2015年11月3日火曜日

信じられない速さで没落する韓国(1):「全面敗北」模様となってしまった朴政権の有り様:この3年弱は韓国経済を疲弊させるだけだった

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 日本というキツネが、中国というトラを苛立たせた。
 トラの威を借りて韓国というネズミが、キツネに挑んだが、シカトされてしまった。
 そして、アメリカというライオンがネズミを脅しはじめた
 この間そのため、韓国経済は断末魔の状態に陥ってしまった。
 ネズミは変節してキツネに媚するしか手段がなくなった、といったところか。
 パク・クネのこの3年弱は韓国経済を疲弊させる以外に何ももたらさなかった。


日本テレビ系(NNN) 11月3日(火)0時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20151102-00000099-nnn-int

 韓国大統領府の会見 批判避け前向きな内容



 安倍首相は2日、韓国で朴槿恵大統領と初めての首脳会談を行い、いわゆる従軍慰安婦問題についてできるだけ早い解決を目指して交渉を加速させていくことで一致した。
 冷え込んでいた日韓関係は改善に向かうのか。
 ソウルから藤田記者が伝える。

 日本政府の関係者は「会談では両首脳が特別感情的になる場面もなく、忌憚(きたん)のない意見交換を踏み込んで行った」と述べた。
 その上で、
 「長い時間をかけて、1つ1つの事柄を話し、全体的によい雰囲気で有意義な会談だった」
と評価している。

 「対話のドアは常にオープンだ」
と会談を呼びかけていた安倍首相からすれば、朴大統領がドアから部屋に入ってきて席に着いたということで、関係改善に向けてはずみをつけることができたという受け止めだ。

 韓国の大統領府は、
 「停滞していた歴史認識などの懸案の解決と両国関係の発展を真摯(しんし)に模索したことに意義があった」
と評価した。
 朴大統領が最も重視する慰安婦問題で安倍首相からこれまで以上に前向きな言葉を引き出すことができなかったにもかかわらず、一定の評価をする背景には、韓国の国内事情がある。

 韓国では、中国が日本との関係改善に動いたことから、外交的に孤立するのではという危機感が広がり、国民からも首脳会談を望む声が高まった。
 また、日米韓の連携を重く見るアメリカからも関係改善をうながされていた。

 こうした空気を受けて朴大統領は、
 「慰安婦問題で成果がない限り首脳会談はしない」
という従来の姿勢を転換して、会談に踏み切った。

 会談内容を説明する大統領府の会見では、日本への批判や刺激的な言葉づかいは避け、前向きな内容が目立った。
 日本側への配慮と同時に、国内向けに成果をアピールしたいという思惑が透けて見える。

 当面は経済分野など協力できるところから連携を強化しながら慰安婦問題の解決を模索する、というのが韓国政府のスタンスになりそうだ。



朝鮮日報日本語版 11月3日(火)8時38分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151103-00000709-chosun-kr

韓日首脳会談:安倍首相の南シナ海問題言及、
「韓国に嫌がらせ」と見る向きも

 日本の安倍晋三首相が2日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領との首脳会談で、米中間の確執原因となっている南シナ海問題に触れたと日本政府関係者が明らかにした。
  この関係者によると、安倍首相は南シナ海問題について
 「国際社会の共通の関心事。
 (中国が建設した人工島付近に駆逐艦を投入した)米国の行動は国際法に合致するもので、(日本は)すぐに支持を表明した」
と述べた。
 さらに安倍首相は
 「開かれた自由で平和な海を守るため、米韓と連携していきたい」
とも言った。

 安倍首相の南シナ海問題言及に関連、外交関係者の間では
 「米国のリバランス政策に積極的に参加する日本と、
 米中間であいまいな立場を取ってきた韓国の状況を対比させ、
 韓国を困らせようという意図がかいま見える」
という声も聞こえてくる。

 韓国側は当初、南シナ海問題に関する言及があったことを公表していなかったが、日本のメディアで報道が出たのを受けて一足遅れで認めた。
 大統領府によると、朴大統領は
 「韓国の利害関係が大きい南シナ海地域での航行と上空飛行の自由は保障されなければならない。
 紛争は関連合意や国際的に確立された規範に基づいて平和的に解決すべきだ」
という見解を明らかにしたという。

 安倍首相は会談後、日本の記者らに「さまざまな懸案について日本が主張すべきことを話し、韓国側の早急な対応を促した」と述べた。
 これに関連、毎日新聞など日本の各メディアは、安倍首相が
 「朴大統領をコラムで名誉毀損(きそん)したとして在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長が懲役1年6月を求刑された問題についても、懸念と遺憾の意を伝えたと見られる」
 「韓国が福島第1原発の事故を理由に水産物の輸入規制をしている問題で、改めて規制撤廃を要請した」
と報じた。

 一方、この会談では、両国の経済協力についても話し合われた。
 大統領府の金奎顕(キム・ギュヒョン)外交安保首席秘書官によると、朴大統領は
 「今後、韓国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を決定した場合は、既存の両国通商協力関係をTPPでも引き継いでいくよう期待する」
と述べた。
 安倍首相はこれについて関心を示したとのことだ。

