2015年10月25日日曜日

底が抜けた中国経済(6):低迷する中国経済の課題を整理する、軍事費の増加も経済にはマイナス、長期の経済低迷がやってくる

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ロイター 2015年 10月 24日 21:11 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/10/24/nakaso-boj-idJPKCN0SI0DJ20151024

中国の大幅調整リスク小さい、輸入減速は不可避
=中曽日銀副総裁


● 10月24日、日銀の中曽宏副総裁は、中国の北京で開かれたフォーラムに出席し、中国経済が大幅に調整するリスクは大きくない、との認識を示した。上海で5月撮影(2015年 ロイター/Aly Song)

[北京 24日 ロイター] -
 日銀の中曽宏副総裁は24日、中国の北京で開かれたフォーラムに出席し、
 中国経済が大幅に調整するリスクは大きくない、
との認識を示した。
 また、当局が経済の構造改革を進める中で、中国の輸入減速は不可避と語った。

 中曽副総裁は中国経済について、減速しているものの、
 「実質GDPで前年比6%台後半から7%の成長を続けており、依然として世界経済の成長に大きく貢献している」
と指摘。
 中国当局が成長目標にコミットしている中で「政策的な対応余地がある」とし、
 「当面は中国経済が予想しないようなかたちで大幅に調整するリスクは大きくない」
と語った。

 中国経済の減速自体は、サービス産業や個人消費を中心とした「持続可能な成長モデルへの構造転換」を当局が進める中、「避けることはできないプロセス」としながら、
 「長期的には中国の成長の持続可能性を高める」
との認識を示した。

 中国の輸入は「実質成長率以上に減速している」としたが、背景には
 「中国経済のサービス経済化という構造変化が寄与している」
と分析。
 製造業に比べたサービス産業の輸入誘発力の低さや、製造業の内製化比率の引き上げなどで中国の輸入減速は不可避とし、
 「日本を含めて中国との貿易関係が密な国々にとっての影響は無視できないが、
 冷静に受け止めた上で、適切に対処していくことが求められる」
と語った。

 また、中国が政策の透明性を確保するための方策の1つとして、
 「為替市場においても介入額などの重要な情報を公表していくことが市場の信認につながる」
と述べた。



Yahoo!ニュース 2015年10月24日 21時27分配信
児玉克哉  | 社会貢献推進機構理事長・UBrainTV株式会社取締役
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kodamakatsuya/20151024-00050794/

低迷する中国経済の7つの課題~軍事費の増加も経済にはマイナス

 中国経済の低迷が注視されています。
 中国人民銀行は10月24日に、追加利下げとともに、預金準備率引き下げを実施しました。
 二つの金融緩和策を同時に行う異例の措置をとったわけで、これは中国経済が厳しい局面に立たされており、強力な経済政策を打ち出さざるを得ないということを示しています。

問題は、これで解決するのか、ということです。こうした金融措置をしても一向に景気は上向きません。
 それ以上に問題があるのです。
 7つの課題として整理してみましょう。
 
1.資本の流出 

 まずは、海外からの資本の流入が少なくなるとともに、逆に資本の流出があるということです。
 中国経済のミラクル的成長を可能にしたのは外国資本の流入でした。
 13億とも14億とも言える巨大な労働市場と消費市場を持っている国です。
 多少の難があろうとも、金がダブついていた世界の金融界は中国に資金注入をしていきました。
 また国際企業の企業進出も盛んでした。
 相当に不利な規制がかかっていても、「未来の市場」である中国への進出は、欧米や日本の企業や金融機関にとって魅力でした。
 失敗も多かったのですが、それでも次々と新たな投資がやってきました。
 今、その投資が鈍化しています。
 むしろ海外の流出する資金も多くなっています。
 実態以上に成長した中国経済は、急速に減速している
のです。

2.生産過剰

 中国への過剰な投資は、過剰な生産能力を作り上げました。
 消費が追いつかなければ、これはむしろマイナスになります。
 過ぎたるは及ばざるがごとし、というか、
 過ぎたるは及ばざるより悪い、のが資本主義なのです。
 中国は社会主義の計画経済のはずでしたが、今の中国経済はデータの改ざんなどを除けば資本主義そのもの。
 鉄鋼や石炭は明らかに生産過多であり、価格の暴落を呼び込み、企業は赤字に転落しています。
 コンクリートやアルミニウムなども生産過多から赤字経営の企業が増えています。
 船舶は世界のトップに躍り出ましたが、最近は受注が減っています。
 稼動しない工場も増えています。
 さらに、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの企業も期待されていましたが、世界的に増加率が落ちているなかで、生産能力を生かせない状況が続きます。
 結局、赤字に転落し、将来の見通しも明るくありません。

