2015年11月28日土曜日

『一人っ子政策』廃止へ(3):中国の無戸籍者1300万人、全人口の1%に、戸籍付与へ

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 中国でパスポート所有者は7,000万人。
 全人口の5%になる。
 この富裕層が世界各地で爆買をしている、という。
 その裏で1,300万人、全人口の1%が無戸籍者という。
 このすさまじい乖離を突きつけられると、ブルッとしてしまう。
 この国、何が起こっても不思議ではない。
 いまは共産党の鉄の輪で安定を保っているが、それが永遠につづくわけでもない。
 何処かで破綻するとみていい。
 そのこときは、何でもありになる。

 男女比率のアンバランスによって社会は暴力化する可能性もある。
 そして無戸籍者の数がそれを助長するという可能性もある。
 「一人っ子政策」という人類史上の壮大な実験は何をもたらすのか。
 

ロイター 2015年 11月 26日 14:19 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/11/26/idJP00093300_20151126_00920151126

中国の無戸籍者1300万人、全人口の1%に

 中国政府は今後、無戸籍者問題への対策を強化する見通しだ。
 中国の無戸籍者は現在、全人口の1%に当たる1300万人に上るとされる。
 彼らの権利をどのように保護していくのかが今後の課題となっている。
 政府系メディアが24日付で伝えた。

 無戸籍者のうち約6割は、「一人っ子政策」によるものとみられている。
 従来の制度では、2人目以上の子供が生まれた場合、罰金を支払わなければ戸籍を取得できなかったためだ。
 戸籍がないと、「実名制」が導入されている航空機や高速鉄道に乗ることができないほか、公立幼稚園に入ることもできない。
 無料ワクチンの接種も受けられないという。

 公安部は21日、同問題に関する会議を開き、憲法で保障されている基本的人権をいかに保護し、社会の公正性と安定性をいかに確保していくか、さまざまな角度から議論された。
 また、福建省で2008年以降、2人目以上の子供が生まれた場合でも無条件に戸籍を取得できる制度が採用され、50万人の新戸籍者が誕生したことなども報告された。



レコードチャイナ 配信日時:2015年12月6日(日) 5時30分
http://www.recordchina.co.jp/a124506.html

中国の独身者人口、2億人に迫る
―自ら独身を選ぶ女性が増加―中国メディア

 2015年12月4日、界面網によると、中国国家民政局はこのほど発表した人口統計
 「独身の男女が2億人に迫り、特に自ら独身であることを選ぶ女性が増えている」
と発表した。

 中国の独身者人口は1990年の6%から13年には14.6%に倍増。
 単身世帯は5800万人を超えている。
 中国には「第4次独身ブーム」が到来しているとされるものの
 「社会的観念や制度は変化に追いついていない」
との指摘もある。

 中国では都会に暮らす独身女性が、男性たちから「恋愛を遊びととらえている」と指摘される一方、農村では結婚できない男性の増加が深刻となっている。
 独身の男女は11年の時点ですでに1億8000万人に達していた。

 一方、台湾でも独身者が増加している。
 12年に15歳以上の独身者人口は全体の42%(939万人)に増加。
 日本も同様で、30年には独身者が男性の30%、女性の23%に達するとみられている。



レコードチャイナ 配信日時:2015年12月5日(土) 22時4分
http://www.recordchina.co.jp/a124441.html

一人っ子政策廃止で不妊治療ブーム、
体外受精や性別選択も―中国

 2015年12月2日、米華字メディア・僑報によると、中国で人口抑制策の一人っ子政策の廃止が決定されたことで、体外受精などの不妊治療を受ける夫婦が急増している。
 国内の医療機関では対応が間に合わず、海外へ治療に赴く人が増加することが見込まれている。

 中国では体外受精や顕微授精などの治療を行うことは厳しく管理されている。
 子どもの性別選択が禁止されているほか、出産許可証や結婚証明書の提示が求められる。
 一部の先端技術の実施も禁止されていることから、経済力のある夫婦のなかには米国や豪州、タイなど海外の専門的な医療機関や、国内の規制が甘い医療機関を利用する人も少なくない。

 広東省にある深セン南方試管生殖医療センターでは、体外受精により子どもの性別を選ぶことのできるサービスを提供している。
 また、厳しい審査を受けたり、治療の順番をいつまでも待ったりする必要はないとし、規制対象にならないよう細心の注意を払っている。
 一人っ子政策の撤廃が発表されたことで、問い合わせが大幅に増えているという。



