2015年10月14日水曜日

中国経済は「崩壊はしない」(3):「中国経済は悲観視しなくて大丈夫、その10の理由を教えましょう」

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現代ビジネス 2015年10月14日(水) 藤岡雅
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45786

日銀・初代北京事務所長が断言!
「中国経済は悲観視しなくて大丈夫。その10の理由を教えましょう」
特別インタビュー

 「やっぱり中国は危ない!」。
 8月に起こった中国株の突然の大暴落を目の当たりにすると、こう叫びたくもなる。
 厄介なのは、中国政府が発表する数値が本当に信用にたるものかわからないため、本当の実力を推し量るのが難しいことだ。

 そんな危うい大国の「本当の懐事情」を知る人物がいる。
 日本銀行で初代北京事務所長を務めた露口洋介氏(信金中央金庫・上席審議役)だ。
 天安門事件が勃発した89年から現地をつぶさにウォッチしてきた中国経済のスペシャリスト。
 その露口氏が、中国経済の問題すべてを語った。

■「爆買いがなくなる」なんてことはない

 中国の著名な経済学者でも、中国の株式市場は「博打場だ」と言ってはばかりません。
 7月~8月にかけての暴落は、「当然起こり得ること」として、専門家の間では認識されていました。
 中国の株式市場は昨年の11月から中国人民銀行が5回にわたり金利を引き下げて以降、急激に上昇し、約2300ポイントからわずか半年の間に2倍以上の約5100ポイントまで上昇してしまった。
 銀行の貸付が緩やかになり、レバレッジをかける信用取引も解禁されたので、株式市場への参入者が急増してしまったのです。
 企業業績など全く関係なく投資が膨らんだことが、中国株のバブルを引き起こし、それが一気にはじけてしまいました。
 このため世界中のマスコミが「中国ショック」と騒ぎ立て、中国の実態経済までもがダメになってしまうかのような認識が広がりました。

 しかし「中国人の富裕層が株で大損をしたので、日本での爆買いが減ってしまう」とか、「中国がこのままマイナス成長に陥ってしまうのではないか」という意見には私は同意できません。
 今回の大暴落で損をしたのは、今年3月以降に株を買った少数の人に過ぎないからです。
 9月30日の上海総合指数の終値は3053ポイントでした。
 高値を付けた6月12日は5166ポイント。
 確かに2000ポイント以上も暴落したら、大損をした人が続出したと考えてしまいます。

 しかし、そこは冷静になってほしい。

 中国株が上昇し始めた昨年11月は約2400ポイントの水準でした。
 また今年の3月ごろまでは3000ポイント台で推移していた。
 つまり、3月以前に株を買った人はまだ儲かっているのです。

 数か月での暴騰劇で大損失を被った人はほんの一部の新興投資家ですし、まだ未成熟の中国株式市場ですから、機関投資家は少なく参加者も少数です。
 実体経済に深刻なダメージを与えることはありません。

 今回の中国株式市場の混乱に右往左往した人も多かったようですが、原因は、今の日本に中国経済全体への行きすぎた悲観論が広がっているからでしょう。
 その根拠は本当に正しいのか、検証してみましょう。

■日本の成長期を思い出してほしい

 中国経済への懸念がこれほど語られるのは、「統計が信用できない」と考えられているからでしょう。
 確かに世界各国の金融当局者も同じ不満を抱えていました。
 この不満を解消するため、中国政府は「調査失業率」という、先進国レベルの子細な調査データを出すようになっています。
 これによれば中国政府の失業率は上半期5.1%と安定している。
 また現在、中国では過度なインフレは起こっていません。

 中国は今、開発途上国から首が一つ抜け出した段階ですが、こうした国の経済が悪化するのは、失業率とインフレ率が高まったときです。
 そのどちらも中国では高くなっていないので、今年の中国経済は当初の想定から大きく乖離せずに推移していると言っていい。

 中国政府は今年のGDP成長率を名目7%前後と予想していますが、その水準が大きく変わることはないでしょう。

 一方で中国経済が多くの問題を抱えているのは事実です。
 例えば天津港の爆発事故があったため「輸出が悪化するのではないか」という懸念がある。確かに今、輸出量は悪化傾向ですが、14年の実質GDP成長率7.4%に対して、純輸出が占める割合は0.1%にすぎません。

 他にも「生産設備が過剰で、在庫が積みあがっており、消費が起きていない」という問題があります。
 また「シャドーバンキングの問題」や「地方債務の増加」など、不良債権が積みあがっているのではないかという懸念もある。

