2015年10月19日月曜日

底が抜けた中国経済(5):新常態は「7%」から「6.6%」へ修正、死守すべき成長率の「最低ライン」、ハードランディングへ

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 中国経済その成長率を以前の『保八』の8%から、新常態の7%へ修正した。
 だがこの7%の維持不可能なようで、「6.6%」を新たに設定した。
 果たしてこれも可能なのかというと、はなはだ危うい。
 来年あたりには5%に突入することもありえる。
 底が抜けた中国経済を支えるにはそれなりのエンジンが必要だが、それが見えてこない。
 相変わらず国内にゼニをばら撒いて、ゴーストタウンや赤字高速鉄道を作ったところで、工事中は経済に貢献するが完成と同時に資源の捨て場になってしまう。
 この国未来が見えてこない。
 

サーチナニュース 2015/10/19(月) 17:18
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=1019&f=business_1019_033.shtml

中国経済が死守すべき、成長率の「最低ライン」=中国メディア

 これまで2桁の成長を続けてきた中国経済が減速している。
 2015年第1四半期および第2四半期の成長率は7.0%にとどまり、雇用を安定させるうえで必要とされる最低ラインの成長率を何とか維持している状況だ。

 中国メディアの新華社は15日、かつての中国経済にとって「高速」という言葉は代名詞のような存在だったとしながらも、もはや2桁の高度成長を取り戻すことは難しい中国にとって
 「最低限必要な経済成長率はどれほどか」
を論じる記事を掲載した。

 記事は、中国経済の減速は「偶然か、はたまた必然か」と疑問を投げかけつつ、中国国務院発展研究中心の王一鳴氏の見解として
 「世界的な経験に照らし合わせれば、成長率の鈍化は高度経済成長後の自然な調整と考えられる」
と主張。

 さらに、日本や韓国なども国民の所得が大きく伸びた後に経済成長率が鈍化したと指摘し、王一鳴氏が
 「現在の中国の1人あたりGDPは日本の1970年代、韓国の90年代の水準に相当し、ちょうど日韓両国ともに高度成長が終わったタイミングにあたる」
と指摘したことを紹介した。

 また記事は、高度成長は「諸刃の剣」であると指摘し、高度成長によって経済の規模は拡大するが、成長の背後でさまざまな問題や矛盾を抱えることになると指摘。
 中国も高度成長の背後で、環境問題や貧富の差の拡大といった矛盾を抱えたことを指摘し、
 高度成長よりもむしろ、安定した合理的な成長のほうが好ましい
との見方を示した。

 続けて、
★.15年上半期の7.0%という成長率は合理的な水準だったとし、
 問題は今後もこの水準を維持できるかどうかだ
と指摘。
 同水準を維持することは中国経済の構造転換を進めると同時に、世界経済に対する影響力の維持につながると伝え、2016年から20年にかけての第13次5か年計画期間中に
 「個人所得とGDPを10年実績の2倍にする」
という目標を実現するための
★.最低ラインとして成長率6.6%を死守
する必要があるとの見方を示した。



TBS系(JNN) 10月19日(月)19時11分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151019-00000028-jnn-int

 GDP成長率7%割れ、
 中国景気減速の現場は・・・



 日本にも大きな影響を与える中国経済の減速が一段と鮮明になっています。
 今年第3四半期のGDP=国内総生産の成長率は6.9パーセントと、リーマンショック後以来、およそ6年半ぶりの7パーセント割れとなりました。
 中国の今年7月から9月期のGDP成長率は、去年の同じ時期と比べ、6.9パーセントとなりました。
 中国政府が今年の目標と掲げる7パーセントを割り込むのは、世界的な金融危機となったリーマンショックの直後以来、実に6年半ぶりです。
  中国経済の現場では、一体、何が起きているのでしょうか?

