2015年11月17日火曜日

底が抜けた中国経済(12):中国からの資金流出加速、「銭庄」による外貨の売買と海外送金、銀聯カード

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ロイター 2015年 11月 16日 18:38 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/11/16/analysis-china-yuan-idJPKCN0T50TP20151116

中国からの資金流出加速、
「拙速な人民元改革」に警戒感

[東京 16日 ロイター] -
 中国からの資金流出加速に懸念の声が相次いでいる。
 人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に採用される見通しで、今後は主要通貨として存在感を高めることになるが、拙速な人民元改革は投機的な動きを誘発し、さらなる資金流出を招きかねないと警戒する向きもある。

 中国が8月に人民元の切り下げに踏み切って以降、同国からの資金流出は約2000億ドルに達した。
 米財務省の推計によると、
 中国当局は7─9月、資金流出に歯止めをかけるため、総額「2290億ドル」の元買い/ドル売りの為替介入を行った
とされている。

 ある関係者は、資金流出のペースは「警戒レベル」としたうえで、
 「中国の金融システムが不安定化すれば、日本やアジア諸国への影響は計り知れない」
と語った。

 人民元のSDR入りに伴う改革が与える影響を懸念する声もある。
 SDR入りを目的に無理な改革を進めるのは「議論が逆」(国際金融筋)で、適切なペースで為替の自由化を進める必要があるとの見方だ。

 元財務官の榊原英資・青山学院大学教授は、8月の上海株安など市場の動揺に触れ、金融システムの整備や市場安定のための措置なしに為替の自由化を進めると「市場は確実に混乱する」と指摘。
 その上で「ヘッジファンドによる投機的な動きが起こるので、金融システムをきちんと整えてから(為替の)自由化をしないと危ない」と警鐘を鳴らした。

 また、前IMF副専務理事の篠原尚之・東京大学教授は、中国の金融機関が直面する不良債権問題が、資本・金融市場自由化のあるべきペースを考える上で重要と分析する。

 「経済が減速する中で銀行資産・貸出の質がどこまで劣化しているのか。
 今の数字は問題ないが、将来分からない」
とし、中国の金融システムをめぐる市場の疑念をどう当局が払しょくするかが、
 今後中国経済のハードランディングを回避できるかどうかの鍵を握っている
との見方を示した。

(木原麗花 翻訳:梅川崇)

JB Press 2015.11.17(火) 姫田 小夏

ますます加速!
中国人があの手この手で資産逃避
日本で不動産を爆買い、そのお金はどこから?

 日本の都心部で、中国人による不動産の“爆買い”が進んでいる。
 「3.11」の影響で冷え切っていた投資ブームが再び盛り返しているのだ。
 山手線沿線で開業する不動産仲介業者によると、中国人からの不動産売買の問い合わせは「最近、非常に増えている」という。

 だが、そこには「歓迎ムード」はない。
 取引の現場で広がっているのはむしろ困惑だ。
 当初は「(中国人の)お客様は神様」という風潮もあったが、“マナー問題”が顕在化したことにより中国人との取引にはむしろ消極的だ。
 「できることなら相手にしたくない」
と本音を漏らす不動産仲介の営業マンもいる。

 「4000万円の物件でも、のっけから『1000万円負けろ』と平気で言ってくる。
 売主さんとようやく話をまとめても、契約当日にさらに値引きを迫ってくる。
 引き渡しの後も何かと文句をつけてくる。まともな交渉ができない──」

 一方で、中国人の資金力をまざまざと見せつけられた営業マンもいる。 
 豊島区の仲介会社職員は、「予約なしでフラッと来店した中国人が、店頭に貼ってある物件の図面を指さして、『これで売ってくれ』と、現金を詰めた紙袋を差し出した。
 あれには仰天した」と打ち明ける。
 そして仲介業者は首をかしげる。
 その中国人は、大量の人民元をどうやって中国から持ち出したのか? 
 どうやって数千万円もの日本円に換金したのか? 
 仲介業者は「薄気味悪さすら感じた」(同)という。