 生産設備が過剰になったり、地方債務が膨れ上がったりしたのは、リーマンショック後の09年に4兆元の財政出動をしたことが原因です。
 これが今後、大きな負債としてのしかかってくるのではないかと心配する人もいますが、この問題はマクロ経済的にはもう済んだ話と言っていい。

 中国の名目GDPは09年には35兆元でしたが、14年には64兆元となり、29兆元も増えている。
 マクロ経済から見れば4年前に生じた4兆元投資も、地方債務も大きな問題ではありません。
 「シャドーバンキング」などに溜まっているとされる不良債権も経済成長が続く限り、マクロ的には自然解消されていきます。

 また中国には成長を担保する原資がまだまだ豊富にあり
 過剰生産設備など全く問題にならないほど、今後、需要が発生してきます。

 中国の都市化率は現在5割程度で、農村にはまだかなりの人口が残されています。
 彼らはこれから地方都市の周囲に建設されている小都市に続々と流入してきます。
 その数は年間約2000万人に上る。

 日本の高度成長期を思い出してほしい。
 当時は中学校を卒業した子どもたちが集団就職で都市に移り住み、都市化率が急激に進展。
 核家族化することで世帯数が激増して、テレビ、洗濯機、冷蔵庫は〝三種の神器″と呼ばれました。
 白物家電の需要が高度経済成長を支えたのです。

■実は「謙虚」な中国

 日本では白物家電の普及率は70年代初頭にほぼ100%に達し、その後は世帯数もあまり伸びなくなったため、需要が鈍化してしまいましたが、中国ではこうした需要がまだまだ温存されているのです。
 この状況を考えれば中国経済がすぐに壊れていくとは考えられません。

 ではなぜ中国株の大暴落をきっかけに世界的な株安が引き起こされてしまったのか。
 それは中国の金融当局が行う政策に、マーケットの不信感があるからでしょう。
 しかし、その不信感の多くも、やはり誤解に基づいています。

 とは言え、確かにひどい政策もある。
 7月に株が暴落を始めた時には証券会社に「ETFを買え」とか、上場企業の経営陣に「株を売るな」と、先進国のマーケットからみれば、とんでもない命令が出されました。

 こんな禁じ手を使っても株価を買い支えられなかったので、世界は恐怖におののいた。
 しかしこれも中国の株式市場が未成熟だという以上の問題はありません。

 日本でも60年代に大蔵大臣の田中角栄と日銀総裁の宇佐美洵が、破綻間際の山一證券をはじめ証券会社に無担保融資して、救済したことがありました。
 今回の中国のやり方も、少々えげつなかった程度で、本質は当時の日本がやったことと大差ない。
 未成熟な株式市場ではこうしたことも起こり得るものです。

 そもそも中国政府にとっては、中国の株式市場がこれほど世界の株価に影響するとは思ってもみなかったことでしょう。
 極めて未成熟でドメスティックな市場なのに、なぜ世界がこれほど混乱するのだと。

 8月11日から3日連続で人民元の通貨切り下げを行ったときも同じ気持ちだったでしょう。
 世界の株式市場が再び混乱し、「元安誘導」と批判を浴び、「中国は自分たちのことしか考えてないのか」と叱られてしまった。

 中国政府はおそらく「俺たちの金融政策って、そんなに影響力があったの?」と驚いたでしょう。
 中国は外交などでは、
 とかく威圧的で傲慢なイメージが浸透しています
が、
 金融については非常に謙虚なのです。

 彼らは自分たちの金融システムが未発達であることを知っているので、その金融政策には極めて慎重。
 各国の要請にはよく耳を傾けています。
 実は8月11日からの切り下げも、IMFの提案に沿って行われたものでした。

 人民元の切り下げについては、一部のメディアでは「中国当局が経済の失速を懸念して繰り出した元安政策であり、輸出を伸ばそうとするためのものだ」という指摘をしていましたが、これは誤りのある認識です。

 この切り下げを人民銀行の周小川総裁は「人民元為替レートの市場化のステップ」としていますが、この表向きの説明に裏はありません。

 それ以前に株価下落の対策のために多少の金融緩和をしていたので、結果的に元安になっただけ。
 切り下げは輸出を促すために取られた措置ではありません。
 それには以下のような背景があったことから説明できます。