 「では見てみましょう!61台売れました!」(ホンダ武漢店)
 内陸部・武漢市の自動車販売店で行われた、中国ならではの一斉セールです。
 「イベントが始まって、まだ20分しかたっていませんが、現金を持った客がずらりと並んで、車が次々と売れていきます」(記者)
 車を買う人が増えれば増えるほど値引きされるというこのセール。
 熱気の中、契約が成立していきます。
 「お金は大変だけど、子どものために買います」(購入者)

 一見、景気が良さそうですが、中国全体では、自動車販売台数は5か月連続で前年割れ。景気の減速が一段と鮮明になっています。
 福建省泉州市。
 陶器や衣服の製造で知られるこの街も今、景気減速の波にあえいでいます。
 「アパレルメーカーの工場ですが、操業を停止していて人の気配がまったくありません」(記者)
 このメーカーは去年8月に社長が失踪し、その後、経営が破綻。
 工場団地では、他にもシャッターを閉めた店や操業を停止した工場が目立ちます。
 「失業者は増える一方です。
 注文も少なく、工場の多くは休業で、リストラも増えています」(零細企業の従業員)

 輸出の不振に加え、国内消費の伸び悩み。その背景にあるのが“不動産市場の低迷”です。
 「この部屋は広さが110平米あります」(泉州東海開発有限公司 梁軍毅副社長)
 マンションを販売する梁さんも、市場の不振に頭を悩ませます。
 「今最も重要な問題は、供給が需要を上回っていることです」(泉州東海開発有限公司 梁軍毅副社長)
 地方政府の大きな後押しもあり、過剰ともいえる不動産開発が行われてきました。
 その結果、在庫がだぶつき、価格が下落。泉州市では15か月連続で販売価格が前の月を下回っています。
 「今年は去年より、さらに悪くなるかもしれない」(泉州東海開発有限公司 梁軍毅副社長)

 建築用資材やマンション購入に伴う家具や家電など、裾野が広い不動産産業。不動産投資の減退は、消費をもろに直撃しています。

 こうした事態に日本の企業は・・・。
 ホンダは依然、高い成長が望める内陸の都市での販売に力を注いでいます。
 しかし・・・
 「今までみたいに即決で『これいいね買おうぜ』というノリではなくなっている」(広汽ホンダ 水野泰秀社長)
 消費意欲の高い若者を狙いSUV車を投入するなど、“新しい客層の開拓”が緊急の課題となっています。
 「世界中で自動車で市場が大きくて伸びるというのは中国しかない。
 需要市場の位置づけは変わらない」(広汽ホンダ 水野泰秀社長)

 来週から始まる共産党の大会で、「新しい経済5か年計画」を打ち出す中国。
 輸出やインフラ開発頼みから、消費主導の経済に改革できるのか、まさに正念場となります。
(19日15:06)



サーチナニュース 2015/10/20(火) 11:22
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=1020&f=business_1020_019.shtml

中国経済のハードランディング
・・・「金融市場の制御」がカギ!=中国メディア

 中国経済の鈍化が鮮明になるにつれ、中国経済が将来的にハードランディングするのではないかという懸念が世界的に高まっている。

 中国メディアの匯通網は14日、中国国家統計局が同日発表した9月の消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回り、前年比1.6%の上昇にとどまったと伝え、8月の2.0%の伸びも下回ったことを伝えた。

 さらに、物価指数の伸びだけでなく、輸出も鈍化傾向にあることを指摘したうえで
 「中国の経済指標が予想を下回るケースが相次いでおり、
 中国経済のハードランディングの可能性が高まっている」
と危機感を示した。

 また、香港メディアの鳳凰網は15日、フランスの大手金融機関ソシエテ・ジェネラルのエコノミストの分析を引用し、
★.中国経済の鈍化が世界経済もしくは世界の金融市場に危機をもたらす可能性は低い
と伝える一方で、
★.中国政府が金融市場を制御しきれなくなることで、中国経済がハードランディングする可能性がある
と紹介。

 さらに同エコノミストが
 「中国の為替相場メカニズムの変化が
★.『破壊的な資本流出』につながる恐れもある」
とし、
 為替相場メカニズムの変化が中国経済のハードランディングを招く可能性もある
ことを指摘していると紹介した。



ダイヤモンドオンライン 2015年10月21日  陳言 [在北京ジャーナリスト]
http://diamond.jp/articles/-/80316

中国の新五ヵ年計画まもなく公表
目標成長率は年6.5%前後か

 来る10月23日にイギリス訪問を終えて帰国する習近平国家主席は、さっそく26日に第18回中国共産党中央委員会第5次全体会議を開くこととなっている。
 同全体会議は29日まで開かれるが、国民経済社会発展第13次5ヵ年計画(十三五、2016~2020年)などの重要な問題について議論する予定である。