3.将来に繋がらない公共投資

 リーマンショック以降、中国は景気対策として巨額の公共投資を行いました。
 将来に繋がる公共投資と繋がらない公共投資があります。
 中国では、巨大なゴーストタウンを作る公共投資など、将来に繋がらないものも沢山出来ました。
 これらはむしろ「ゴミ」になります。
 無謀な計画で、税金を使うための公共投資といえるものも多かったのです。
★.その資金注入の時にはそれらもGDPを引き上げる効果はありました
が、こうしたものは結局は
★.GDPを引き下げる効果
を持ち始めます。
 今からその時期に入る
のです。

4.不動産バブルの崩壊

 中国で中流以上の人たちが潤ったのは、不動産の価値の高騰でした。
 北京や上海などの大都市にちょっとしたアパート、マンションを持っていれば、それだけでかなりの資産家になれました。
 それを担保に金融機関はそれまでは考えられなかった資金を貸してくれます。
 かつての日本も経験した不動産バブルです。
 その資金が社会にまわり、経済をさらに活性化させました。
 しかし、その不動産バブルが弾ければ、急速に経済は落ち込みます。
 まだまだその序の口。
 一層のバブル崩壊が起きると、
厳しい状況が訪れます。

5.環境問題

 環境の悪化は、企業コスト、社会コストを大きく上げています。
 これまではあまり意識することなく、ひどい公害を出してきました。
 だから安いコストで競争力があったといえます。
 しかしさすがに最近の大気汚染や水汚染は無視できない状況です。
 相当なコストが必要になります。
 単なる規制強化だけでなく、浄化へのコストもかかります。
 過去のつけを支払わなければならなくなりました。

6.治安の悪化

 景気の不安とともに治安の悪化も懸念されます。
 海外では報道されない暴動の件数は増加の一途と言われます。
 景気の悪化と連動するだけに、負の連鎖に入ってしまう可能性があります。
 民族独立運動もあります。
 それらと連携してくると、さらに経済が冷え込む可能性があります。

7.軍事力の強化

 あまり軍事力の強化と経済との関係は指摘されませんが、
 軍事力の強化は経済発展にはネガティブな要素です。
 戦車やミサイルは武器輸出をしなければ、お金を生み出すものではありません。
 最近の中国の軍事費はうなぎのぼりです。
 これは経済にとっては、ハンディが増えているようなもの。
 もっと経済発展と結びつく公共投資に資金を注ぎ込むべきものを、軍事費に費やしています。
 ボディブローのように効いてきます。

 しかし、それでも中国の国内総生産(GDP)の7~9月期の前年比の成長率が6・9%と、7%を割ったものの高い数字となっているではないかという人もいます。
 しかしこの数字をどれだけ信じていいか。
 鉄道貨物輸送量や輸入額が最近はマイナスに転落しています。
 経済の実態は7%前後の経済成長ではなく、それよりもはるかに低い数字と考えられています。
 こうしたことも中国経済への不信と不安を増大させています。

 私は日本が経験したようなかなり長期の経済低迷の時期がやってくると考えています。
 暴動や内戦が起きる事態にならなければいいと思います。
 そうでなくても、しばらくの間は低迷するでしょう。
 その時こそ、どのような付き合い方をするかが、重要です。
 少子高齢化の国同士の安定した付き合いが可能になるかもしれません。

 7つ目にあげた軍事費の増加をお互いにして、足を引っ張り合うことにならないようにしたいですね。



ロイター 2015年 10月 26日 16:08 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/10/26/angle-china-mall-idJPKCN0SK0JI20151026?sp=true

アングル:消費堅調な中国、商業施設は「閑古鳥」のなぜ

[上海/香港 26日 ロイター] -
 上海のダウンタウンにあるショッピングモール、迪美購物中心は、買い物するには驚くほど活気がない。
 中国でも有数の買い物都市にありながら、閑古鳥が鳴いている。
 「ドレス1枚すら売れない日がある」
と、同モールで婦人服店を営む女性は話す。

 中国の9月小売売上高は、前年同月比で10.9%の増加となり、アナリスト予想および8月実績の10.8%増を上回った。
 だが、同国のモールや百貨店では、空室率の上昇と賃料の著しい下落は常態化しつつある。