◆鵜の目鷹の目で抜け道を探す中国人

 中国では最近、国外への資産逃避が顕著になっている。
 不動産でも株でもこれ以上利益を望めなくなった今、
 祖国を見限るようにして資産の流出が加速しているのだ。
 贈収賄にまみれた役人から、利権に浴した商売人まで、関心は「どうやって人民元を海外に持ち出すか」にある。
 国外に持ち出した資金をまたしても不動産に投資しようという魂胆なのだ。
 だが、中国からの資金移転は簡単ではない。
 海外に送金できる金額には上限があり、国家外貨管理局は「1人当たり年間5万ドルまで」と定めている。

 その結果、資金の海外送金の手口は必然的に地下に潜り込む。
 中国にはそれを幇助する「銭庄」という業態がある。
銭庄とは中国のシャドーバンクの一業態。
 主な業務は外貨の売買と海外送金だ。
 当局の管理・監督の及ばない非合法な金融組織であり、当局の取り締まりの対象になる。
 この銭庄が今、盛況だという。
 中国政府は地下金融を経た海外送金について公式な統計を発表していないが、
 銭庄を経由した海外送金は年間8000億元(約1250億ドル)に達する
と推定されている。
 今年はさらに規模を増した。

 中国都市部の銀行の入口には、バイクに乗った男たちがたむろしている。
 彼らは、銀行に出入りする客をつかまえて「両替するか」と声をかける。
 つまり、闇の両替商(通称「黄牛」)である。
 彼らは非合法な存在だが、銀行よりもいいレートで外貨を交換してくれるため、地元民にとっては無視できない存在となっている。
 この黄牛の背後には、網の目のように張り巡らされた地下金融ネットワークが広がっている。
 その正体をカムフラージュするように投資会社や移民サービス会社などの看板を掲げる銭庄もある。
 銭庄を経由する送金は意外に簡単だ。
 中国国内の利用者が銭庄にアクセスすると、「wechat」や「QQ」という通信アプリを使って海外のブローカーにレートを確認、その口座に金額を振り込めばその日のうちに海外の口座に送金してくれる。
 手数料は1%前後だという。

◆人海戦術で国外に持ち出し

 銭庄には、もちろんリスクもある。
 非合法な地下金融なので、法律による保護の対象にはならない。
 万が一、金を持ち逃げされても泣き寝入りするしかないのだ。
 そうしたリスクを恐れる中国人は別の手口を利用する。
 俗に「蚂蚁搬家」(蟻の引っ越し、の意)といわれる人海戦術の方法だ。
 例えば、ある中国人は50人の親戚や友人を動員して、資金をアメリカに移転させた。
 50人にそれぞれ年間海外送金の上限である5万ドルを準備させ、それを米国内の口座に送金させたのだ。
 送金に成功した中国人は、たいてい海外に複数の口座を持っている。
 1つの口座に大量の資金が送金されると金融機関から疑われるためである。
 海外送金に成功した資金は、十中八九、不動産購入に充てられる。

 また、上海の貿易会社に勤務するある中国人によると、
 「マカオのカジノを経由するのも資金移転によく使われる手段だ」
という。
 マカオのカジノのブローカーに人民元とカジノ用のチップを交換してもらい、そのチップを香港ドルに交換するのだ。
 さらに、クレジットカードを利用して送金する手口もある。
 中国人富裕層の財布の中には決まって何十枚とクレジットカードが詰まっている。
 その利用限度額はどれも高額に設定されたものであることが多い。
 中には100万ドルの高限度額を持つ者もいる。

 前出の中国人は「それを使って、時計など高額な買い物をし、第三者にそれを売却して資金を移転させるというやり方がある」と話す。ク
 レジットカードを使って海外で不動産を購入するケースもあるという。