 2016年以降の中国経済は、どんなトレンドで発展していくか、新しい5ヵ年計画の骨格をほぼこの全体会議で決め、来年3月の全国人民代表大会(全人代)で審議して、正式に決定することとなる。

 中国国家統計局のウェブサイトで発表された報告によると、第12次5ヵ年計画(十二五、2010~2015年)期間中の中国経済成長率は年平均8%近くで推移すると見込んでいるという。
 これは同じ時期の世界の年平均成長率、約2.5%を大きく上回るだけでなく、世界主要経済国の中でも上位を占める。
 十三五期間中にどんな成長率を求めるかについては、世界中が大変、注目している。

■全体会議で経済成長目標引き下げの可能性

 新華通信社傘下の『経済参考報』は10月12日、専門家の分析を引用し、経済の下押し圧力が増大する状況から、
★.「十三五」では経済成長目標が「十二五」の7%から 「6.5%」に引き下げられる可能性がある
と報じた。

 ここでひとつ断っておきたい。
 いままでの5ヵ年計画はいずれも目標を低く立てて、目標以上に達成させていき、政策的余裕を残してきた。
 たとえば第11次5ヵ年計画(十一五、2006~2009年)の場合、国の定めた目標は7.5%だったが、省レベルでは10.1%に達し、その下の市レベルでは13.1%、さらに市の下にある県(日本では県のほうが市より上だが)となると、なんと14.2%に達した。
 さらに「十二五」の場合、目標成長率は7%だったが、実際の成長率は8%だった。

  「十三五」期間中の経済成長目標の引き下げについては現在も議論がある。
 中国社会科学院の最新の予想によると、2015年の経済成長は最近では初めて政府の目標を下回る見通しだ。
 近年の経済成長率の鈍化によって、安定成長の維持はより重要となっており、このため「十三五」で成長目標が6.5%に引き下げられるとの観測が出ている。

 そうした観測の根拠としては三つの理由が挙げられている。
1].一つは、「十八大(中国共産党第18回全国代表大会)」で掲られた
 “2つの2倍化”(GDPと都市住民の平均収入を2020年までに2010年の2倍にする)いう目標は、
2015年のGDP成長率が7%と仮定すれば、「十三五」期間中は平均6.6%成長で達成可能であり、それほど高い成長目標を設定する必要はないというものだ。
 客観的に見ても、資本と労働、土地などあらゆる要素の成長率が低下している状況の中で、7%の成長を維持するのは非常に難しい。

2].二つ目の理由は目標成長率の引き下げには先例があるという点だ。
 「十二五」の成長目標7.0%も、「十一五」の7.5%から引き下げられている。

3].そして三つ目の理由は、経済成長目標はあくまでも参考指標に過ぎないという点だ。
 “2つの2倍化”という目標実現の前提は、「経済発展方式の転換が、バランス、協調性、持続可能性の面で大きな進歩を遂げることを基礎に」とされており、「十三五」期間中は経済構造調整や経済成長の質がより重要になると見られている。

■「十三五」の成長戦略はサービス業がカギを握る

  「十三五」では、
 メディア・インターネット、
 医薬品、
 軍需産業、
 環境保護・新エネルギー
という4つの業界と、
 国有企業改革、
 人口政策の調整、
 「中国製造2025」計画、
 軍民融合、
 対外開放の深化
という5つのテーマが焦点になると、中国国際金融公司(CICC)は関連の報告書で分析している。

  「インターネット・プラス」は2015年初めに李克強国務院総理が政府活動報告の中で打ち出した戦略だ。
 「中国製造2025」計画は、省エネ・環境保護、次世代情報技術、生物、ハイエンド設備の製造、新エネルギー、新素材、新エネルギー自動車などを含む。
 さらに商業や消費と関わりのあるサービス業も注目されている。

 そこから利益を受けるのは、ハイエンド機械設備や新エネルギー自動車、海洋開発設備を生産する企業であろう。
 中国政府は「十三五」計画でGDPに占めるサービス業の比重を高めようとしている。