■解決する方法はある

 中国は今、人民元をIMFのSDR(国際通貨準備資産)に入れようと(=人民元が国際通貨の仲間入りをすること)必死に交渉しています。
 中国のSDR入りには、習近平国家主席の厳命で、国の威信をかけて取り組んでいますが、そのためには今のように人民元の為替レートに国の思惑が入る余地が大きくてはいけません。

 ですから、中国はIMFと一緒に人民元の基準となる為替レートの指標を探していました。
 そこで
 IMFが「申し分ない」と提案したのが、上海の外貨取引センターで公表されているベンチマークでした。
 8月11日からの切り下げは、このベンチマークに人民元レートを合わせただけです。

 つまり仮にこのベンチマークが現在よりも元高だったら、〝切り上げ″になっていたということ。
 中国当局の思惑が「輸出増進策だった」=「やっぱり中国経済は悪いのだ」とするのは少し乱暴です。

 むしろ私には人民元のSDR入りが、少し拙速なのではないかという不安の方が大きい。
 中国の経済規模はすでに日本の2倍に達しています。
 経済規模が大きくなれば、やがて統制的な経済政策は効果を失っていく。

 だから中国は金融の自由化を進めているのですが、安易に自由化を進めると経済ショックが生じてしまうので、慎重かつ着実に進めなければなりません。
 ところがSDR入りのために中国は、この不文律を乱そうとしているように私には見える。

 今、中国は海外との間の投機的な資金の流出入を規制していますが、SDR入りのためにはこのような規制をさらに緩和する必要がある。

 しかし中国の金融システムは、まだ大規模な資金流出入のショックを吸収できるほど整備されていません。
 SDR入りと引き換えに大幅に緩和するようなことをすれば、手痛いしっぺ返しを食らうことになります。
 国家の威信をかけるのはいいが、私はもう少し後ずれさせた方が無難だと思います。

 今、世界から投げかけられている中国経済の問題のほとんどは解決するための方法があります。
 しかし、その方法を実行することが難しい問題もあります。

■「中進国の罠」が邪魔をする

 例えば「所得格差の問題」。
 先ほど私は中国ではまだ農村から都市へ移動する人がたくさんいるので消費が増えると言いましたが、貧しい人たちが白物家電を購入できるようにするには、再分配政策が必要です。
 そのため中国は、相続税や固定資産税などの財産税を整備する方向を打ち出しています。
 しかし当然、今の金持ちや既得権者は反対します。
 これが本当にできるのかが、習近平や経済政策を担う李克強の腕の見せ所なのですが、既得権者の多くは共産党の幹部たちです。
 習近平政権になってからは清風運動により、改革は進んできているが、政争となりかねない問題でもあり、その改革の動向には注意が必要でしょう。

 解決が難しい問題ではありますが、これをうまくいかないと決めつけるのも適当ではありません。
 このような解決方法をうまく実行できさえすれば、中国経済はしばらくの間着実に成長するでしょう。
 こうして見て行くと、中国経済は着実に成長を続けており、問題はあるにせよ、マーケットやメディアが心配しているほど、実態は悪くないことが分かっていただけるでしょう。

 しかし、より長期的に見ると相当ハードルの高い問題があります。
 それは共産党体制にかかわる問題でもあります。

 中国の経済が今後、政府の見通し通りに成長を続ければ2020年代に入るとGDPでアメリカと肩を並べる水準に到達する。
 その際の一人当たりのGDPは1万3000㌦程度に達し、中国は先進国の入り口に到達する。
 ここで生じるのが「中進国の罠」です。

 中国の労働者の賃金は上がっているので、その他の開発途上国の低賃金の労働者には勝てなくなる。
 ですから高付加価値の製品を作らなければいけないが、非常に効率よく高付加価値製品を作る先進国がすでにそろっている。
 これを突破しようとするときに中国が抱える問題が深刻なのです。

■壮大な実験が始まる?