 
 一方的に日本ペースで進んでいるように見える。
 韓国としては煮え湯を飲まされているみたいだろう。



現代ビジネス  2015年11月06日(金) 長谷川 幸洋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46233

 日中韓首脳会談、終わってみれば日本の圧勝だった!
 ~中韓の焦りは想像以上。
 安倍首相はどっしり構えていればいい


■習近平は焦っている

 日本と中国、韓国の首脳会談が10月31日から11月2日にかけてソウルで開かれた。
 日中韓の首脳がそろって会談するのは3年半ぶりだ。
 時間の空白はなぜ生まれたのか。
 そして、なぜいま首脳会談だったのか。

 会談を避けてきたのも再開に動いたのも、
 鍵を握っていたのは中国の習近平政権である。

 マスコミは首脳会談について連日、大報道を繰り広げた。
 日中韓については「自由貿易協定(FTA)の交渉加速や首脳会談の定例化で合意」、
 日中は「東シナ海のガス田共同開発協議の再開を目指す」、
 日韓は「慰安婦問題で交渉加速」
といった具合だ。

 それぞれの合意内容や首脳たちの表情はそれなりに詳しく報じられた。
 だが、そもそも今回、会談がなぜ開かれたのか、逆にこれまでなぜ長い間、開かれなかったのかについての分析はまったく不十分だったと言わざるをえない。

 それだけ長い間、開かれなかったのは、もちろん理由がある。
 その理由を探っていけば、これから3国の関係がどうなるか、日本はどうすべきかもおのずと見えてくるはずなのに、そんな問題意識はまるでないかのようだ。

 私に言わせれば、3国が交渉加速で合意した日中韓FTAや韓国の朴槿恵大統領がこだわった慰安婦問題などはサイドストーリーにすぎない。
 そんなことより、ずっと
★.3国首脳会談を避けてきた習政権が一転して再開・定例化に動いた意味
のほうがはるかに重要である。

 なぜ習政権が鍵を握っていたと言えるのか。
 中国に開く気がなければ、日中韓首脳会談は開けなかったからだ。
 よく知られているように、安倍政権は中国にも韓国に対しても、一貫して
 「日本はいつでも会談の門戸を開いている」
という姿勢だった。
★.日本が会談を避けた事実はない。

 韓国はどうかといえば、朴大統領はここ数年、異常なほど中国にすり寄ってきた。
 これまで朴大統領は習主席と実に6回も首脳会談を開いている。
 直近は2015年9月に北京で開かれた対日戦争勝利70周年記念の軍事パレードを参観した際の会談である。

 韓国が日本と緊張関係にあったのは事実だ。
 だからといって、中国が3国会談を開こうといえば、韓国は断れない。
 韓国は歴史的にも地理的にも、日中両国の狭間で生きてきた国だ。
 まして中国と異常接近している現状では、3国関係にかかわる主導権は中国が握っている。

 つまり、3年半にわたって3ヵ国会談を開けなかった最大の理由は、中国が拒否してきたから、というシンプルなものなのだ。

■中国はあまりに日本をナメすぎた

 なぜ中国が拒否し続けたか。
 習政権は2012年11月の発足以来、米国との関係を最重視する一方、安倍政権については敵視あるいは軽視していたからである。

 時系列でみると、事態が一層はっきりする。
 前回の日中韓首脳会談が開かれたのは、中国が胡錦濤政権だった2012年5月だ。
 その後、同年11月に習近平が中国共産党中央委員会総書記と党軍事委員会主席に就任して実権を握った。

 習政権は発足すると直ちに「軍事闘争の準備を進めよう」と陸海軍に大号令を発した。
 実際、12月には初めて尖閣諸島付近で中国のプロペラ機が領空侵犯した。
 翌13年1月には中国海軍の艦艇が海上自衛隊のヘリコプターと護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射する事件が相次いで発生した。

 これはほとんど交戦一歩手前の事態だった。
 交戦に至らなかったのは、日本の自衛隊側がぎりぎりの極限まで自制したからだ。

 同6月になると習主席は訪米してオバマ大統領と会談した。
 このときの大テーマは米国との縄張り分割論である。
 習主席は「太平洋は米中両国を受け入れるのに十分広い」という有名な台詞を吐いて、オバマ大統領に太平洋の縄張り分割を提案した。

「ハワイを分岐点に東は米国、西は中国の縄張りにして互いに尊重しよう」ともちかけたのだ(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/36121)。

 ところが、オバマ大統領は「日本が米国の同盟国であることを忘れるな」と釘を刺した。
 つまり縄張り分割案を拒否した。
 これは習主席にとって大きな挫折である。
 この後に起きたのが、同年11月の中国による防空識別圏の設定だった。

 これは主として日本を標的にした仕掛けだったが、米国を強く刺激した。
 米国は直ちに大型爆撃機2機を「識別圏内」に飛ばして、中国の一方的な設定を無視する行動に出た。
 このあたりから米中関係はぎくしゃくしていく。