 「十三五」期間では中国の新型原子力発電所が大いに発展するだろうと見られている。
 すでに日本でも報道されたが、この期間中に中国は5000億元の資金を投入し、2030年までに発電能力と運行発電所の数で日米を上回り、世界最大の原子力強国となることを目指している。
 毎年6~8基の原発を建設するという中国原発躍進の時期は、この時からスタートするだろう。

■6.5%前後を維持できれば十分 
 中国経済悲観論は行き過ぎ

 日本では中国経済は危ういという報道が多いが、
★.中国ではむしろ6.5%前後の経済成長を維持できれば十分という考え方が圧倒的である。
 中国経済崩壊論や危機論は、たぶん中国の消費力を正確に見ていないのではないか。
 「十三五」で強調するサービス業が秘めている可能性を注目すべきであろう。

崩壊論や危機論の根拠は、中国経済の減速と製造業部門の不振だが、
 中国経済における消費の急速な拡大に対する見方が欠落しがちである。
 今年、中国の小売業の販売額の実質的伸びは経済成長率の7%を大幅に上回る17%に達したと米ピーターソン国際経済研究所(Peter G. Peterson Institute for International Economics)は見ている。
 中国の小売業の販売額の統計データにはサービス業が含まれていない。

 サービス分野での支出のうち、中国の家庭の消費の割合は40%に達している。
 もしサービス業の消費も計算に入れれば、消費の伸びが大きくなり、それが中国経済に占める割合もさらに高くなるとみられる。

 そして、現在中国経済の中で雇用を最も吸収する部門はサービス業部門であり、サービス業は総生産高が拡大し、雇用吸収力が高まっていることから、工業部門の相対的不振が住民の実質所得に与える影響も、またきわめて限られている。

 このように、「インターネット・プラス」などの生産やサービス業の可能性、内陸経済の発展、さらに一帯一路などによる海外への展開によって、中国は「十三五」でこの少々強気とも思われる6.5%前後の成長目標を立てるだろう。

 10月29日に第18回中央委員会第5次全体会議からどんなシグナルを飛び出すか、しばらく中国経済から目を離せない。

■陳言氏責任編集の日刊中国ニュース『速読中国』創刊!
『速読中国(チャイナ・モーニング・エクスプレス)』は、中国経済に関心を持つ日本企業のための、早わかりニュース速報。毎朝メールでお届けします。グローバル企業、とくに中国に駐在する日本企業に役立つ、中国の最新ニュースを選りすぐって紹介。政治・経済・政策・マーケットの最新ニュースを簡潔かつ明快に分析・評論します。
有料ですが、おためし読みをしたい方は、chenyan5931@163.comまでお申し込みください。



サーチナニュース 2015/10/21(水) 18:04
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=1021&f=business_1021_034.shtml

中国の6年半ぶりの低成長、
「いわれているほど悪化ではない」=大和総研が見解

 中国の国家統計局が発表した2015年7月~9月、1月~9月の実質GDP成長率がともに前年同期比6.9%となり、約6年半ぶりの低水準となったことで、巷では「中国のバブル崩壊」など先行きを悲観する論調が強まっている。
 大和総研経済調査部の主席研究員 齋藤尚登氏は2015年10月21日にレポート「中国:6年半ぶりの7%割れだが・・・」(全10ページ)を発表し、
  「景気減速は今に始まった話ではなく、巷でいわれるほどの悪化ではない」
という見方を示した。レポートの要旨は以下の通り。

◆:国家統計局によると、2015年7月~9月、1月~9月の実質GDP成長率はともに前年同期比6.9%だった。
 015年の政府経済成長率目標である7.0%前後を下回り、2009年1月~3月(同6.2%)以来6年半ぶりの低水準となったが、2015年1月~6月の同7.0%からは僅か0.1%ポイントの減速である。
 実質GDP成長率は2010年の前年比10.6%をピークに5年にわたり低下傾向が続いている。
 景気減速は今に始まった話ではなく、ここへきて急速に景気が悪化しているわけでもない。