 マカオでは、高額な商品を銀聯カードで買い、それを地元の質屋に預け入れて別の通貨を手に入れるという「換金方法」も定着している。

◆チャイナマネーがもたらす取引きの不透明さ

 10月下旬、都内で行われたある研究会で、壇上に立った某大学の名物教授の話に、参加者たちが身を乗り出した。
 「人民元のキャピタルフライトが急速に進行している」
というのだ。

 その手段の1つとなっているのが銭庄の送金だ。
 この地下金融は、ネット賭博や薬物売買、密輸などの経済犯罪やマフィア組織などと密接に関わり、役人の不正所得のマネーロンダリングの経路にもなっている。
 こうした理由から、今年4月から中国当局は大掛かりな銭庄撲滅キャンペーンを開始した。

 ちなみに国家外貨管理局は、
 「旅行や留学などの個人利用の資金移転は、規定の『年間5万ドル』で事足りる」と強調している。
 これを超える資金移転は疑ってかかる、というわけだ。

 日本では近年、マネーロンダリング防止の観点から、宅地建物取引業者などが宅地・建物の売買契約の締結や代理・媒介を行う際に、「犯罪収益移転防止法」上の義務を負うことになった。
 その中で資金の出所にさかのぼる「疑わしい取引き」については届け出が求められている。

 中国から流れ込む資金についてはその送金手段が非合法であること、また、ものによっては違法な起源を持つ犯罪収益である可能性は拭えない。
 しかしながら、「取引きの現場では本人確認を行うのがせいぜいで、資金の出所を調べるには限界がある」(東京都都市整備局)が実情だ。

 中国からの資金流出は日本の不動産業界に、ビジネスマナーやルールをめぐる摩擦のみならず、「取引の不透明さ」までもたらしている。
 じわじわと中国に呑み込まれる日本経済の行方が気がかりだ。


サーチナニュース 2015-11-18 22:27
http://news.searchina.net/id/1594607?page=1

日本の対中投資が減少 
国政府「投資に期待」、
中国ネット民「投資は不要!」

 中国政府・商務部は16日、1月から10月までの人民元建てによる
  中国への海外直接投資(FDI)が前年同期比8.6%増の6394億2000万元(約12兆3546億円)
であったことを発表した。
 一方で日本、米国、台湾からの投資額は前年同期比で減少したことを指摘。
 なかでも日本は前年同期比マイナス25.1%と最も減少した。

 日本からの投資額が減少したことに対して、中国メディアの財新網が17日、商務部・沈丹陽報道官の発言を紹介。
 減少した原因について
 人民元の価値が上がったことで、「日本企業の投資コストが増加した」
ことを挙げたほか、
 「一部の日本企業が中国経済の発展が続くかを不安視している」、
 「ほとんどの日本企業はすでに中国に拠点を持っている」、
 「中国市場での競争に日本企業がついていけず撤退している」
との4点を主張した。
 一方で日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した報告書を紹介し、日本の企業は未だに中国への投資を重要視しているとも述べた。
 同報道官は日本企業に対して積極的な投資を呼びかけた。

 同話題は中国でも関心を集めた。
 中国メディアからは
 「日本の景気が後退したことが(投資が減った)原因だ」
との論調が目立つ。
 中国版ツイッター・微博(ウェイボー)上では中国のネットユーザーが財新網の同記事に対して、「日本からの投資は不要だ」との内容のコメントを投稿し、特に注目された。

 中国では日本の家電事業が中国から撤退したことを根拠に「日本の競争力は低下した」と主張する声が少なくない。
 日本では中国の「製造拠点として魅力」が薄れてきたことを指摘する意見がよくみられる。
 日本と中国は長く「政冷経熱」と表されていたが、いまのままでは「経熱」が危ぶまれる。
 日本と中国の新たな経済関係の構築が求められる。



サーチナニュース 2015-11-26 18:49
http://news.searchina.net/id/1595356?page=1

中国人が世界中で不動産を買い漁る 
「日本に本腰を入れる」との報道も

 中国メディアの新華網は26日、世界各国で不動産を買い漁る中国人を紹介。
   24日には中国メディアの第一財経が「ドバイの不動産を買い漁る中国人」について、26日には21世紀経済報道が「日本の不動産所有に目を向ける中国」と、外国の不動産を購入する中国人についての報道が相次いでいる。

