国共産党中央及び各地の規律監督部門は現在、いわゆる「腐敗問題」の対策に力を入れているが、文章は主に自治区内における独立運動やテロの問題を扱った

 自治区の現状について
 「汎イスラム主義、汎チュルク主義の影響で、まさにテロ活動の活発期にある」
との見方を示し、
 「分裂(独立志向)と反分裂の戦いは長期、複雑、先鋭、場合によっては極めて激烈」
などと表現。
 危機感を強くにじませた。

 自治区内の党員幹部については、「全体的には良好」と表明した上で、
 「一部の党員幹部には依然として、政治規律と政治の枠組みを守らないという問題がある」
と認めた。

 文章は、党員幹部個人だけでなく自治区内の「上級施策決定部署」が、
 「無責任にも党中央や自治区党委員会の要求に反することを公開であれこれ言う」
と表明。
 一部の党員幹部は「統一の維持」という大原則についても動揺し、
 「甚だしい場合にはテロ活動を支持したり、テロ活動に参加する場合もある」
と論じた。

 同文章は、共産党員の「信仰問題」にも触れた。
 中華人民共和国憲法は「中華人民共和国公民は、宗教信仰の自由を有する」と定めている。
 中国共産党は、
 共産党員以外が宗教を信じることについて「合法的に認められた宗教を信じ、合法的な活動をするのは自由」
としている。

 ただし共産党員については「マルクス・レーニン主義を信奉することと宗教を信じることは両立しない」として、特定宗教を信じることを禁止している。

 徐常務委員署名による文章は、一部党員幹部が
 「理想と信念を動揺させ、信じる対象を混乱させ、マルクス・レーニン主義でなく鬼神を信じている」
と論じた。

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◆解説◆
 徐海栄常務委員は重慶市の出身。
 四川省や重慶市で道路交通部門の行政に携わった後、交通警察、警察、規律監査部門に従事し、2012年には中国共産党重慶市委員会の常務委員に昇格した。
 新疆ウイグル自治区に転任したのは2015年4月。

 中国の少数民族地区では、地元出身の少数民族が行政のトップを務めることが珍しくない。
 ただし、共産党のトップは他地域出身者が就任することが一般的で、結果として漢族である場合がほとんどだ。
 共産党は行政・立法・司法などすべてを含めて「指導する」ので、共産党トップは行政のトップより立場が上。


ニューズウイーク 2015年11月27日(金)15時55分 高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/11/post-4167.php

中国の「テロとの戦い」は国際社会の支持を得るか
世界で相次ぐテロ事件を好機に、新疆での過激派摘発、
ウイグル人の宗教・文化的弾圧を進めている

 「テロとの戦い」は複雑怪奇な連鎖反応を示している。

 10月31日のロシア機墜落、11月12日のレバノン・ベイルートでの連続自爆テロ、そして翌13日のパリ同時多発テロなど、相次ぐ事件は世界に大きな衝撃を与えた。
 欧州では難民受け入れの是非を問う声が高まったほか、フランス軍によるイスラム国への空爆、トルコによるロシア軍機撃墜、さらにはシリアの反政府武装勢力によるロシア軍ヘリコプターへの攻撃と連鎖反応を引き起こし、情勢はさらに混迷の度合いを増している。

 シリア、イスラム国、そして欧米の情勢に注目が集まるなか、中国も「テロとの戦い」に名乗りを挙げているのはご存知だろうか。
 中国の王毅外相は15日、G20首脳会合のために訪問したトルコで、新疆ウイグル自治区の過激派との戦いも世界的な「テロとの戦い」の一部であると発言し、国際社会に共同戦線の必要性を訴えた。
 世界を揺るがす「テロ」を奇貨として、中国は新たなプロパガンダを展開している。

■自国民に火炎放射器、ウイグル人28人を"殲滅"

 人民解放軍の機関紙「解放軍報」は11月23日、「"反テロの先鋒"人民の平和を守る」と題した記事を掲載した。
 新疆ウイグル自治区の対テロ特殊部隊の戦いを生々しく描いたものだ。
 その一部を引用しよう。