ウォールストリートジャーナル 2015 年 12 月 7 日 15:09 JST By aurie Burkitt
http://jp.wsj.com/articles/SB12063707009372514535404581401033862978082?mod=JWSJ_EditorsPicks

中国は「独身者の国」に-家族中心社会に変化も

中国は急速に「独身者の国」になりつつある。
 中国民政部(日本の厚労省に相当)のデータを引用した地元メディアの報道によると、世界最大の人口を抱える同国では独身成人の数が2億人近くに上り、全人口の14.6%を占めている。
 この割合は1990年の6%から急上昇しているという。

 中国で独身者が急増している背景には、離婚率の上昇や晩婚化、結婚しない傾向の強まりがあると、人口統計学者らは指摘する。
 結婚を先延ばしする人は単身、あるいは家族と同居して満ち足りたシングルライフを築き、そこから逃れられなくなるのだ。

 中国では、独身者の割合は他国を大きく下回っている。
 米労働統計局(BLS)によると、米国では昨年、全人口に占める独身者の割合が50.2%に達した。
 英国のイングランドとウエールズでは2011年時点で51%が独身だったという。

 他国と比べて中国の割合が低いのは、中国では若者が結婚の重圧にさらされていることが一因だ。
 年配世代は伝統を重んじ、家族の絆を大切にする傾向が顕著で、子どもや孫に「結婚しろ」とくどくど言い聞かせる。
 それがあまりにもしつこいため、多くの若者は家族からの重圧を避けるため休暇中に実家に帰らないという。
 また、政府も圧力をかけており、27歳以上の未婚女性を「売れ残り」と呼んでいる。

 中国政府が最近廃止した「一人っ子政策」も、男女比率の不均衡や高齢化を生み出すことで結婚に対するトレンドを変化させた。

 中国の膨大な人口を考慮すれば、14.6%という数字は米国の全人口の7割近くに当たり、大きな意味を持ってくる。
 そして独身者の増加は、人口統計学者が警告する中国の出生率低下と同じタイミングで起こっている。

 独身者の増大は中国でいくつかの新たなトレンドを引き起こしている。
 年収の高い人が浪費する「シングルエコノミー」と呼ばれる現象などがそうだ。
 また、海外で卵子を冷凍保存し、シングルマザーになるのを目指す女性の数が増えている。
 そしてもちろん、中国で壮大に行われる電子商取引のイベント「独身の日」は、世界でも最大規模のショッピングデーのひとつになっている。

 中国社会は儒教の伝統と法規制の両面から、一般的に結婚した夫婦が好まれる。
 このため多くの独身者が社会的な汚名に対抗するためオンライン上で徒党を組み、法律が偏っていると主張している。
 上海市や広東省広州市などの都市では、独身者による不動産購入が禁止されている。
 地元メディアによると、雇用主の中には昇格や賃上げで既婚者を優遇するところもあるという。



サーチナニュース 2015-12-09 08:33
http://news.searchina.net/id/1596470?page=1

「一人っ子政策」なくなっても、2人目生みたい夫婦は「わずか3割」=中国

 7日付の中国メディア「毎日経済新聞」によると、旅行商品販売サイト「携日旅行網」の梁建章最高経営責任者(CEO)は5日、出席したフォーラムで、夫婦1組に対して2人目の子の出産が認められるようになったのに、「本当に2人目を生もうと考える人は30%程度」として、社会の高齢化を防止する「補助金政策」が必要などと主張した。

 梁CEOは北京大学教授(専門は経済学)も兼任。
 2012年には同僚の李建新教授との共著「中国人は多すぎるのか?」を発表し、中国の人口構造の変化の経済に及ぼす影響を指摘した。

 中国政府が一人っ子政策の緩和に踏み切ったのは2013年だが、梁CEOはそれ以前から同政策と撤廃を主張していたことで知られる。

 梁CEOは5日に出席したフォーラムで、今後は成長した一人っ子世代が納める税の15%を、高齢者を養うために使わねばならなくなると指摘。
 「社会における公平という面から、国は子が生まれた家庭に対する補助を考えるべきだ。
 補助金の総額は国内総生産(GDP)の15%程度にしてよい」
と述べた。

 中国政府は現在、起業を増やすことで経済の構造変革と活性化を狙っている。
 梁CEOは
 「社会が高齢化すれば、刷新や起業などの活力も低下する」
との考えを示した。