 中国メディアの新華網は近年ではセレブでない、いわゆる「庶民」も海外不動産の所有者になることが増えてきたと紹介。
 ドバイ、米国、韓国・済州島、イギリス、オーストラリア、日本の6か国で外国の不動産を購入する中国人の様子を伝えた。

 ドバイについては、人口の10%がすでに中国人であると伝えた。
 記事によると中国人らは広州、深センからきたという。
 第一経済は中東が裕福になるにつれて、中国人をドバイで見かけるようになったと紹介。
 あわせて不動産に対する投資額も増加したという。
 一方で、外国人の不動産購入に対する制限が2014年に緩和されたため不動産価格に下落の兆候が表れたと主張。
 中国人は盛り上がっている場合ではないと忠告した。

 新華網は米国で不動産を購入する外国人が支払う1米ドルのうち、24セントは中国人が支払ったものだと主張。
 そのほか移民先として米国を選ぶ中国人が最も多いと紹介した。

 続けて韓国・済州島では09年には2万平方メートルだった土地が、15年4月末には1173万平方メートルと6年で600倍になったことを紹介。
 イギリスでは3年で5倍になったという。
 オーストラリアは13年から14年にかけて227億オーストラリアドル(約4353億円)が投じられ、中国が最も投資する国になったとした。

 日本については、2014年に少なくとも360億円が日本の不動産市場に流れたと主張。
 また21世紀経済報道は中国人投資家がオーストラリア、カナダや欧米市場から日本へ戦いの場を移そうとしていると紹介。
 中国人が購入した日本の不動産は2015年に入って前年同期比70%増で9.08億米ドル(約1112億円)に達したとのことだ。

 賑わいをみせる中国人による世界各地での不動産購入は、トラブルも引き起こしている。
 カナダでは投資を背景に不動産価格が高騰。
 オーストラリアでは投資目的で購入された物件が約4000戸放置され、ゴーストタウン化を憂慮している状況だ。
 21世紀経済報道によれば、日本での不動産購入はこれから本格的に行われる見込みだという。
 迫る中国からの資本とどう向き合うかが問われる。



JB Press 2015.12.1(火) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45373

悪用多発!
マネーロンダリングに使われる銀聯カード
海外への資金流出が加速、
中国にとって脅威のカードに?


●銀聯カードが利用可能であることを示す東京・秋葉原の家電量販店

 訪日外国人客の増加が止まらない。
  日本政府観光局(JNTO)によれば2015年10月の総数は182万人で、前年対比43.8%の増加となった。
 中でも中国人客は前年の22万3000人から44万5600人へと倍増を遂げた。

 旅行消費額も伸びている。
 2014年は総額が2兆円を突破、今年も第3四半期だけでも1兆円を超えそうな勢いだ。
 そのなかで圧倒的多数を占めるのが中国人による消費である。
 同期における訪日中国人1人当たりの旅行支出は18万円を超えている。

 中国人の海外での“爆買い”を支えているのが、「銀聯(ぎんれん)カード」というデビットカードだ。
 銀聯カードの発行枚数は46億枚にも達している。
 中国政府は中国人の外貨の持ち出しを厳しく規制している。
 それにもかかわらず日本で爆買い現象が見られるのは、この便利なカードが存在するためだ。
 2015年第1四半期の銀聯カードの日本国内での取扱高は、加盟店とATMを合わせて約4800億円に達する。

 銀聯カードには現金引き出し機能もある。
 日本にいても銀行のATMを利用すれば中国の銀行口座から預金を引き出せるのである。
 もちろん、引き出せるのは日本円だ。
 人民元はその日のレートで日本円に両替される。
 1日に引き出せる金額の上限は1万元だ(1元=19円とすれば19万円)。