◆:9月下旬に実施した政府系シンクタンクや現地エコノミストへのヒアリングでは、
 「中国政府は2015年の政府成長率目標7.0%前後に対して、若干の下振れ(6.8%~6.9%)を容認する」
との見方であった。
 一部で期待が高まっている、
 かつての4兆元の景気対策のような大規模な政策発動は全く想定されていない。
★.当面は、ソフトランディングを目指すための追加金融緩和やある程度の財政政策などの景気下支え策が若干強化されるとみている。

◆:10月26日~29日に開催される五中全会では、2016年~2020年の経済運営方針・目標を盛り込む第13次5ヵ年計画が討議される。
★.成長率目標を現5カ年計画の7%前後から6.5%前後に引き下げる
ことなどを議論するとみられる。

◆:重要なのは、大規模な景気刺激策の発動が想定されないなか、
★.如何にして重点分野の増強を図るか
という視点である。
 政府系シンクタンクへのヒアリングでは、
 「新5カ年計画で、環境保護投資に対して『投資減税』を導入し、企業にメリットを感じさせることを提案したい」
との指摘があったが、全くの同感である。
 これまで、中国企業が大気汚染対策をはじめとする環境保護投資に前向きでなかったのは、こうした投資をコストと見做し、それを抑えることが是とされたためである。
 同様の構図は研究開発投資にも当てはまる。
 こうした『投資減税』を示唆する内容が出てくれば、プラスに評価したい。

(情報提供:大和総研、編集担当:徳永浩)



ロイター  2015年 10月 22日 10:22 JST James Saft
http://jp.reuters.com/article/2015/10/22/column-china-economy-idJPKCN0SG03120151022?sp=true

コラム:数字に出ない中国経済の「非常態」

[20日 ロイター] -
 中国ではすべてがかなり計画通りに、予想通りに進んでいる。
 言い換えれば、非常に悪い方向にという意味だ。
 19日に発表された6.9%という第3・四半期の中国国内総生産(GDP)伸び率について、市場は懐疑的な含み笑いを浮かべつつこれを受け止めた。

 しかしそれは、7%という自国が掲げた目標を下回り、金融危機以降で伸び率が最低だったからではない。
 発表された数字が説明のつかないほどに、しかし完全に予想できたほどに高かったからだ。
 驚くべき早さで編集され、ほとんど修正されることのない中国の経済指標が信用ならないというのは、ほとんど自明の理と言えるだろう。

 それは正しいかもしれないが、現在の状況から言えば、まだ余興にすぎない。
 確かに、
 過去3年間で中国のGDP伸び率がロイターの予想を下回ったのは、たったの1度
しかない。
 操作されていないとしても、データが明らかにそこそこ高いということが問題なのではない。
 重要なのは、
 投資主導の経済から国内消費をけん引役とする経済への移行が、現在進行中である
ということだ。
 それは当然ながら、中国国内にとどまらず、同国の大きな原材料需要の恩恵を浴する他国にとっても痛みを伴うだろう。
 その移行過程では、消費側に悪影響を与えることも多い。

 ハードランディングしようがソフトランディングしようが、中国の経済モデルの移行は数周期続くが、その中には恐らくその両方が含まれるだろう。
 そして最終的には、政府が支援をさらに投じることになり、国内外でさらなる痛みが訪れることになる。

 「生産と投資に関するデータに回復はほとんど見られない。
 消費とサービスの回復力は、データは限られているものの、依然として成長の柱となっている。
 これらのデータが示しているのは、追加緩和が必要ということだ。
 さらなる金利引き下げは差し迫っているように見えるし、漸次的な財政支援も続くだろう」
と、ソシエテ・ジェネラルのWei Yao氏とClaire Huang氏は顧客向けメモに記した。

 表面的な数字よりも、下層の数字は少し弱い。
 単に物価下落による調整によって、成長率は目標に非常に近いレベルに維持できている。
 名目GDPは6.2%だった。
 建設と製造を含む伸び率では年率わずか0.2%で、1993年以来、最低となる。
 1─9月のビルや機械などの固定資産投資も予想以上に鈍化した。

■<怪しい伸び率>

 これは間違いなく正しい方向に向かっている動きだ。
 だが、銅や鉄などのコモディティー価格を注視している人ならすでに、過去四半世紀の間、新たな一大市場だった中国の需要がつまづいていると感じていることだろう。