 梁CEOが示した「本当に生もうと考える人は3割」について中国人民大学「人口と発展研究センター」の任杜鵬副主任は、
 「人々の収入が増えると、出生率は低下する傾向が出る」
と指摘。

 任副主任によると、北京、上海、浙江省などの経済先進地域では2人目の子の出産が認められるようになても、出生率が低いままという。

 任副主任がこれまでに行った調査でも、都市部住民の70%-80%の人が「2人目の子をほしい」と回答するが、「本当に2人目を望む人は30%程度しかない」感触だという。

 上記記事を転載した新浪網は7日朝、
 「政府が補助金を出すとしたら、あなたは2人目の子をほしいですか?」
とのアンケート実施した。
 同日午前10時10分(日本時間)現在、
「ほしくない」と回答した人は54.1%で半数を超えた。
「ほしくなるかもしれない」は26.2%、
なんとも言えない」は19.6%
だった。


レコードチャイナ 配信日時:2015年12月10日(木) 20時0分
http://www.recordchina.co.jp/a124839.html

中国政府、無戸籍者1300万人に戸籍を付与へ―英メディア

 2015年12月10日、BBCによると、中国政府は一人っ子政策に反するなどして生まれた国内約1300万人の無戸籍者に対し、戸籍の作成手続きを開始すると表明した。
 参考消息網が伝えた。

 中国では1950年代以降、戸籍管理を厳格化。教育、就職、医療、住居などの公共サービスを受ける際は戸籍を持つことを大前提としてきた。
 しかし、一人っ子政策に反して生まれた無戸籍者が増加。仕事や教育、社会保障を受ける機会を与えられていないことが問題となっていた。

 中国官製メディアによると、無戸籍者は国内全体で約1300万人、人口の1%に達するとみられる。
 習近平(シー・ジンピン)国家主席は9日、国民の戸籍登録を徹底化させるとともに、無戸籍者問題を解決することを強調していた。



サーチナニュース 2015-12-24 15:16
http://biz.searchina.net/id/1598032?page=1

中国で注目される生産人口急減への対応=大和総研

 大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は12月24日、「中国経済:生産年齢人口急減への対応」というレポート(全2ページ)を発表した。
 中国ではすでに2011年以降に生産年齢(15歳~59歳)がピークを打ち、今後は急速に生産年齢が減少していくと見通されている。
 この経済へのマイナスインパクトを回避するため、中国で来年から始まる「2人っ子政策」や農民工の“真の市民化”などの政策が注目されるとしている。
 レポートの前半部分は以下の通り。

 中国社会科学院人口・労働経済研究所が2015年12月に発表した「人口と労働緑書-中国人口と労働問題報告No16」(主編:蔡昉、張車偉)によると、中国の生産年齢(15歳~59歳)人口は2011年の9.41億人をピークに減少し、2023年には9億人以下に、2050年には6.51億人に急減するとしている。生産年齢人口が全人口に占める割合は7割弱から5割に急低下する計算である。

 「緑書」では、65歳以上の人口が全人口に占める割合が7%から14%に上昇するのに要する期間について、世界平均は40年前後であるのに対して中国は23年程度、14%から21%へ上昇する期間は同様に、平均の50年前後に対して中国は12年~13年程度であるとしている。
 急速な少子高齢化の進展である。

 人口ボーナス値は、一般に、生産年齢人口÷従属人口(14歳以下人口+65歳以上人口)で計算される。
 これが高いと、働き手が多い一方で、養育費のかかる子どもと、年金・医療の社会負担の大きい高齢者が少ない状態であり、人口ボーナス値の上昇により、経済には、労働投入量の増加、社会負担の減少、貯蓄率の上昇といったプラスの効果が期待される。
 しかし、少子高齢化の進展でこの歯車は逆回転していく。
 すなわち、労働投入量の減少、高齢者社会負担の増加、貯蓄率の低下が、経済成長を押し下げるのである。
 中国では2010年前後に人口ボーナス期が終わり、人口オーナス期に入っているが、そのマイナスの効果は今後ますます大きくなっていくことが想定される。

 今後は少子化の進展をより緩やかにすることと、少子高齢化のマイナスの影響を如何にして小さくすることができるかが大きな鍵を握る。



大和総研 2015年12月24日    経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登
http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/china/20151224_010473.html

生産年齢人口急減への対応

 中国社会科学院人口・労働経済研究所が2015年12月に発表した「人口と労働緑書-中国人口と労働問題報告No16」(主編:蔡昉、張車偉)によると、中国の生産年齢(15歳~59歳)人口は2011年の9.41億人をピークに減少し、2023年には9億人以下に、2050年には6.51億人に急減するとしている。
 生産年齢人口が全人口に占める割合は7割弱から5割に急低下する計算である。