 米国は当初、中国が提起した「新型大国関係」論にのりかかったフシがあったが、太平洋の縄張り分割論と防空識別圏設定をみて、警戒感を強めていった。
 ここまでの展開をみれば、当時の習政権の思惑ははっきりしている。

 中国にとって肝心なのは、あくまで米国との関係だったのだ。
 縄張り分割論で米国を抱き込むことさえできれば、日本も、ましてや韓国など取るに足らない。
 米国が「ハワイから西は中国の縄張り」と認めてしまえば、自動的に日本も韓国も中国の縄張り内に入る。
 あとは煮て食おうと焼いて食おうと中国の勝手になる。
 そういう思惑である。

 だからこそ、日中韓首脳会談など眼中になかった。
 「いずれ子分になる国との話し合いなど、する必要はまったくない」
という話である。

 付け加えれば、2012年11月の政権発足前後は、中国国内で反日運動が最高潮に達していた時期だった。
 9月11日に当時の野田佳彦政権が尖閣諸島の国有化を決めたからだ。

 日本が尖閣諸島を国有化したのは間違っていないし、そもそも日本の領土の話だから、中国がいかに憤激しようと筋違いである。
 そうであったとしても、中国は「尖閣は中国のもの」と言い続けてきたから、国内で反日運動が予想以上に盛り上がってしまった。
 それもあって日本と首脳会談を開くわけにはいかなかったのだ。

 本筋に話を戻すと、習主席が提案した縄張り分割論はオバマ大統領に拒絶されてしまった。
 防空識別圏の設定をきっかけに米中関係は冷ややかになっていく。
 そこで習政権としては対日戦略も練り直さざるをえなくなった。

 その結果、どうなったか。それが14年11月の安倍首相との例の「仏頂面会談」である。

■世界中に失笑された中国

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて開かれた初の安倍・習首脳会談は習主席にとってみじめな会談になった。
 ホスト国でありながら、ろくに言葉も交わさず礼を失した態度で安倍首相を出迎え、世界で失笑を買った。

 なぜ、そんな無礼な態度で接したかといえば、中国が根本的な戦略練り直しを迫られたからだ。

 自分が「日本などモノの数ではない」という態度をとり続け、とりわけ軍部に対しては政権発足直後から戦争準備をあおりたててきた手前、いまさらみっともなくて笑顔で首相を出迎えるわけにはいかなかったのである。

 それが証拠に、それから5カ月経った15年4月の日中首脳会談では、習主席はうってかわって愛想笑いをふりまいた。
 「会うのも2度目なら、みっともなさも少しは薄まるだろう」という話である。
 肝心の米国が思うようにならない以上、
 なんとか日中関係を打開しないことには東アジア外交の主導権を握れない
と悟ったのだろう。

 それから何が起きたか。

 まず日米両国は日本の安保関連法成立を先取りした形で防衛協力の指針(ガイドライン)を見直した。
 これは日米による南シナ海の警戒監視を視野に入れている(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/43504)。
 そのうえで15年4月の日米首脳会談では、日米が中国の脅威に共同で対処する方針を確認した。

 南シナ海における中国の人工島埋め立て・軍事基地化を念頭にオバマ大統領は「中国は間違っている」と国を名指しして批判し、安倍首相も「力による現状変更を許さない」と呼応した。
 その後、日本では安保関連法が成立した。
 これは中国の脅威に対抗するために日米同盟を強化するのが最大の目的である。

 続く10月には懸案だった環太平洋連携協定(TPP)も大筋合意にこぎつけた。
 TPPは単なる貿易自由化協定ではない。
 中国によるアジア太平洋の主導権構築を許さないという、すぐれて安全保障上の戦略に基づく枠組みである。

★.日米ガイドライン
 日本の安全保障法制見直し、それに
 TPP合意
が続き、アジア太平洋の国際秩序は大きく変わった。

 日米を軸にした中国包囲網の完成である。
 今回の日中韓首脳会談は、こうした文脈の中で開かれたイベントなのだ。

■実に単純な韓国の思考法

 もうあきらかだろう。
 反日運動とともにスタートした習政権は
 「日本など取るに足らない、オレたちは米国と縄張りを仕切るんだ」
と大風呂敷を広げてみたものの、米国の反撃に遭って自らつまづいてしまった。
 その挙げ句、面子を取り繕うために応じざるを得なくなったのが、今回の日中韓首脳会談なのだ。

 南シナ海をめぐる米中間の緊張も、この延長線上にある。
 
★.かつてはアジア太平洋全域の縄張り分割という妄想に
とりつかれていたが、
 いまは「南シナ海の支配」という少し縮小した妄想に
とりつかれているのだ。
 だが、実態は先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/46130)で指摘したように、中国は米国の駆逐艦派遣に事実上、手も足も出ない状況に追い込まれている。

 この核心部分を見過ごしてしまえば、首脳会談の意義は分からない。
 単に「3年半ぶりか、ようやく会ったのか」程度で終わってしまう。
 日本のマスコミ報道は大局観がまったく欠けている。