 この点については、「李克強指数」を参照するといい。
 同指数は、李克強首相が遼寧省トップを務めていた時代に、経済状況を測る物差しとして3つの統計を重要視していたとされることに由来する。
 その3つとは、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行貸出で、経済分析などを行うワールド・エコノミクスがこれら統計に基づいて算出した指数によると、
 同国の成長率は3%をわずかに上回る程度になり、
中国が発表した6.9%や目標とする7%にはるか及ばない。

 確かに、李克強指数がわずか1%を超える水準だった4月ほど状況は悪くないように見える。
 しかし同指数は、2013年8月中旬から確かな下降傾向にあり、下げ幅は公式データよりも大きい。
 言うまでもなく、李克強指数は中国が目指そうとする経済を測るというより、同国が抜け出したい経済を表している。
 加えて、GDPは成長を測るものであり、投資の良し悪しを評価することはできない。
 2006年の米GDPは、ひどい住宅投資のせいで実際より良く見えた。

 中国では投資はさまざまな段階で行われており、
 それ故に米国より悪い投資もはるかに多い。
 さらにその大半は債務で資金調達されている。
 こうしたプロセスが変わるのはいいニュースだ。
 ただ、中国に原材料を輸出しているのであれば、そのように感じないかもしれないが。

 消費に関するデータも同様に信用するのが難しい。
 9月の小売売上高は実質ベースで前年同月比11%近く増加したものの、第3・四半期の消費は落ち込んだ。

 信用貸しも増加した。
 中国の過熱する株式市場に流れていたマネーが現在、国内債券に向かっていることも興味深い。
 中国鉄鋼最大手の国営中鋼集団(シノスティール)が債券保有者に、債務不履行(デフォルト)するかもしれないと警告したという報道を考えれば、中国市場の花火は単に打ち上がる舞台が移されただけなのかもしれない。
 もちろん、株式市場のときと同じような政府の介入付きで。

 大変な移行の中で、卵の殻は破られることになる。
 だが、味見する前に必ずにおいを嗅いだ方がいいだろう。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



時事通信 2015/10/24 08:27
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151024-00000017-jijnb_st-nb

経済減速、止まらず
=公共投資主導に限界
-不動産開発が低迷・中国

 中国経済の減速が止まらない。
 2015年7~9月期の成長率は6.9%にとどまり、リーマン・ショックに直撃された09年1~3月期以来6年ぶりに7%を割り込んだ。
 政府は公共投資主導で減速を食い止めようと必死だが、回復のカギを握る不動産市場は低迷から抜け出せないでいる。

■◇民間業者は二の足

 「悪徳不動産業者よ、血と汗で稼いだ金を返せ」。
 不動産開発が行き詰まった遼寧省営口市のニュータウン。
 分譲販売センターだったとみられる荒れ地の廃屋に、真っ赤なスプレーで怒りに満ちた殴り書きがあった。
 「市政府が対応せよ」
と当局主導の解決を望む文言も記されている。
 地元住民によると、計画中のマンション物件を先行販売した後、開発業者が資金不足に陥り、建設できないままになっているという。
 現場では建設途中で放棄された建物が2棟、野ざらしになっていた。
 中国では、着工前に販売して資金を集める手法は珍しくない。

 地元政府は、景気減速阻止に向けて公共投資を加速せよとの中央政府の号令を受け、
 ニュータウンで警察、裁判所、税関、政府系銀行などの建設を急ピッチで進める。
 不動産業界関係者は「11月初めに市庁舎も移転してくる」と話した。
 だが、北京や上海などの大都市と異なり、人口流入を期待できない地方都市で住宅販売を上向かせるのは容易ではない。
 地元政府の意気込みとは裏腹に、民間の開発業者は二の足を踏み、建設中の公的施設の周辺は荒れ地が広がるばかりだ。
 営口と似た状況は多くの地方都市で見られ、1~9月の不動産開発投資額は前年同期比2.6%増にとどまった。
 今年1~2月まで2桁の伸びを続け、長期にわたり中国経済の原動力の一つとなってきたが、異例のマイナス転落が目前に迫る。