 この明らかな矛盾はなぜか。
 その答えとして、
★.ネット通販との競争激化
や、小売統計の数字を押し上げているとみられる
★.政府の買い入れ
が挙げられる。
 また、そうした
★.商業施設の管理の悪さ
もその一因だろう。
 故に、ショッピングモールが閑散としていても、さほど驚きではない。

 さらに重要なのは、こうした実店舗を構える小売業者の苦境が政策的難問となっていることだ。
 本来は消費増大の恩恵を受けるはずの商業施設が、実際には対国内総生産(GDP)比160%に上る企業債務の問題を増幅させている。
 この割合は米国の約2倍に当たる。

 客足が滞るということは、モールの小売店主や開発業者に流れるキャッシュフローが圧迫されることを意味し、減速する中国経済にとって潜在的な危険性をはらんでいる。

 迪美購物中心の小売店主らは改装を考えているが、それが功を奏するかは不明だ。
 店舗を閉める店主もいる。

 北京中心部の繁華街にある商業施設、東方新天地にある百貨店は今月、閉店した。
 百貨店のマネジャーはロイターに対し、「売り上げはまずまずだったが、全体としては減少傾向にあった」として、インターネット上により良い環境を求めていると語った。

■<スリム化>

 商業施設を運営する上場企業も痛みを感じている。
 不動産大手の大連万達商業地産は1月、施設30カ所を閉鎖もしくは再編すると発表、8月には一段の調整が行われているとした。

 中国70カ所以上で展開するマレーシア系の百盛百貨(パークソン)は、中国での純利益が2013年に58%減少したのを受け、昨年には北部にあるいくつかの店舗を閉店させた。

 「中国の成長率の減速を受けて小売売上高も伸び悩む中、モール用スペースにあふれる都市部では空室率がかなり上昇している」
と、格付け会社ムーディーズのアナリスト、マリー・ラム氏は調査メモで指摘している。

 景気を下支えするため、中国人民銀行(中央銀行)は23日、過去1年間で6度目となる利下げに踏み切った。
 ING(シンガポール)のエコノミスト、ティム・コンドン氏は、
 中国の小売売上高に関する公式データには一部政府による買い入れも含まれている
と指摘。
 家計消費だけを反映するものではないと警告する。

 一方、電子商取引(Eコマース)は、一部で落ち着きはみられるものの、2桁成長を続けている。
 中国大手アリババ・グループ・ホールディングの2016年第2・四半期売上高は大幅に減少する見通しだが、年間ベースでは約27%増と依然として好調だ。

 さらに中間層が拡大する中、娯楽を提供する場所も活気にあふれている。
 映画興行収入は10月の大型連休だけで、前年同期比60%増の3億ドル(約363億円)近くに上り、記録を更新した。

 だからと言って、迪美購物中心のようなショッピングモールの慰めにはほとんどならない。
 加えて、買い物客と不動産開発業者の情熱が一致しなければ、過熱した建設ラッシュが銀行に不良債権を負わせるリスクが高まる。

■<ショッピングモールの過剰生産能力>

 事業用不動産サービス会社CBREによれば、
 世界のショッピングモール建設の半数以上が中国で行われている。
 ただし、その多くが投資家に高利益をもたらすとは言えないようだ。

 中国連鎖経営協会とコンサルティング会社デロイトが共同で発表したリポートは、中国の新規ショッピングモールが年末までに計4000件に達し、2011年から40%超の大幅増になると予想している。

 商業施設の建設が大きく伸びている現状の背景には、景気刺激策の一環として不動産開発を推し進める地方政府の要請があると、不動産を専門とするアナリストらは指摘する。
 そのため、
★.ショッピングモールは短期間で建設され、ずさんに運営
される結果となる。

 客足がショッピングモールの良し悪しを決めるのは言うまでもない。
 「建設しても客が来なければ、それは不良債権だ。
 そうなれば、銀行の問題となる」
と、INGのコンドン氏は指摘した。

(原文:Pete Sweeney and Jessica Macy Yu 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)


ロイター 2015年 10月 22日 17:26 JST 斉藤洋二
http://jp.reuters.com/article/2015/10/22/column-yojisaito-idJPKCN0SG0BH20151022?sp=true

コラム:日本を揺さぶる中国経済「2つの変化」=斉藤洋二氏

[東京 22日] -
 中国の海外インフラ投資が加速している。
 報道によれば、習近平国家主席の英国訪問中にまとまった取引の総額は、約400億ポンド(約7兆円)に達するという。
 目玉は英原発建設に対する投資であり、西側諸国の原発に中国が大型投資を行う初のケースになる模様だ。