 以上を踏まえたうえで、韓国に触れよう。
 韓国は情けない国だが、現実的な計算もできる国だ。
 解決済みの慰安婦問題をいつまでもぐだぐだと持ち出すのは情けない。
 だが自分を取り巻く大国である日米中の風向きを読んで、さっと軌道修正するあたりは現実的なのだ。

 貿易で中国に依存する韓国は、中国が沈めば韓国経済も沈む関係にある。
 中国がバブル崩壊で沈んだ以上、自分たちが生き残るには日米重視に舵を切り替えざるを得ない。
 だからこそ環太平洋連携協定(TPP)にも入りたい。

 もちろん、北朝鮮に対峙する韓国は安全保障面で日米に依存しているという根本的な事情もある。
 そんな実利的背景の下で慰安婦問題とは対日交渉で値段をつりあげる材料にすぎない。
 だから、安倍政権はじっと様子をみていればいい。
 黙っていて、焦るのは韓国である。

 安倍政権は「TPPに入りたいなら慰安婦問題と水産品の対日輸入規制問題にケリをつけなさいよ」と言えばいいのだ。
 さらに言えば、韓国が「慰安婦問題を未来志向で最終的に解決したい」というなら、安倍政権は「世界中に作った慰安婦像を韓国政府の責任で撤去せよ」と要求すればいい。

 韓国が慰安婦像撤去に応じないなら、韓国は口ではともかく、本音は慰安婦問題を終わりにする意図がないという話になる。
 慰安婦像撤去に応じるかどうか、少なくともその努力を約束するかどうかが、韓国政府の本気度を測るリトマス試験紙になるだろう。

■この隙に日本は足場を固めればいい

 中国も焦っている。
 足元の経済が崩壊寸前であるのに加えて、権力闘争は激化する一方だ。
 加えて南シナ海の人工島周辺に米国のイージス駆逐艦が進入してきた。それでも護衛艦を追尾するくらいしかできず、一歩間違えれば、国内のタカ派から政権批判が飛び出しかねない状況だ。

 日中韓FTAの交渉促進を言い出してはみたものの、TPPが大筋合意した以上、FTA交渉が大きく前進する見通しは暗い。
 なぜかといえば、日本は当然、TPPを貿易自由化の基盤に据える一方、FTA交渉でもTPP合意の内容が事実上の基準になるからだ。

 中国とFTAを結ぶとなれば当然、知的所有権保護や投資保護が重要テーマになる。
 パクリが横行している中国はTPP水準で知的所有権を保護できないし、投資保護はもっと難しい。

 日本企業は対中投資促進どころか、バブル崩壊を目の当たりにして静かに中国からの撤退が始まっている。
 中国側は
 「逃げるなら事務所や工場はぜんぶ捨てていけ。
 撤退に伴う損害賠償も払え」
と要求するケースまであるようだ。
 まさに「泥棒に追い銭」である。

 そんな国とまともな投資保護交渉をするのは、どだい無理な話ではないか。
 そうであるとすれば、中国についても日本はじっと様子を見ていればいい。

 いま喫緊の課題は南シナ海情勢である。
 日本は自分の足元を固めつつ、米国や東アジア諸国、オーストラリアなどと連携を強めていくべき局面だ。
 中韓と無理に歩調をそろえていく必要はさらさらない。



Newsweek 2015年11月6日(金)17時30分 遠藤 誉
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/11/post-4081.php

日中韓関係と日本の課題

 日中韓首脳会談、日中首脳会談、日韓首脳会談、そして中台トップ会談と、ここのところ日本周辺をめぐる動きが目まぐるしい。
 このような中で、日本は何をすべきで、どういう位置づけにあるか、考察してみたい。

■中国にとっての日中韓――「脣亡歯寒」(唇なくば、歯寒し)

 3年半ぶりに日中韓首脳会談が開催されたこと自体は有意義であったと思う。
 開かれないよりは開かれた方がいい。

 この会談は「首脳会談」という名称はあるものの、習近平国家主席が出席する性格のものでなく、リーマンショックのあった2008年から温家宝首相が中国を代表する形で「日中韓サミット」の形で始まったもので、李克強首相(国務院総理)が出席するのは慣例上正常である。
 習近平国家主席が出席しなかったことが「格を落している」というわけではない。

 その意味、日中首脳会談は、安倍晋三首相と習近平国家主席が二度も単独で会っているので、そうきわだって「さあ、3年ぶりだ!」と大騒ぎすることではない。

 問題は韓国だ。
 韓国の朴槿惠(パク・クネ)大統領が慰安婦問題に関する国民世論に抑えられて、安倍総理との会談を開催する勇気を持ちえなかった。
 その一方で、何としても韓国を自分の側に抱き込みたい中国は、韓国に猛接近。
 米韓と日韓の関係を、できるだけ疎遠にして、
 中国側の防衛壁として韓国を位置づけたいと、中国は思う
ようになっていた。