 しかしこの秋、この現金引き出しをめぐり、日本でちょっとした混乱が生じた。
 銀聯カードを利用した現地通貨での引き出しに思いもよらない制限がかけられたのだ。

■規制の裏にはマネーロンダリング

 「人民元預金が突然引き出せなくなった」――。
 11月初旬、東京都内に住むある中国人女性は「まさかハッキングにやられたのでは」と肝を冷やした。
 調べてみると、銀聯カードを使って海外で引き出せる額が制限されていることが分かった。
 10月1日から年末までの3カ月間、カード1枚につき最大5万元(約94万円)しか下ろせなくなっていたのだ。
 その中国人女性は引出枠をすでに使い切っていた。
 しかも、2016年からは1年の引出額の上限が10万元になるという。
 「通知されたのが9月29日で、施行は10月1日から。
 これでは対策のとりようがない」
と女性は不満をのぞかせる。

銀聯カードは中国人観光客の“爆買い”を支えてきたカードだけに、都心部では「旅行消費が冷え込むのでは」と心配する声も聞かれた。
 なぜ、多くの中国人観光客が日本を訪れるこの時期に、突然規制強化が行われたのか。
 背景にあるのは「マネーロンダリング」(資金洗浄、以下「マネロン」)である。
 最近、銀聯カードを使った海外での多額の引出が急増している。
 これを中国国家外貨管理局が危険視し、不正所得を海外へ移転させないように動き出したのだ。

 中国からの資金移転の“裏技”については、前回、当コラム(「ますます加速!中国人があの手この手で資産逃避」)でもお伝えしたが、銀聯カードもマネロンの一手段として利用されてきた。
 別の中国人男性は、銀聯カードの“活用法”を次のように明かす。
 「銀聯カード1枚につき1日1万元まで引き出せる。
 銀聯の機能は銀行カードについているから、銀行ごとにカードを発行すれば、手元に10枚や20枚の銀聯カードを持つことができる。
 365日、毎日引き出せば、カード1枚で年間365万元(約6860万円)。
 つまり、10枚のカードを持っていれば年間7億円弱、20枚なら13億円以上を引き出せることになる」

 この資金移転の方法は地下金融の「銭庄」(前回コラムを参照)を使うよりも安全で手数料も安い。
 1回の引出の手数料は15元(約280円)ほどだが、「華夏銀行」などのように海外での引出手数料を無料としている銀行もある。

 最近、中国人による日本の不動産の爆買いが話題になっている。
 中には、多額の現金を詰め込んだ紙袋を持って不動産屋に現れ、即金で不動産を購入する中国人もいるという。
 その背景には、銀聯カードを使った資金移転があることも否定できない。

■取り組みが遅れている日本

 テロが頻発する昨今、資金源を封じ込めるためにもマネロンの防止は世界的に極めて重要な課題だ。
 同時に国際社会が目を向けているのが中国人によるマネロンである。
 マネロンとは一般に「犯罪による収益の出所や帰属を隠そうとする行為」を指す。
 日本では「マネロン」は暴力団がらみの犯罪というイメージが強く、中国からの資金移転はあまり警戒されていない。
 だが、中国からの移民とともに莫大な資金が流れ込むカナダやオーストラリアは、中国人によるマネロンを大きな問題として認識し、警戒を強めている。

 例えば、最近カナダで波紋を呼んでいるのが中国からの電信送金だ。
 カナダ国内の一部の銀行が、中国からの年間の持ち出し金額の上限である5万ドルを超える金額を取り扱ったことが問題になっている。

 マネロン対策には、各国が協力体制を作ることが必要だ。
 マネロン対策の国際協力を推進する政府間会合に「FATF」(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)がある。
 米国、英国、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダのほか36の国・地域・機関が加盟している。
 日本も加盟国になっているが、日本は「FATF勧告遵守の取り組みが最も遅れた国の1つ」であり、「マネロンの抜け穴になる可能性」(警察庁)が高いと指摘されてきた。
 その後、各国と足並みを揃えるべく、2007年に「犯罪収益移転防止法」を成立させ、法改正を重ねてきたという経緯がある。