 それは民主化せずに「中進国の罠」をクリアすることができるのかということを問うていますが、
★.民主化せずに「中進国の罠」をクリアした国は、資源国や人口の少ない都市国家を除き、過去に例がない
のです。

 近年「中進国の罠」を突破した国に、韓国や台湾、アイルランドなどがあります。
 韓国は日本に迫る技術力で、また台湾も中国の安い労働力を使ったOEM生産(受託生産)を考案し、これを突破しました。
 アイルランドは金融業に特化した。

 千差万別で、過去に中国のような国の参考になる例があるわけじゃない。
 そしてこれらは厳しい世界経済の荒波に曝されて鍛え上げられた民間の企業人たちが切り開いたものばかりです。

 中国にとって共産党一党体制の存続は、「国体護持」と同義です。
 共産党の指導が金科玉条となっている中国で共産党の役人たちに韓国や台湾の企業家たちのようなことが本当にできるのか。
 今後、この壮大な実験が行われることになるでしょう。

 仮に失敗すれば中国の国家体制そのものがリセットされる恐れが出てくる。
 これが今の中国の抱える本当の恐怖と言えるでしょう。

(本稿の内容は発言者の個人的見解であり、信金中央金庫の公式見解ではありません)

 執筆・藤岡雅(週刊現代記者)



ロイター  2015年 10月 20日 12:20 JST John Foley

http://jp.reuters.com/article/2015/10/20/column-china-idJPKCN0SE05920151020?sp=true

コラム:経済迷走で中国指導者の「無謬神話」崩壊

[ロンドン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 羅針盤を発明したのは中国人だが、皮肉なことに同国経済の方向性は読みにくくなっている。
 第3・四半期の実質成長率は6.9%と、約6年ぶりの低い伸び率となった。
 しかし投資家や企業経営者が本当に知りたいのは、
★.警戒すべき景気減速を中国がどれほどうまく制御できるかだ。

 この点に関して、あまり心強い兆候は見当たらない。

 視界を曇らすスモッグはこの夏に広がった。
 上海株の暴落は外国人投資家を震え上がらせた。
 彼らは中国株をほとんど保有していないのにもかかわららずである。
  意表を突く人民元の切り下げも、あれほどまでの混乱を招くはずはなかった。
 実質実効レートで見ると、人民元はなお対ドルで1年前より12%ほども高いのだから。

 しかし西側諸国の株式市場が全面安となったところを見ると、市場の見方に変化が生じつつあるのは明らかだ。
★.優秀だとされる中国の官僚が、2つの大きな試験で過ちを犯した。
★.株価を押し上げる試みに失敗するとともに、
 元切り下げによって市場を安定させられるどころか、動揺を招いた
のだ。

★.中国の指導者が超人ではなく凡人に過ぎないとしたら、これは大変なことだ。
 中国経済の変遷は、超人的な手綱さばきを必要とするのだから。

★.中国政府は投資、製造業主導で高成長を遂げてきた経済を、
 消費とサービスをけん引役とする、より緩やかな拡大期に移行させようと試みている
 そのためには何億人もの人々と何兆ドルもの資金を方向転換させる必要がある。前代未聞の試みだ。

 旧来型の中国経済がみるみる減速しているため、この変遷は難しさを増している。
★.中国の大手工業企業の利益は8月、前年同月比で8.8%減少した。
★.鉄道貨物輸送は15%縮小し、
★.過去10年間に平均21%増加していた不動産投資は1%の減少
に転じた。

 ひいき目に見るなら、余剰人員や設備はサービス部門が吸収してくれると考えることが可能だ。
中国のサービス業を擁護するピーターソン国際経済研究所の学者、ニコラス・ラーディー氏などは、サービス業が既に国内総生産(GDP)の半分を占めていると指摘している。
 ことし1─9月には「第三次産業」がGDPの51.4%を占め、7─9月期にはこの部門が8.4%成長と、GDP全体の成長率を上回った。例えば映画のチケット販売は50%近いペースで伸びている。

 しかしこうした数字の多くは、詳細に見るとほころびが露わになる。
 中国の公式統計では、2014年にはサービス業の雇用が1700万人増と、10、11、12年を合わせたよりも大幅に増えている。
 だがよく見ると、「農業サービス」など一部の職種が新たな名称に衣替えしただけであることが分かる。
 小売売上高統計は範囲が広過ぎる半面、電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)のような企業の財務報告は内容が絞られ過ぎており、投資家は実態を推測するしかないのが実情だ。

 もう一つの大きな頼みの綱は市場だ。
 習近平国家主席は3年前、経済において市場に決定的な役割を果たさせると約束した。
 その市場は、26日に始まる共産党中央委員会第5回総会(5中総会)で討議される第13次5カ年計画を注視するだろう。