 北朝鮮を訪問せずに、そして北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)が訪中することもなく、習近平国家主席は朴大統領の訪中を何度も受け入れ、かつ習近平自身が韓国を訪問したことは、まだ記憶に新しい。
 北朝鮮と中国の関係は、中韓国交正常化をした1992年から「寒い」関係にはなっていた。
 北朝鮮にとって最大の敵国である韓国と中国が仲良くするわけだから、北朝鮮にしてみれば「最大の裏切り」だ。
 だから、当時の金日成(キム・イルソン)は「中国がそういうことをするのなら、我々は中華民国と国交を結んでやる!」と激怒した。

 当時まだ生存していた鄧小平は「やるならやってみろ!」と激しく言い返した。

 北朝鮮は、軍事力から言って、勝てるはずがない。
 中国が対立していた旧ソ連は、この時すでに崩壊していたし、中国はアメリカともずいぶん前から国交を正常化している。
 北朝鮮は軍事的に勝ち目はないだろう。
 結局、中国による北朝鮮へのさらなる経済支援を引き出して、「冷え切った夫婦」のような関係を続けている。

 北朝鮮は、毛沢東時代から、実は中国を怒らせていた。
 金日成と旧ソ連のスターリンによる陰謀で、朝鮮戦争に駆り出された中国は、やむなく中国人民志願軍を北朝鮮に派兵し、多くの犠牲を払った。
 毛沢東の息子も、朝鮮戦争で戦死している。
 にもかかわらず、1953年に朝鮮戦争が休戦すると、金日成は自分の業績を讃えて北朝鮮内における権威を高めるべく、中国人民志願軍の貢献を薄めようと(ほぼ否定しようと)したのだ。

 毛沢東は激怒したが、このとき「脣亡歯寒」(唇がなければ、歯が寒い)という4文字熟語を用いて、耐えた。
 「脣亡歯寒」という言葉は、「互いに助け合うべき関係にある者同士は、一体であってこそ力を発揮することができるのであって、一方がいなくなってしまうと、もう片方も危くなること」を示す言葉だ。
 「唇が歯を保護してくれている。剥き出しになると、歯がやられる」
という、春秋時代からの教訓である。
 そのための「血の同盟国」ではあっても、中国寄りで改革開放を北朝鮮で進めようとした張成沢(チャン・ソンテク)が惨殺(公開処刑)されたあとは、中朝関係はいっそう険悪だ。

 しかし、この「唇」(北朝鮮)を捨ててしまうと、「歯」(中国)が寒い(危ない)。

 そこで中国は「歯」を守る「唇」として、北朝鮮を一応そのままにしておき、積極的に「韓国」を「活用」する道を選んだのである。
 歴史問題に関しては、すでに11月2日付の本コラム <日中韓首脳会談――中国こそ「歴史直視」を>で十分に述べたので、ここでは省略する。

■韓国にとっての日中韓と日韓
――北の脅威と米中の狭間で

 このような中国による「抱き込み戦略」は、アメリカにとって面白いはずもないだろう。
 アメリカと韓国の間には、れっきとした「米韓相互防衛条約」という軍事同盟がある。
 この米韓軍事同盟により、韓国は北の脅威から守られていたはずだ。
 それは朝鮮戦争(1950年~53年)において、アメリカが韓国側に付いて北の南下を食い止めてくれたので、53年7月に休戦となった直後に、
 「どうか、今後も韓国を北の脅威から守って下さい」
という趣旨で、同年10月に調印されたものである。

 ところが韓国は、朝鮮戦争においては北朝鮮の側に立って韓国を攻撃していた(敵国だった)中国と、旧ソ連崩壊に伴って国交を正常化し、2008年以降、急速な経済発展を見せる中国と、蜜月関係に入り始めた。
 日中韓首脳会談(指導者サミット)の枠組みができたのは、このタイミングで、特に2010年に中国のGDPが日本を追い抜くに至ってからは、蜜月度は強まっていった。

 朴槿惠は、大統領になる前から胡錦濤国家主席と会談しており、しかもそのときは中国語で会話し、くだけた雰囲気の中で食事を共にしたりしている。
 その朴槿惠が大統領になってからは、中韓蜜月度は、双方から急激に濃厚となってきた。
 中国は西側陣営から韓国を切り離し、歴史問題で国際世論を形成する絶好のパートナーとして韓国を積極的に「活用(利用?)」し始めた。

 オバマ大統領に、これ以上中国接近を続けるのなら、果たして米韓軍事同盟はどうなるのかといった趣旨の、韓国の覚悟のほどを朴大統領に問い詰めているとのこと。
 米中の間に挟まれた朴槿惠大統領は、「それも困るし」ということで、
★.いやいやながら、日韓首脳会談を、日中韓首脳会談という場を口実として開催した
のだろう。
 それは
★.少しでも親日的色彩を見せると、韓国国民から売国奴と罵られる危険性を回避した、せっぱ詰まって選択であった
と判断される。