 「緑書」では、65歳以上の人口が全人口に占める割合が7%から14%に上昇するのに要する期間について、世界平均は40年前後であるのに対して中国は23年程度、14%から21%へ上昇する期間は同様に、平均の50年前後に対して中国は12年~13年程度であるとしている。
 急速な少子高齢化の進展である。

 人口ボーナス値は、一般に、生産年齢人口÷従属人口(14歳以下人口+65歳以上人口)で計算される。
 これが高いと、働き手が多い一方で、養育費のかかる子どもと、年金・医療の社会負担の大きい高齢者が少ない状態であり、人口ボーナス値の上昇により、経済には、労働投入量の増加、社会負担の減少、貯蓄率の上昇といったプラスの効果が期待される。
 しかし、少子高齢化の進展でこの歯車は逆回転していく。
 すなわち、労働投入量の減少、高齢者社会負担の増加、貯蓄率の低下が、経済成長を押し下げるのである。
 中国では2010年前後に人口ボーナス期が終わり、人口オーナス期に入っているが、そのマイナスの効果は今後ますます大きくなっていくことが想定される。


●中国の年齢別人口の予測(単位:億人)

 今後は少子化の進展をより緩やかにすることと、少子高齢化のマイナスの影響を如何にして小さくすることができるかが大きな鍵を握る。

 少子化対策として、生育制限の完全撤廃と生育「奨励」への転換が不可欠であることは言うまでもないが、まずは「二人っ子政策」の効果最大化である。
★.夫婦のいずれか一方が一人っ子の場合、
 第二子の生育を認めるという、
 2013年11月の条件緩和により、全国で1,100万組の夫婦に第二子の生育が認められるようになったが、第二子生育の申請を出したのは、このうちの15.4%にあたる169万組(2015年8月末)にとどまっているのが現状である。
 都市部では、住宅価格や教育費の高騰や、ライフスタイルの変化による未婚比率の上昇や晩婚化など、「一人っ子政策」以外の出生率低下要因も多い。
 今後は、こうした問題への政策対応が必要とされているのである。

 次は、質の高い労働力を如何にして確保するかという問題である。
 「人口ボーナスがなくなる以上、イノベーションがなければ発展はできない」とは、「緑書」の主編者である蔡昉・社会科学院副院長の言葉である。
 産業構造の高度化を担い得る労働力の質的向上(例えば高等教育や職業訓練の充実)が極めて重要となる。
 この他、持続的な社会保障制度の構築や退職年齢の引き上げなども同時並行で行われなければならないだろう。

 以上は経済の供給面から見たものであるが、生産年齢人口が大きく減少すること自体を変えることはできない。
 需要面でもマイナスのインパクトをできるだけ小さくする政策の実行が求められる。
 「緑書」は
 「新型都市化の積極推進と本当の意味でのヒトの都市化
を今後の消費需要の底上げ、ひいては牽引役として特に重要視している。
★.中国の都市化率は2014年末で54.8%で
あるが、これは6ヵ月以上の常住人口で計算したもののであり、都市戸籍保有者の割合は38%にすぎない。
 この差が農民工(農村からの出稼ぎ者)である。

 現状では農民工には都市での社会保障(年金、医療)は提供されず、本来なら無料であるはずの子どもの義務教育も有料であるなど、都市住民としての公共サービスを享受できていない。
 例えば、2014年末時点では、2億7,395万人の農民工のうち実に83.3%が年金に未加入となっている。
 農民工が真の市民として、都市に定住、就職、起業できるようにし、就業サービスと社会保障などを平等に受けられるようにするのが「新型都市化」と呼ばれる概念である。

 2015年12月14日に開催された中国共産党中央政治局会議は、2016年の経済運営を議論し、
 このなかで不動産過剰在庫の解消を重点政策の一つに掲げた。
 同会議では、農民工の市民化など「新しい市民」のニーズを満たすことを出発点とする住宅制度改革を推進するとしている。
 これまで住宅購入層として蚊帳の外に置かれていた農民工が住宅購入支援策の対象となることは、実需増加の面でも注目されよう。

 上記は一例であるが、仮寓の農民工としてではなく、真の市民化が実現すれば、中国の内需が厚みを増していくことになる。
 今後打ち出される政策に注目したい。









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