 とはいえ、習主席の約束は果たされていない。
 政府は上海自由貿易区や香港・上海証券市場の接続、人民元国際化の試みなど、大風呂敷を広げる点ではよくやっている。
 ただ、実際の市場機能はないがしろにされてきた。
 最大級の企業は破綻や他社による買収を許されない。
 鉄鋼セクターは3億トン前後の過剰生産能力を抱えており、これは米国の年間生産量の3倍を超える規模だ。
 マッキンゼーによると債務はGDPの280%まで積み上がっているが、大規模なデフォルト(債務不履行)が起こった試しはほとんどない。

 問題は、中国に対する世界の注目が強まっている中で、方向性の欠如が深刻化していることだ。
 激しい景気減速に対処するための統一的な計画が存在しないことが、ますます明らかになりつつある。
 今回の最大の教訓は、中国の役人ともあろうものが失敗を犯したということではなく、頭は良いが間違うこともある
★.「人間」として精一杯やっているだけだ
ということだろう。

●背景となるニュース

*19日に発表された第3・四半期の中国GDP成長率は前年同期比で実質6.9%となった。
 これは6.2%だった2009年第1・四半期以来で最低。エコノミスト50人を対象としたロイター調査の予想中央値は6.8%で、レンジは6.4─7.2%だった。

*中国共産党は26日から29日まで中央委員会第5回総会(5中総会)を開き、第13次5カ年計画について討議する。新華社が12日報じた。

*5カ年計画は第1次が1953年に始まり、中国の主な政策目標を示し、通常は成長率、輸出、投資、社会開発など数多くの数値目標が盛り込まれる。多くの場合、春の全国人民代表大会(全人代)でそのまま承認される。

*現行の5カ年計画はGDP成長率を年率平均7%と想定している。

*第3・四半期のGDP統計は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。

bit.ly/1XdLq4H

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。
 本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



サーチナニュース 2015-10-21 17:31
http://news.searchina.net/id/1591997?page=1

中国の資産運用ビジネスは、「巨大な潜在力」を秘める=中国メディア

 中国メディア・中華網は19日、中国が世界最大規模の中産階級層を抱えており、「資産運用」ビジネスの市場には巨大な潜在力が秘められていると指摘する記事を掲載した。

 記事はまず、クレディ・スイスが13日に発表した最新の「グローバル・ウェルス・レポート」において、中国が日本を抜いて米国に次ぐ世界第2の富裕国となったほか、
★.中国の中産階級層が世界最多の1億900万人に達したと発表した
と紹介した。

 また、中国国家統計局が2005年に
★.「年収6万-50万元(約113万-940万円)の層を中間収入層とする」
と定めたとしたうえで、中国社会科学院が行った研究では、
★.中国における中産階級の割合が毎年1ポイントのペースで増加しており、
 2010年にはすでに総人口の22%-23%に達した
ことが分かったと伝えた。

 さらに、金融改革がさらに進行し、家庭の資産急速に増える一方で、長期的な資産運用計画、万一の事態に備えるの貯蓄などといった面での行動や意識が西洋の先進国に比べてまだまだ弱いことから、中国国内の資産運用市場には巨大な潜在力が秘められているとの分析が出ているとした。

 記事によると、対外経済貿易大学倫理研究センターの李宝主任は、中国において中産階級が急増した理由を
 「改革開放によってもたらされた経済の急速な発展が、国民にも押しなべて利益をもたらした」結果である
と説明。
 李主任は
 「世界経済の回復力が乏しい状況において、中国経済のパフォーマンスは依然として目を見張るものがある。
 都市化や大規模なインフラ建設が、経済成長をけん引する重要なエンジンになっている」
と述べたという。



Business Journal  2015/10/30 06:04 文=渡邉哲也/経済評論家
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151030-00010003-biz_bj-nb

中国、3倍速で崩壊?
7%の成長は困難 
下げ止まらない株価、倒産企業続出か

 10月19日、中国国家統計局が2015年7~9月期の国内総生産(GDP)を発表した。
 その数字は、物価変動の影響を除いた実質GDPで前年同期比6.9%増である。
 今年4~6月期の7.0%増から減少した上、リーマン・ショック後の09年1~3月期の6.2%増以来、6年半ぶりに7%を下回ったことが話題になった。

 中国政府は「今年のGDP成長率は7%が目標」としているが、中国経済の減退は今後も続くことが予想されており、目標達成に暗雲が立ち込めている。
 そもそも、
★.中国は長らく「保八」という政策目標を掲げてきた。
 これは「成長率8%以上を維持する」というもの
だが、ここ数年の中国は保八を割り込んでおり、14年の成長率は7.3%だった。