 何しろ朴槿惠大統領の父親・朴正煕(パク・チョンヒ)(元大統領)は、かつて日本の元陸軍士官学校を優秀な成績で卒業した親日派。
 それゆえに暗殺されている。母親も暗殺された。
 だから朴大統領としては、親日色を強めれば、自分も暗殺されるであろうことを知っているので、米中の狭間で揺れ、特に安倍首相との会談を避けてきたものと判断される。

 それでも、ようやく行なった
★.日韓首脳会談は、あまりに中国と日本への対応を鮮明に分け過ぎた、非礼とも言えるもの
となっている。

 このようにギクシャクとした日韓関係は、やはり、いわゆる「慰安婦問題」で溝を残したままだ。

 ちなみに、筆者が2000年に日中韓の若者の意識調査を行なおうとしたとき、韓国側から「ぜひとも慰安婦問題に関する若者の認識」という項目を入れてくれという強い要望があった。
 その要望を中国側に伝えたところ、中国側の教育機関の教員は、
 「えっ? 慰安婦問題って何のこと?」
と尋ね、
 「教員さえ知らない項目を、若者の意識調査に入れてもらっては困る」
と筆者に抗議したものだ。
 それくらい、2000年の段階においても、中国ではまだ「慰安婦問題」というのは、大きな歴史問題として認識されていなかった。

 それを今では、中韓両国が連携して、ユネスコの世界記憶遺産に登録しようとしている。

■日本の課題と今後

 さて、最も難しい日本の課題と今後に関して言及しなければならない。
 以下、箇条書きにしてみよう。

1]. どんなに日中韓関係の改善を試みたところで、
 中韓、特に中国が歴史問題を引き下げることは絶対にない。
 日本は、そのことだけは覚悟しておかなければならない。

2].一方で、掌(てのひら)を返したように、韓国から帰国した李克強首相は、4日、中国を訪問している経団連の榊原定征会長ら、日中経済協会のメンバーと会談した。
 日本の経済界の訪中は毎年行われているものの、中国の首相との直接の会談は6年ぶりのことだ。
 これは明らかに日中韓首脳会談という枠組みの再開と関係している。

3].もっとも一方では、中国は経済の低迷に悩んでいるのも事実で、金融においても人民元の国際化など海外拡張ばかりを重視し、国内の貧富の格差や高齢化問題などを疎かにしている傾向にあり、その解決は焦眉の急だ。
 10月下旬に北京で開催された五中全会(第18回中国共産党大会 第五期中央委員会全体会議)において、来年3月から始まる第13次五カ年計画が決議された。
 それは中国の「二つの百年」のうちの一つである、2020年までの「中国の夢」「中華民族の復興」をめざしたものである。

4].この中で中国はAIIBや一帯一路以外に、
 ●.中国発のイノベーションと
 ●.人材開発
を強く打ち出している。
 中国の大学を世界一流の大学に持っていく
 「教育強国」戦略も、五カ年計画の中の一つだ。
 しかし、手っ取り早い方法として、イノベーションと人材開発に、ぜひとも日本の力がほしい。
 日本独自の技術水準はやはり高い。
 在米中国人留学生の博士たちが持ち帰ったコピペ技術とは、堅実性も発想も異なる。
 企業スパイとか特許侵害といった糾弾を受ける危険性もない。
 だから李克強首相は日本の経済界代表に
 「ビジネスのパートナーとして、日本の経済界に期待する」
と述べ、中国への投資拡大を呼びかけた。
 榊原会長は、日本から中国への投資が減少していることについて、
 「近年の政治・外交関係が影響している」
と指摘し、両国関係のさらなる改善に期待を寄せたようだ。

5].日中間では「戦略的互恵関係」が確認されているが、
 この「戦略的」は、「とりあえず、歴史問題や領土問題は脇に置いておいて、
 経済文化交流を友好的に進めましょう」というものだが、
 中国は「脇に置いた」歴史問題を日本に直接突きつけるのではなく、(それもするが、)先ずは国際社会の共有認識とすることによって、国際世論における思想的な対日包囲網を形成することに方針を転換した。

 習近平国家主席の夫人・彭麗媛氏は、ユネスコの「少女・女性教育促進特使」称号をボコバ事務局長から授与されている。
 ボコバ事務局長は習近平夫妻と「大の仲良し」なのだ。
 彭麗媛夫人を特使に推薦したのも、このボコバ事務局長だ。
 思想的戦闘準備はすでに整っている。

6].中国のこの戦略性に対して、日本にはほぼ「戦略がない」と言わざるを得ない状況
が続いている。
 92年の中国の領海法に対して、日本はその違法性を指摘すべきなのに、遺憾の意を表すだけで、それを是正する手段を講じて来なかった。
 そのことは11月4日付の本コラム「ASEAN国防拡大会議、米中の思惑――国連海洋法条約に加盟していないアメリカの欠陥」で論じた。
 日本は中国にもアメリカにも、堂々と上を向いて「ものを言う」姿勢を貫かなければならないだろう。
 また日本は、「気がつくと、中国にやられていた」という情況を生まないために、思想的な論理武装を強化しなければならない。