■◇個人消費に影響も

 中国では今夏、株価急落が世界中の注目を浴びたが、北京のエコノミストは「不動産の資産効果は株式の比ではない」と語る。
 住宅の値下がりが続けば転売益を見込めず、自動車などの高額品のほか、一般消費にも深刻な影響をもたらす。
 消費主導型の経済構造への転換を目指す中国政府はそれを強く警戒している。
 9月は粗鋼生産量が3.0%減、セメントが2.5%減、平面ガラスが5.3%減。
 いずれも不動産開発投資の減速が大きく響いている。
 これらの業界は過剰生産設備を抱えており、住宅建設が増えなければ苦境が続くのは必至だ。

 今のところ、政府が最重視する雇用情勢に、目立った異変は見られない。
 そのため、08年のリーマン・ショック直後のような大規模な景気対策は打ち出さない構えだが、不動産不況がさらに長引けば、中国経済は復活の足掛かりを失う。



サーチナニュース 2015-10-30 19:48
http://biz.searchina.net/id/1592964?page=1

中国から立ち去る企業・
入り込む密航者、
「蛇頭」に見られる「逆流現象

★.中国が1990年代からの高度成長に成功した最大の理由が、外資導入に成功
したからだった。
 それから20年あまり。外資企業の中国からの撤退が目立つようになった。
 一方で、中国ではベトナムなどからの密航者が発覚することも増えた。

 1980年代に、社会主義国としては実に大胆な外資導入を決断したのはトウ小平だ。
 当時の中国には産業を発展させるための資金がなかった。
 だから外資を導入した。
 先進国は中国を「低コストで生産できる工場」とみなした。
 中国で生産した安い工業製品が世界各地で売りさばかれた。

★.中国共産党としては国民に「改革開放で裕福になりつつある」と実感させねばならない。
 さもなくば支持を失う。
 したがって、中国人の平均的所得水準は、物価上昇以上の速度で引き上げられねばならない。

 中国の格差問題は極めて深刻だが、工場労働者の賃金は上昇しつづけた。
 その結果、外国資本が中国を「工場」とするメリットは低減した。
 とすれば
★.中国特有の「複雑怪奇な行政」というマイナス面がずしりとのしかかる。
 「三十六計、逃げるにしかず」
ということになる。

 ただし、
★.中国を工場とみなすか市場とみなすかで、結論は異なる。
 「単なる工場」とみなすなら、「逃げるにしかず」だ。
  一方で、中国を「巨大市場」と考えるなら、中国に残る意味が出てくる。
 ただし、「主たる生産現場を他の国に移して中国に売る」という方法もある。
 円安の進行している現在は、日本企業の工場の『帰国』現象も目立つようになった。

 ここで東南アジア諸国連合(ASEAN)に目を移そう。
★.人1人あたりGDPが中国より大きいのはシンガポール、ブルネイ、さらにマレーシアの3カ国だけだ。
 つまりASEANの多くの国民は、中国人より貧しい。

 とすれば、中国に行って働けばよい収入を得られると思う人は出てくる。
 しかし中国は、単純労働者を受け入れていない。
 とすれば密航を企てる者も出てくる。

 1980年代から90年代にかけて「蛇頭(スネークヘッド)」と呼ばれる「中国人を先進国に密入国させる」組織が注目された。
 その蛇頭が今や、東南アジア人を中国に密入国させる“稼業”に精を出しているという。

 23日付検察日報によると、浙江省でベトナム人2人と中国人3人がこのほど、他人を密入国させた容疑で起訴されることになった。
 5人は1人当たり日本円換算で5万7000円程度を支払わせて、ベトナム人数十人を中国に密入国させていたとされる。
 中越国境の川を小舟で渡らせ、陸上の国境ゲートを迂回して運んでいたという。

★.「外資企業の撤退」も「蛇頭の逆流」も「中国人観光客の爆買い」も、
 中国が一応の経済成長を遂げたことのあらわれだ

 もちろん、経済状況だけですべてを説明できるわけではない。
 中国では今も、先進国に移住したいと考える人が多くいる。
 しかも、経済的に成功した人に「海外雄飛の夢」を実現させる人が多いという。
 日本や欧米に留学し、卒業後には自国企業から高い地位と収入を提示されたのに、日本や欧米での「キツイ生活」を続ける人もいる。
 これらの人は、中国に居続ける場合のマイナス面やリスクを感じ取っていると言うことになる。








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