 そして、保八が達成できないどころか、今度は7%にも届かないかもしれないわけだ。
 ただ、当連載でお伝えしているように、中国は政府発表の数字も信用性が低いため、本当に今年7~9月期の成長率が6.9%なのかすら疑問である。

 英米のシンクタンクなども、3%前後ではないかという推定をしている。
 また、9月の貿易統計で中国の輸入は前年比マイナス20%であり、この数字からすれば、すでにマイナス成長に入っていると考えられるのだ。
 いくら資源価格の下落が起きているといっても、輸入が20%減少する中で、経済の規模を示すGDPがプラスであることはあり得ない。
 貿易統計は相手があるため、ほかの指標と違ってごまかしにくいのである。

 中国において、不動産や株式のバブル崩壊の連鎖が起きていることは、すでに述べてきたが、問題はそのスピードが速すぎることにある。
 通常、
★.金融面でのショックやバブル崩壊の影響が、
1].不動産やほかの市場に波及するまでに最低2~3カ月、
2].実体経済に影響が出るまでには6~8カ月
かかる。

 例えば、日本のバブル崩壊を簡単に振り返ってみよう。
 まず、日経平均株価が3万8915円のピークを記録したのは、1989年12月だ。
 よく、
★.「バブル崩壊は1991年から」といわれるが、
 景気が悪くなってきた実感を持ち始めたのは、1993年頃という人が多い
のではないだろうか。
 そして、
★.1997年には北海道拓殖銀行の破綻と山一證券の自主廃業があり、同時期に多くの金融機関が経営破綻に陥っている。

 このように、数年単位のタイムラグがあるわけだ。

■3倍の猛スピードでバブル崩壊が進む中国

 しかし、今回の中国のバブル崩壊はどうだろう。

 まず、6月中旬からの株価急落により、約3週間で3割以上が下落した。
 これは、GDPの3割に相当する3兆ドル以上が一気に失われた計算になる。
 7月6日から、政府の意向を受けた証券会社が2.6兆円規模のPKO(プライス・キープ・オペレーション)を行ったが、株価下落を抑制することはできなかった。

 7月8日には、株価暴落の抑制策として、上場株式の半数以上が売買停止になった。
 売買されない限りは株価が決まらないため、損失が出ないという目論見だったが、これも株価下落を抑えきれなかった。

 そして、8月11~13日に人民元の対ドル切り下げを行い、同月18日から再び実体経済の悪化懸念による株の暴落が起きている。この間、実に2カ月足らずだ。

 株による利益は、消費に向かいやすい傾向がある。
 約13億人の人口を抱える中国は、内需が旺盛なことで知られるが、これはいわゆる“あぶく銭”を元手にしたものが大きかったといえる。
 しかし、その原資であった株による儲けがなくなったため、内需の減速が起きるのは当然といえるだろう。

 内需の縮小と同時に、銀行の財務バランスも大きく崩される。
 不良債権などが大量に発生することにより、銀行の融資姿勢は貸し渋りや貸し剥がしをせざるを得ない方向に進む。
 そうなると、企業の倒産が相次いだりして、実体経済の悪化が顕著化するわけだ。
 中国の場合、この一連のプロセスが、通常より3倍程度も早いといえる。


東洋経済オンライン 2015/11/7 06:00 川島 博之
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151107-00090524-toyo-nb

「中国崩壊」論は、単なる願望にすぎない

 近年、中国脅威論や中国崩壊論があふれかえっている。
 しかし、それは、事実を踏まえた確かな根拠に基づくものなのだろうか。
 システム分析の専門家で未来予測のプロであり、『データで読み解く中国の未来』を著した筆者が、現実を直視した中国論を展開する。

■ 戦前も中国を過小評価していた

 「中国崩壊」。 
 これは、現在、日本人が好むキャッチフレーズのようである。
 このようなタイトルを付けた本や雑誌が街にあふれている。
 多くの日本人が中国崩壊を望んでいるために、本や雑誌は人々の歓心を買おうとしているのだろう。
 だが、これは大変に危険なことだ。
 それは、国際情勢を冷静に分析するのではなく、自己の願望に基づいて判断することにつながるからである。

 戦前、日本人は中国の実力を過小評価していた。
 中国軍は弱いと思い込んでしまった。
 日本軍が一撃すれば、すぐに降伏する。
 昭和12年に盧溝橋で日中が衝突したとき、日本人は朝野を挙げてそう考えた。