 不戦の誓いを大前提として、日中戦争における中国共産党が果たした役回りを直視し、共産党政権がいかにして誕生したのかという真相を、日本の問題として冷静に客観的に位置づけて、反省すべきは反省した上で、堂々と独立した一国家としての尊厳を守っていかなければならないのではないだろうか。
 それと同時並行した互恵関係でなければ、「中国による良いとこ取り」に終わってしまう。

 以上、日本政府に注意を喚起したい。



聯合ニュース 2015年 11月 10日(火)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2015/11/10/0400000000AJP20151110002500882.HTML

非公開のはずが… 
韓日首脳の発言 日本で相次ぎ報道

【東京聯合ニュース】
 韓国と日本の双方が非公開とすることで合意したとされる首脳会談の少人数会合での発言内容が相次いで日本のメディアで報じられている。
  韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と安倍晋三首相は会談の前半、約1時間にわたり外相らを含めた少人数会合を行った。

  読売新聞は10日付の記事で、安倍首相が旧日本軍の慰安婦問題をめぐり、ソウルの日本大使館前に設置されている少女像を撤去するよう求めたことなど、会合での発言を紹介した。
  また、安倍首相が冒頭、
 「日本国民が慰安婦問題で感じていることを率直に言わせてもらう。
 大統領も正直に話してもらっていいので、(話した内容は)口外しないことにしませんか」
と話したと伝えた。

 日本経済新聞も7日、慰安婦問題の解決案として韓国側が求めている法的責任について、安倍首相が
 「できないことはできない」と拒否したと紹介する
など、会談での両首脳の発言を報道した。

 韓国政府は日本メディアの報道について、「事実と距離がある」と表明するにとどめるなど、消極的な対応をしている。
 日本政府が慰安婦問題をめぐり都合の良い内容をメディアに公開し、それが既成事実として受け止められる側面を無視できない状況となっている。

 東京都市大の李洪千(イ・ホンチョン)准教授は聯合ニュースに対し、
 「両国の首脳が非公開を条件として発言した内容が片方のメディアに報道されるのは信頼の問題だと思う」
と指摘。
 「基本的な信頼が構築されないと韓日関係の回復が難しい状況で首脳同士が約束したことが守られなければ問題がある」
と語った。



ダイヤモンドオンライン 2015年11月10日 真壁昭夫 [信州大学教授]
http://diamond.jp/articles/-/81346

中国・韓国が日本との関係改善に追い込まれた事情

■背に腹は代えられず首脳会談に応じた中韓

 11月1日と2日の両日、日本・中国・韓国の首脳がソウルに集まり、約3年半ぶりの三ヵ国首脳会談が行われた。

 元々、三ヵ国首脳会談は2008年から12年まで定例的に開催されていた。
 その後、わが国と韓国との間で、李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島上陸や天皇謝罪要求などの問題が発生した。
 また、中国とは尖閣諸島をめぐる問題が顕在化し、日中韓三ヵ国の関係が悪化したこともあり首脳会談は開催されていなかった。
 その間、安倍首相は中国・韓国に対して開催を提案したものの、韓国からは慰安婦問題、中国からは領土問題を理由に両国に拒否されてきた。

 しかし、ここへ来て中国経済の減速が鮮明化し、それに伴い韓国経済にも減速の兆候が見え始めている。
 両国としては対日の建前は別にして、わが国との関係を修復し経済的なメリットを取ることを考えたのだろう。

 TPPが当初の予想よりも早期に大筋同意に至ったことも、中韓両国において無視できないファクターになっている。
 TPPによって太平洋を取り巻く12ヵ国が、より自由な貿易圏を創設し、しかも同一のルールに基づいてビジネスを進めることが可能になる。
 それは、自国内の大規模な過剰生産能力を抱える中国にとって、無視できないマイナス要因だ。
 また、貿易依存度の高い韓国も、TPPでわが国に先を越された危機感はあるはずだ。

 中国・韓国両国が背に腹は代えられず首脳会談開催に踏み切ったことは、それだけ両国の経済問題が顕在化していることを示しているとも言える。

■舞台裏では露骨に中国優先だった韓国
 だが経済失速で産業界からは疑問の声

 今回の首脳会談の裏舞台で、議長国を務める韓国が露骨に中国寄りのスタンスを取ったことはあまり報道されていない。
 今年9月、韓国政府が提示した会議日程では、10月31日午後と11月1日午後にそれぞれ二国間協議が行われる予定だったようだ。
 ところが、同国政府が中国側の日程要請を認めたため、10月31日はすべて李克強首相の公式訪問による中韓協議に充てられ、その後、中韓首脳による晩餐会を行うことになった。

 その結果、わが国政府が要請した2日の日韓首脳の昼食会の機会はキャンセルになった。
 背景には、韓国政府が懸案としている慰安婦問題で、日韓政府の具体的な歩み寄りが見られないと、国内向けにアピールができないことがあると見られる。