>>>>>
 ちょうどこの時、トランシーバーに偵察情報が入った。テロリストの形跡を発見した、と!
 タカが獲物を発見したかのように、特殊部隊隊員たちは血をたぎらせた。
 暴徒らは断崖絶壁の洞穴に隠れている。
 攻めづらく守りやすい地形だ。幾度かの説得は無駄に終わった。
 催涙弾やスタングレネードが次々と打ち込まれたが動きはない。
 夕方となり空は次第に暗くなりつつある。
 「火焔放射器を使え!」劉琳隊長の命令が下るや、一条の怒りの炎が洞窟に吸い込まれていった。
 隠れ家を失った10人あまりのテロリストどもが刀を手にし、凶悪な様相で特殊部隊に襲いかかってくる。
 「バン、バン、バン!」王聖小隊長は速やかに発砲し、あっという間に3人を撃ち倒した。
 その後、他の隊員と協力しテロリストを全滅させたのだった。
<<<<<

 この戦いの場所、時間について詳細は記載されていないが、おそらく11月上旬の新疆ウイグル自治区での山狩りに関するものだろう。
 9月にウイグル人が同区アクス地区の炭鉱を襲撃し、16人が死亡する事件が起きたが、その後、当局は大規模な山狩りを展開。
 自首した1人をのぞく、メンバー28人を殲滅したと11月20日に発表した。
 残党をすべて射殺したという最後の戦いを描いた記事である可能性が高い。

 殺人を犯した襲撃犯とはいえ、自国民に火炎放射器をぶっ放すという恐ろしい話をなぜ官制メディアが報じたのだろうか。

 それだけではない。
 自由アジア放送(RFA)などの米メディアによると、パリ同時多発テロ事件が起きた後から中国のSNSでは、ムスリムに対するヘイトスピーチなどが散見されるようになったという。
 厳格な言論統制をしく中国では、ヘイトスピーチも削除の対象だ。
 実際、一定期間後、こうした書き込みはネットから消えたという。

■中国語強制、ラマダン禁止、ビール一気飲み等の弾圧がテロの土壌に

 世界的にテロへの注目が高まる中で、ウイグル人に対する弾圧、支配強化に対する大義名分を手に入れたい。
 それが中国の動機だろう。

 実際、新疆ウイグル自治区では新たな規制が導入されたとニューヨーク・タイムズが報じている。
 中国にはグレート・ファイヤー・ウォール(GFW)と呼ばれる厳しいネット検閲が存在するが、ヴァーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)などの壁越えツールを使うことで検閲を回避することが可能だ。
 ところが11月中旬以降、新疆ウイグル自治区では、スマートフォンでVPNを使用すると携帯電話会社から回線を停止される事例が相次いでいるという。

 回線を復活させるためには、派出所で壁越えツールは二度と使用しないと誓約する必要がある。
 中国のSNSでは「インスタグラムが見たかっただけなのに諦めた」などの書き込みもあった。
 他地域ではこうした規制は導入されていないだけに、新疆ウイグル自治区を狙い撃ちした規制強化は現地の人々の不満を高めるものとなるだろう。

 今回のVPN規制に限らず、中国政府はさまざまな弾圧を繰り返してきた。
 中国語での教育普及を強化し、母語の教育機会が奪われた。
 公務員や国有企業などのエリートコースを歩みたければ中国語は必須となる。
 さらに大学生や公務員に対してはラマダン(断食月)の禁止が強要された。
 昼間に人前で食事するよう強制されるという「踏み絵」もあったという。
 さらにヒゲやヒジャブの禁止といったファッションの規制や、厳格なイスラム教徒ではないことを示すためにビール一気飲みイベントを開催するといった冗談にしか思えないような話まで伝えられている。