 「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」、これは当時、よく使われた言葉だそうだ。
 中国は生意気だから、一発くらわす必要がある。
 一発殴れば、日本の言い分を聞くはずだ。
 そんな思いが、小さないざこざにすぎなかった盧溝橋事件を大戦争に拡大してしまった。

 戦争責任は軍部にあるとされるが、盧溝橋事件が起きた当初、軍部は事件の拡大に消極的であったとされる。
 その一方で政治家が強気だった。
 そして政治家の背後に民衆がいた。
 その民衆を煽っていたのが当時の新聞であった。

 昨今の「中国崩壊」を謳った本や雑誌を見るにつけ、日本人はあの戦争を反省していないなと思ってしまう。
 ただ、筆者は声高に反戦を叫ぶデモを行えと言っているわけではない。
 もっと中国に謝る必要があると言っているわけでもない。

 平和を維持するためには、国際情勢を冷静に分析することが重要である。
 「中国崩壊」と題した本や雑誌は、まさに、国民の願望をあおる形で戦前と同じような状況を作り出してしているのではないか。

■ もはや中国の輸出規模は日本の3倍

 その結果、日本は正しい方向に舵をとることができなくなってしまった。
 ただ、それは日中戦争の再来を意味するわけではない。
 歴史はらせん型に繰り返す。
 もう一度、同じことを繰り返すわけではない。
 今度の戦争は武器を使った熱い戦争ではない。
 経済戦争であり、貿易戦争である。

 冷静に分析すれば、過去10年間、日本は中国との貿易戦争に「ぼろ負け」している。
 「えー、あのすぐ壊れる粗悪品を作っている中国に負けているの!」。
 多くの人が、そう思うだろう。
 だが、実際に負けている。
 その事実を知らないのは、マスコミが正しい情報を伝えてこなかったためだ。

 ただ、その背後には、誰も中国との貿易戦争を冷静に分析してこなかったという事実がある。
 マスコミが報道しようにも、報道すべきコンテンツがなかったと言ったほうが適切だろう。

 10年ほど前、日本と中国の輸出額はほぼ同額だった。
 しかし、2014年に中国の輸出額は日本の3倍になっている。
 2015年になって中国経済にバブル崩壊の兆候が見られ、輸出額が前年割れしていることはよく報道されている。
 ただ、前年割れすると言っても、それは数パーセントのオーダーである。
 だから、日本の3倍もの金額を輸出している事実に変わりはない。

 アベノミクスの大胆な金融緩和によって、円はドルに対して大幅に安くなっている。
 一時は1ドル=76円にまでなったが、現在は120円程度になっている。
 しかし、それでも輸出が思ったように増えない。
 その最大の原因は、世界中で中国の製品と競合して、競り負けているためである。

 為替を大幅に下落させても勝てない。
 この事実は重い。
 それは円安がこれからも続く保証はないからである。
 現在、海外旅行をすると、海外の物価を高く感じる。
 日本の実力を考えれば、円は不当に安くなっている。
 日銀の超金融緩和政策によって、円が過度に安くなっていると考えても間違いではないだろう。
 そうであるなら、数年のオーダーで見れば、1ドル=80円程度の円高が再来してもおかしくない。

 だが、1ドル=80円時代が再来すると、日本の輸出産業は絶滅するかもしれない。
 われわれは恐ろしい時代を生きている。
 しかし、マスコミはその事実を知らせることなく、中国が崩壊するなどといった無責任な情報を垂れ流している。
 そして、多くの人は心地よい情報を喜んで受け入れている。

 心地よい情報だけ聞いていては判断を誤る。
 それは歴史が証明するところである。
 相手をよく見て冷静に分析することは、何も難しいことではない。
 食料、エネルギー、貿易、不動産価格など多方面にわたるデータを集めて、総合的に考えてみることだ。
 その際には、自分の願望を分析に入れ込んではいけない。

■ 中国の強みと弱み「農民国家」

 そんな分析を続けると、貿易戦争において日本に勝ち続けている中国であるが、強い国だけの国でないこともわかる。
 中国は中進国になった今でも「農民国家」である。
 それは中国の強みにも弱みにもなっている。

 中国の人口は13億人であるが、現在でも、その中の9億人は農民戸籍のままである。
 都市戸籍を持つ人は13億人の中の4億人にすぎない。
 そして、奇跡の成長によって豊かになったのは、都市戸籍を持つ4億人だけである。