 輸出が生命線である韓国経済にとって、中国が最も重要な輸出先であることは間違いない。
 足元で景気減速が続き、韓国の産業界の一部から朴槿恵(パク・クネ)政権の経済運営に疑問の声が上がり始めている。
 そうした状況を考えると、朴政権が経済面では中国重視、安全保障面では米国重視という都合の良いダブルスタンダードを取るのはわからないでもない。
 また、慰安婦問題などで日本に対する強硬姿勢を見せつけることは、政権に対する支持率を保つ有効な手段なのだろう。

 しかし、ダブルスタンダードを取り続ける韓国に対しては、米国が徐々に厳しい見方をし始めている。
 それは、南シナ海の人工島の問題が顕在化した場合、韓国に対して“航行の自由”に賛成するよう要請が出されたことでも明らかだ。
 また韓国経済は、中国経済の減速の影響を受けて成長率の鈍化に直面しており、同国の一部産業界からは、「破棄した日本とのスワップ協定を再開すべき」との意見も出ている。

■中韓が“日本叩き”を行う背景
 成長鈍化で政権の求心力維持に苦慮

 足元で中国経済の減速は一段と鮮明化しており、習近平主席も6%台の経済成長を唱え始めている。
 その背景には、リーマンショック後、4兆元の大規模な景気対策を打った後遺症=過剰設備・過剰債務の教訓がある。
 また、かつて2ケタ成長を遂げてきた中国経済の高成長期が終わり、徐々に安定成長期にランディングする姿を現している。
 つまり、潜在成長率=経済の実力が着実に低下しているのである。

★.問題は、経済成長が低下する中で、いかにして国民の支持を維持することができるかだ。
★.13億人の人口を持ち、しかも国内に多数の民族を抱える中国の共産党政権は、本当に一党独裁体制を保つことが可能だろうか。

 中国の経済専門家である友人にヒアリングしてみた。
 彼は、自分の友人の金持ちが国外に出た話を淡々としてくれた。
 最後に、「中国人の中には、自国を信用しない人もいる」と言っていたことがとても印象的だった。

★.経済成長が鈍化している中国にとって、
 国民の支持を保つためには、領土を拡張し近隣国に強硬姿勢を示すことは重要なアピールになる。
 特に、かつて戦火を交えた日本を標的にして叩くのは、共産党政権に対する求心力をもたらすことだろう。

 一方、韓国も同様の国内事情を持つ。
 韓国経済は一時期の高成長期を過ぎ、近年、成長率の鈍化が鮮明化している。
 また、少子高齢化が加速して人口構成が崩れる中、サムスンを中心とする財閥がGDPの多くの部分を占めている。
 その中で、朴政権が求心力を維持するために、わが国を厳しく攻撃することは大きな効果を上げるだろう。
 慰安婦問題という国際社会でも受け入れられやすい材料を持ち出して、国際世論を味方につけることができるとなおさらだ。

■両国とも関係改善を図らざるを得ない
 わが国はしたたかに対応すべし

 わが国を目の敵にして国内世論の求心力を維持してきた中韓両国も、景気減速による国民の不満の高まりに歯止めをかける必要がある。
 そのためには、自国経済の立て直しを図らねばならない。
 その意味では、わが国経済が役に立つ部分は多い。

 韓国政府が露骨に対日強硬姿勢を続けたこともあり、わが国国民の間の嫌韓意識が少しずつ高まっている。
 かつて人気を博した韓流ドラマはほとんど目にすることがなくなり、サムスン社製のスマートフォンからサムスンの文字が消えた。
 そうした状況に対して、韓国の産業界では懸念が強まっている。

 一方、中国に関しても、厳しい大気汚染などの対策として、わが国が持っている公害対応の技術が必要になるだろう。
 それ以外にも、わが国企業の高い技術を中国企業が必要とするケースは多いはずだ。
 それは、爆買いと呼ばれる、中国人観光客の買い物を見ても明らかだ。

 そして中韓両国にとって、見逃せないファクターはTPPだ。
 元々、中国は知的財産権や国営企業の問題があり、TPPに加盟することが難しかった。
 しかし、同じ旧共産国であるベトナムがTPPに加盟し、環太平洋経済圏の中に入ることになった。
 それは中国にとって、一種の衝撃だったかもしれない。

 一方、今までFTAなどで進んでいた韓国は、中国重視の姿勢からTPPに乗り遅れた。
 わが国がTPPに参加したことで、特定の分野で韓国製品の競争力が低下するのは間違いない。
 韓国国内のメディアでは、TPP不参加がかなり大きな問題として取り上げられている。
 同国がTPP参加に名乗りを上げるのは時間の問題と見る向きが多い。

 そうした状況を総合的に考えると、中韓両国は、国内世論を意識して対日強硬姿勢を取り続けるだろうが、一方で、経済関係の改善を図ることになると予想する。
 名を捨て身を取る行動になると見るからだ。

 わが国は、そうした両国に対して冷静で、したたかな大人の対応をすればよい。
 南シナ海の人工島の問題などで決して中国に譲歩することなく、「是は是、非は非」でメリットが取れるスタンスを維持することが大切だ。
 今までの両国の態度を見れば、「話せばわかる」は通用しない。









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