 犯罪収益移転防止法では、銀行や保険会社、宅地建物取引業者などが、顧客が「犯罪収益を隠匿しようとしている」との疑いを持った場合、速やかに行政庁に届け出ることを義務づけている。
 例えば、不動産を扱う宅地建物取引業者は、
 「多額の現金により、宅地又は建物を購入する場合」
 「短期間のうちに行われる複数の宅地又は建物の売買契約に対する代金を現金で支払い、その支払い総額が多額である場合」
に届け出なければならない。

 だが、こうしたマネロン対策は各事業者に浸透していないのが現状だ。
 宅地建物取引業者からの届け出についていえば、「疑わしい取引の届出受理件数」は2013年にたった1件、2014年もやはり1件しかない。

■銀聯カードを世界に広めてきたが・・・

 警視庁・刑事局組織犯罪対策部の犯罪収益移転防止対策室は「犯罪による収益の移転の危険性の程度に関する評価書」(2014年12月)という報告書の中で、
 「訪日外国人の利便性向上の観点から、
 海外で発行されたカードを使って日本円を現金で引き出せる現金自動預払機の設置を促進する動き」
があることを指摘している。

 同報告書は名前こそ伏せているものの、「銀聯カード」が世界規模での資金移動を可能にすることを示唆している。
 報告書はさらにこう指摘する。
 「このような環境はマネーロンダリング等を企図する国内外の者に対して、マネーロンダリング等に係る様々な手段・方法を提供することとなる」

 銀聯カードは中国人旅行者と受け入れ国に大きなメリットや経済効果をもたらす一方で、不正利用されかねない弱点も存在する。

人民元の国際化を狙って銀聯カードの利用を世界に広めてきた中国にとっても、今や“脅威”になっていると言ってよい。
 150カ国の120万台のATM機で利用可能な銀聯カードが、中国政府が最も危惧する海外への資金流出を促進しているのだ。

 10月から施行された銀聯カードの現金引き出し制限は、訪日中国人の観光にはほとんど影響はないと言われている。
 だが、日本を含めた海外での不動産購入にはブレーキがかかるだろう。
 中国を発生源とするマネロンを防止するための有効な施策となることを期待したい。



レコードチャイナ 配信日時:2015年12月14日(月) 15時0分
http://www.recordchina.co.jp/a124846.html

中国から海外への違法流出資金、
過去10年で170兆円以上―中国メディア

 2015年12月10日、参考消息網によると、米調査機関のグローバル・フィナンシャル・インテグリティー(GFI)は9日発表した報告書で、中国から違法に海外へ流出した資金は13年までの10年間で1兆4000億ドル(約170兆5000億円)に達したと発表した。

 香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、今年中国から流失した資金は主にオーストラリアのシドニーやカナダのバンクバーなどの不動産市場に流入。
 人民元安が続いていることから、資金流出に歯止めがかからないという。
 人民元の対ドル相場は9日、11年以来最安値を記録した。

 GFIの報告書によると、流出した1兆4000億ドルのうち、最も多かったのは貿易取引があったかのように見せかけたもの。
 中国政府が違法貿易摘発を強めた13年、資産隠しの手段としてデータ改ざんが増加したとみられる。
 中国の規定では国民1人が1年間に持ち出せる額は5万ドル(約608万円)以下とされている。
 法をくぐり抜けるためあらゆる手段が講じられているとみられる。



時事通信 2015/12/22 20:00
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151222-00000094-jijnb_st-nb

中国事業、拡大意欲が低下
=初の40%割れ―ジェトロ企業調査

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が22日公表した「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査(2015年度)」結果によると、
 今後1、2年で中国事業を拡大すると答えた企業は前年から8.4ポイント低下の38.1%となり、
 比較可能な1998年以降で初めて40%を下回った。
 人件費上昇などを背景に業種を問わず、慎重姿勢が広がっている。