 約200人が死亡したと中国政府が発表した2009年のウルムチ騒乱、市民31人が死亡した雲南省昆明市の通り魔事件、今年9月の鉱山襲撃事件......厳しい弾圧が不満を高め、新疆で襲撃事件が相次ぐ背景となっている。
 さらに宗教的・文化的自由を求めて国外に脱出するウイグル人も少なくない。
 歴史学者の水谷尚子氏によると、トルコには3万人もの亡命ウイグル人が居住していると推定されているが、その一部はシリアの反政府武装勢力やイスラム国に参加しているという(『文藝春秋』2015年8月号)。

 パリ同時多発テロ事件がそうであったように、中国でも軍事訓練を受けたシリアからの帰国者によるテロが起きたとしても不思議ではない。
 どのようにして未然に防ぐか、テロが起きる土壌そのものをいかになくしていくかが課題となる。

 中国は「テロとの戦い」では国際的な協調を打ち出しているが、一方で国際社会が掲げる人権などの普遍的理念についてはきわめて冷淡な対応を見せている。
 国際社会と足並みをそろえるならば、「戦い」ではなく「理念」ではないだろうか。


サーチナニュース 2015-12-07 11:45
http://news.searchina.net/id/1596257?page=1

覆面の100人超が政府機関を襲撃 施設完全破壊、
職員縛り上げ氷点下20度の砂漠に放置=内モンゴル

 中国メディアの中国新聞社などによると、内モンゴル自治区西部のアラシャン盟エジナ(漢字表記は「阿拉善盟額済納)旗(解説参照)で6日午前3半ごろ、覆面をした100人あまりが政府機関の総合執法検査站を襲撃した。
  襲撃者は施設を完全に破壊し、職員を縛り周辺の砂漠に置き去りにした。

 エジナ旗の陳鉄軍副旗長が明らかにした。
 襲撃されたのは同旗内の馬蓮井総合執法検査站。襲撃者は職員に唐辛子スプレーを浴びせ、頭から袋をかぶせた上で殴打したという。
 その上で、縛り上げ、周囲の砂漠に放置した。
 当時の気温は摂氏氷点下20度程度だったという。

 襲撃者は、検査站の電源を切断し、監視カメラなどの施設を破壊した。
 駐車していた車両11台も破壊した。
 さらに職員の携帯電話、衣服、その他の金品を持ち去ったという。
 襲撃で、職員と職員を守ろうとした周辺住民の13人が負傷した。
 うち6人は重傷という。

 襲撃された総合執法検査站が行っていた業務は不明だが、名称からして、家畜の伝染病発生の際の家畜処分などを含め、行政関連の管理や取り締まり活動をしていたと考えられる。

**********

◆解説◆
 「盟」と「旗」は内モンゴル自治区にある行政区画。
 モンゴル語はそれぞれ「チョールガン」、「ホショー」。
 「盟」は、省の下にある「市」と同格。
 「旗」はその下の「県」と同格。

 モンゴル人は古来から遊牧生活を営んだ。
 当てもなくさまよっていたのではなく、おおむね冬の宿営地と夏の宿営地を往復していた。
 しかし、気象条件などさまざまな理由で、遠隔の地に移動することもあった。

 清朝時代、モンゴル民族を管理するために、居住・放牧地域を「旗」ごとに固定。
 さらに、まとまった「旗」を管理するために「盟」を設置した。
 「盟旗制度」は中華人民共和国になっても続いたが、1990年代後半からは、「盟」を「市」に変更する例が続いた。
 モンゴル人からは「漢地化を進める動き」として警戒や不満も出ている。

 内モンゴル自治区は東部には森林や草原、農耕地が多いが、西部では砂漠が多い。
 写真はエジナ旗内にある「黒城」と呼ばれる遺跡。
 9世紀に西夏が同地を統治した時期に作られたとされる。