 農民戸籍の9億人の中で、若者を中心にした3億人が都市部に働きに出ている。
 彼らは農民工と呼ばれるが、その彼らを安い賃金でこき使うことが、中国の奇跡の成長の原動力になった。
 これが、中国が日本との貿易戦争に勝利できた最大の理由であり、中国の強みでもある。

 ただ、中進国になった中国がこれからも成長しようとすると、農村に取り残された老人を中心とした6億人の農民や、都市で農民工として働く3億人を豊かにしなければならない。
 だが、これは言うは易く、実現させることは難しい。
 実現不可能と言っても過言ではない。
 これが中国の弱みになる。

 日本でも農村の疲弊は大きな問題になっている。
 経済が発展する過程で農村が疲弊することは歴史の必然である。
 日本も農業を再建し農民を豊かにすることに苦労しているが、農民の数は多く見積もっても300万人程度である。
 しかし、中国には6億人もの農民がいる。
 それは日本の200倍。
 それに加えて3億人もの農民工がいる。

 農民工を豊かにするために彼らの賃金を上げれば、中国は輸出競争力を失う。
 だから、無暗に賃金を上昇させることはできない。
 しかし、そうであれば、中国のGDPがこれ以上増大することはない。
 中国政府は「新常態」なる言葉を使っているが、過去20年の奇跡の成長を続けることができないことは明らかである。
 そう考えれば、中国はそれほど恐ろしい相手ではない。

■ それでも貿易戦争では強敵

 日本の多くのマスコミは「中国崩壊」をはやしながら、その一方で中国の軍事的な脅威をあおっている。
 しかし、それは正しい認識ではない。
 今後、奇跡の成長を続けることができなくなった中国は、
 それほど大きな軍事的脅威ではない。

 その一方で、経済が停滞するために、バブル崩壊後に日本が行ったように、輸出に頼って経済を成長させようとするに違いない。
 その結果、貿易戦争の相手としてこれまでよりも一層恐ろしい相手になる。
 円安頼みの政策を続けていれば、円安が継続できなくなったときに、貿易戦争でよりひどく中国に負ける可能性が高い。

 円安が続いているうちに中国を冷静に分析して、円高になっても中国に勝てる産業構造に改めるべきである。
 そのために、それほどの時間は残されていないと思う。



サーチナニュース 2015-11-22 06:32
http://biz.searchina.net/id/1594904?page=1

中国の不動産バブル崩壊を案じることは「杞憂に終わる」=中国メディア

 中国不動産バブルの崩壊が危惧されるようになって久しい。
 なおバブルは崩壊はしていないものの、不動産価格の上昇は一部の大都市を除いてほぼ止まってしまった。
 価格が上昇しないということは、市場の原理から言えば需要が伸びていないということ
であり、
 すでに高騰した不動産を購入することを投資家たちも手控えている可能性がある。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(電子版)は、米国の華字紙・僑報が
 「欧米が心配する中国経済のハードランディングは取り越し苦労」
と主張したことを伝え、
 中国の不動産バブル崩壊を案じることは「杞憂に終わる」
と論じた。

 記事はまず、中国国家統計局が報告した不動産開発投資の数字を挙げ、不動産開発投資の伸びが2014年1月以来、20カ月連続で低下するなど、明らかに減速していることを指摘。
 こうした不動産開発投資の伸び率が減速しているゆえに、中国国外から中国経済のハードランディングを危惧する声が聞かれるようになったと論じた。

 また、不動産市場の過剰在庫も問題となっており、ディベロッパーが資金を回収するまでに要する時間が長期化していることも不動産開発投資の伸び率が鈍化した原因だと指摘。
 中国では不動産業が中国経済を支える主要産業の1つであることから、不動産市場の不況は中国経済全体に多大なダメージを与えることを指摘した。
 
 一方で記事は、中国政府が発表した2016年から20年までの5年間の発展計画「第13次5カ年計画」において、経済成長率は少なくとも6.5%を保つ必要があると言及されたことを指摘。
 中国政府は需要を調整するための政策をさらに打ち出す可能性があると伝え、中国が1人っ子政策の撤廃を決めた今、中国経済のハードランディング論は杞憂にすぎないと論じた。

 中国では大都市のみならず、地方都市でも今なおマンション建設が行われている。こ
 れ以上、マンションを建設する必要があるのかと疑問に感じるが、1人っ子政策の撤廃によって人口が増加し、不動産バブルが崩壊しないことを心から期待したい。
 中国経済がハードランディングすれば世界経済も大混乱してしまうからだ。







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