サーチナニュース 2015-12-10 08:33
http://news.searchina.net/id/1596606?page=1

中国の歴史的「少数民族分断策」が遠因か 
内モンゴルの「当局出先機関」襲撃事件



 中国メディアの京華時報は9日、内モンゴル自治区西部で発生した当局の出先機関襲撃事件について、「歴史的な土地争いが背景」にあったと紹介する記事を発表した。
 記事は直接触れていないが、中国政府が1960年末までに実施した「少数民族分断策」が事件の遠因にあったと読める。

 アラシャン盟エジナ(漢字表記は「阿拉善盟額済納」)旗内にある地方政府の出先機関である総合執法検査站が6日午前3時半ごろ、覆面をした役100人が襲撃された。京華時報記事は、事件のきっかけは「土地争い」との見方を示した。

 襲撃された総合執法検査站があるエジナ旗は内モンゴル自治区の最西端にあり、甘粛省と境界を接している。
 1958年になり境界が定められ、エジナ旗は甘粛省に「割譲」された。
 79年に再び「内モンゴル自治区」に編入された。
 しかし、エジナ旗と境界を接する金塔県側は人口が多くなり、エジナ旗に進入したり開墾する例が発生した。
 総合執法検査站の重要な職務は「越境開墾」の取り締まりだった。
 その検査站を、金塔県側の約100人が襲撃した。

 中国の地方行政は縦割りの傾向が極めて強く、省(自治区は省扱い)と省の、地方行政のつながりは基本的にないと考えてよい。
 金塔県側の人にとっては、「あの土地は甘粛省だったのに、開墾が認められない」と不満を持つのが自然だ。

 そもそも問題だったのは、1969年の「甘粛省へのエジナ旗割譲」だ。
 同時期に、内モンゴル北部のフルンボイル盟(面積約25万5000平方キロメートル)が黒龍江省に、東部のジリム盟(面積約3000平方キロメートル)が吉林省の一部にされるなど、内モンゴル自治区は面積が従来の3分の2程度に縮小された。

 ジリム盟は戦前に満洲国の一部であったこともあり、「分断」に全く理由がなかったわけではない。
 しかし、早い時期の内モンゴルでは、レベルの高い人材のかなりの部分が満洲国の教育を受けたジリム盟出身者だった。
 内モンゴル自治区は一時的に、重要な人材供給源を絶たれることになった。

 10年後に、内モンゴル自治区の「原状回復」の措置が取られたことは、中央政府が「分割」でマイナス面が出たと判断したことを意味する。

 中国政府が少数民族に対してさまざまな優遇策を適用してきたことは事実だ。
 例えば、産児制限の適用を緩くしたり、大学進学のチャンスを拡大するなどだ。
 しかしその反面、極めて厳しく管理・監視し、「民族的主張」が出ないよう抑制している。

 内モンゴルの場合、オロチョン族やエベンキ(エヴェンク)族の自治を掲げる行政区があるが、モンゴル族の人々の間では、
 「モンゴル族よりも人口がさらに少ない少数民族の自治を旗印にすることで、少数民族としては勢力が大きいモンゴル族の影響力を削ごうとしている」
との見方が珍しくない。



朝日新聞デジタル 12月12日(土)11時25分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151212-00000021-asahi-int

ISに加勢疑いで拘束、最多は中国人 
トルコで報道


●トルコ国内で拘束された外国人

 過激派組織「イスラム国」(IS)に加わるため、違法にシリアに入ろうとしてトルコ国内で拘束された外国人は、今年1月から12月までで計913人に達した。
 最多は中国人の324人。
 次いでロシア人99人、
 パレスチナ人83人、
 トルクメニスタン人63人
だった。
 トルコのドアン通信などが11日報じた。

 中国人が最も多かった背景には、東南アジアからトルコを経由してISに加わろうとする、
 中国の新疆ウイグル自治区出身者の存在がある
とみられる。

 ドアン通信などによると、913人のうち半数近い435人はシリアに越境する直前に拘束された。
 そのほとんどの現場は、シリアと国境を接するトルコ南部キリス県だという。

 拘束された外国人の多くは、大量の現金、防弾チョッキ、携帯電話、パソコンなどを所持。
 トルコ治安当局の調べに対し、シリア国内にいる親族に会うため越境しようとしたと述べているという。
 一部の者は、ISから爆弾製造の訓練を受ける目的だったと語っている
という。

 トルコとシリアの国境は約911キロ。
 トルコ政府がその全てを厳重に警備することは人員的に困難とされる。
 その他に拘束された外国人は、
 アフガニスタン人57人、
 インドネシア人44人、
 タジキスタン人23人、
 英国人19人、
 ドイツ人19人、
 フランス人18人、
 アゼルバイジャン人17人、
 韓国人6人
など。



JB Press 2015.12.16(水) 部谷 直亮
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45520

中国がテロに打ち勝てない理由
「漢民族のテロはテロではない」不可思議な線引き


●中国西部の新疆ウイグル自治区ホータンにあるショッピングモールの外で警備に当たる武装警察部隊隊員(2015年4月16日撮影、資料写真)。(c)AFP/GREG BAKER〔AFPBB News〕

 パリ同時多発テロ事件を奇貨として、中国政府は2つの事実を西側に認めさせようとしています。
 それは、
(1):国際テロは中国と欧米に共通する脅威である、
(2):中国によるウイグルやチベットにおける弾圧は、欧米の批判するような人権侵害ではなく、対テロ統一戦線に貢献するものであること、
です。

 実際、中国の王毅外相は11月15日のG20サミットで、
 「中国は、フランスのテロとの戦いを支持する。
 反テロに向けて力を合わせるべきであり、ダブルスタンダードを許してはならない。
 我が国による、東トルキスタンのテロ勢力への攻撃も国際対テロ活動の重要な一部とみなすべきだ。
 今こそ対テロ統一戦線を形成すべきだ」
と訴えました。
 習近平主席、国連大使、外交部報道官も同一の主張を相次いで繰り返しています。

 しかし、実は中国側こそテロの定義がダブルスタンダードであるという指摘が豪州の中国専門家から出ています。
 豪州のラトローブ大学の上級講師であり、中国の民族政策を専門とするジェームズ・リーボルド氏は、
 「中国は、漢民族のテロはテロとしてではなく犯罪と扱うのに、ウイグルやチベット人に対しては政治活動ですらテロとして扱っている。
 中国の対テロ統一戦線を形成すべきとの主張はおかしい」
と指摘しているのです。

■中国のテロの定義は民族別に行われる

 リーボルド氏は、12月7日に寄稿した論文で、次のように中国側の対テロ政策の矛盾とその背景を指摘しています。
 彼の主張を簡単にご紹介しましょう。

 パリ襲撃事件後、中国は自国の対テロ戦争を盛んに宣伝している。
 王毅外相は、
 「中国もテロの被害者であり、中国だけを対テロ戦争から除外する西側のダブルスタンダードはよろしくない」
と警告した。
 習主席は、イスラム国による中国国民の処刑を強く批判し、先日のAPECサミットで「テロは人類共通の敵」と位置付けた。
 しかし、実のところ、中国は国際基準と矛盾する定義で「テロ」や「テロリスト」という用語を使っている。
 彼らは、これらを民族によって使い分け、中国共産党のチベットやウイグルといった西部地域に対する強圧的で差別的な支配を正当化している。

 西側諸国はテロという言葉を
 「政治的、経済的、宗教的な目的のために、一般市民に対して行う恐怖を誘う暴力行為」
に対して適用する。
 一方、最近の中国は対テロ法案においてテロをより広く捉え、
 「国家の政策決定への影響、国家権力の破砕、国家分断などを目的とする考え、演説、ふるまいを含むもの」
としている。

 ウイグル族出身の経済学者イリハム・トフティや、チベット高僧のテンジン・デレッグ・リンポチェに対してテロと分離主義の罪状を宣告したように、中国政府にとって、平和的な政治活動と暴力的なテロ活動の線引きはしばしば曖昧である。
中国は公式声明において、チベット人やウイグル人に対してのみテロという言葉を使用する。
 テロリストのレッテルは、漢民族や他の少数民族による政治的な目的の暴力行為に対してはめったに張られない。

 例えば最近の中国では漢民族等による自爆攻撃や郵便爆弾による死傷事件が相次いでいるが、地方政府は、いずれもテロではなく「犯罪行為」として処理している。
 これは市民の動揺を防ぐためである。
 なぜならば、2013年の北京空港での車椅子男性による自爆事件がそうであったように、中国市民の同情を引くからである。

 一方、ウイグル人、チベット人による行為は、ナイフによる小規模な事件であっても政府当局と市民から速やかにテロというレッテルが張られてしまう。
 こちらは中国社会で同情を引くことはないからである。
 中国の宗教界は過激主義の問題を抱えており、ますますイスラム国とアルカイダのような海外テロネットワークの標的となっている。
 しかし中国にとってのテロリズムは、ウイグルとチベット地域における中国の支配を維持し、合法化するための概念およびレトリック上の道具のままである。

習近平とその他の当局者の言うテロとは、
 人類に対するグローバルな脅威ではなく、
 国内治安および政治的な不安定の1つ
しかないのだ。

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■中国共産党の認識ではテロを根絶できない

 以上のリーボルド氏の主張で興味深いのは、
 「中国政府が、漢民族によるテロをテロとして頑なに認めないのは、
 国内の不安定化を恐れているからだ」
と示唆していることです。

 つまり、多数派である漢民族が、政治目的をもってテロを引き起こしたという事実が周知の事実となれば、他の中国市民もそれを支持、もしくは同様のテロ行為に走りかねない。
 しかし、単なる個人的な怨恨等に基づく犯罪行為ならば影響は拡大しない・・・。
 そう中国政府が考えているというのです。

 そんな中国政府に適切なテロ対策を講じることができるのでしょうか。
 まず、できないでしょう。
 テロと一般的な犯罪を恣意的に区別する政策は、当局内部の異論や反発を引き起こし、対テロ政策の機能不全を起こします。
 中国共産党員であっても、さすがに正当性を擁護できない人間も出てくるはずです。

 実際に11月初旬、ウイグル自治区の党機関紙である新疆日報元編集長の趙新尉が「ウイグル問題に関して、党中央の要求に反対する言論を対外発表した」との理由で、党籍をはく奪されました。
 また同下旬には、党中央紀律検査委員会の機関紙「中国紀検監察報」が「テロ活動を支持したり、参加する幹部がいる」と指摘し、党内の思想統制を強化すべきとの論文を発表しました。
 このように共産党内で、恣意的なテロ対策への反発や混乱の兆候が出ています。

 この意味で、現方針を堅持する限り中国国内の漢民族やウイグル人等による「テロ」は今後も続くでしょう。何しろ、共産党幹部ですらテロを支持し、参加しているというのですから。

■日本は中国の主張の矛盾点を突くべし

 こうしたリーボルド氏の指摘を日本はどう考えればよいのでしょうか。
 彼の指摘で注目すべきは、
 中国の「対テロ政策」は結局のところ、
 国内のウイグル族を弾圧するための口実でしかない
という点です。

 中国は対外的には、イスラム原理主義に対抗する統一戦線の結成を訴えています。
 しかし実際には、中国はイスラム国を空爆していない唯一の国連常任理事国であり、しかも難民の受入や支援をほとんど行っていません。
 つまり、国際的な責務を一切果たしていないのです。
 これは中国にとってのテロが、実際には国際テロではなく、「国内におけるウイグル族によるテロ」でしかないことに起因するものです。

 中国のこうした姿勢に対しては、欧米メディアから既に批判が出ています。
 日本としても、中国は「対テロ統一戦線」を主張する前に、「国際の平和及び安全」を維持する常任理事国の責務を果たすよう追及するべきでしょう。
 今こそ、中国のテロの定義の矛盾を突いた、積極的な外交攻勢や広報外交が求められているのです。








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