 周知の通り、習主席は訪英に先立って、9月下旬に米国を公式訪問している。
 最初に米ワシントン州シアトルへ向かい、米中ハイテク30社の最高経営責任者(CEO)らと会合をした。
 出席したCEOは、米国側がアマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト、インテル、IBMなど、中国側はアリババ、聯想集団(レノボ)、百度(バイドゥ)、騰訊(テンセント)などで、習主席の人気ぶりと中国経済の威力が注目された。

 同時に米航空大手ボーイングの工場を訪問し、300機(約380億ドル=約4.5兆円)の大型契約を結ぶなど、中国の経済力を前面に押し出して米中融和が演出された。
 これら習主席による経済外交は副主席時代の2012年に、かつてのホームステイ先であるアイオワ州を訪れ、日本の輸入額の3倍にあたる43億ドル相当(当時の為替レート換算で約3400億円)の米国産大豆購入契約を結んだ例に習うものだ。

 ただ、こうした派手な経済外交以上に筆者が注目しているのは、やや旧聞に属するが、インドネシアの高速鉄道受注である。
 日本と中国が受注を競った同計画は紆余曲折を経て、インドネシア政府の債務保証や一切の財政負担を求めないとする中国案で決定した。

 日本のインドネシア向け政府開発援助(ODA)が長期にわたっていたことや、技術面の優位性から日本側の落札への期待は高かった。
 また、アベノミクスの成長戦略でインフラ輸出の強化が掲げられていることから、この案件を第1号に日本の新幹線輸出は今後、インド、タイ、米国へと発展するとのシナリオが描かれていただけに出鼻をくじかれた感は拭えない。

 一方、採用された中国案については、採算や技術面で不安を指摘する向きが多い。
 とはいえ、この案件獲得に向けた中国の意気込みは凄まじく、新シルクロード経済圏構想を掲げ海外インフラ投資を本格化させたいとの決意を内外に強く印象づけた。

 このような中国の海外インフラ投資への強い希求は、過剰な国内生産能力に対する強い懸念と表裏一体だろう。
 過剰供給解消に向けた経済原理がなかなか働かず、足元で景気減速が進む中、海外需要を当てにした動きは今後ますます加速しそうだ。

■<AIIBも中国経済の構造改革を側面支援>

1]. 具体的には、まず周辺諸国へのインフラ投資により喚起された需要に対し、セメントや鉄鋼などの資材や鉄道車両など耐久財の供給拡大が図られることになろう。

 この場合、インドネシアに代表される高速鉄道に加え、高速道路、港湾、ダムなどの投資が行われ、それに伴い中国企業の進出が続く。

 また、中国主導で創設されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)や、中国を含む新興5カ国(BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が運営する新開発銀行「BRICS開銀」は東南アジア諸国などの開発需要を掘り起こし、中国企業に絶好の投資・進出機会を創出することになろう。

 一方、3.5兆ドル(約420兆円)に上る外貨準備は主に米国債など資本市場で運用されているが、ドル安・人民元高の為替リスクに常時直面している中国にとり頭痛の種でもある。
 したがって、海外へのインフラ投資は、外貨準備を流し込む先が確保されることから効果的であり、この点も早期の取り組みが図られる背景の1つと思われる。

 21世紀に入り新興国は、BRICSやMINT(メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコ)などと命名され目覚ましく台頭してきた。
 世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など既存の国際開発金融機関だけでは新興国の資金ニーズに応えることが難しくなりつつある。
 こうした状況下、AIIBやBRICS開銀の設立構想が一気に具体化したのは当然の成り行きだったと言えよう。

 ただ、英国参加の動きに触発されてAIIBの創設メンバーが57カ国に達し、中国の意向が銀行経営に直接反映されづらくなったことは明らかだ。
 その結果、
★.重要案件については、AIIBを通さずに中国と相手国の2国間取引が増加する可能性が高まった
と考えられる。

■<中国当局が事実上の「爆買い」抑制策>
2]. 海外インフラ投資拡大と並ぶ中国の第2の変化は、いわずもがな、国内消費拡大に向けた政策展開だ。

 中国旅行者の海外での消費意欲は旺盛だが、国内消費の伸び悩みは明らかとなっている。
 今年も国慶節の大型連休では日本の津々浦々において爆買いが報じられた。
 そのおかげで、日本では大企業製造業の景況感が悪化しているのとは対照的に、大企業非製造業の業況判断は改善している。

 しかし、海外での爆買いは換言すれば中国にとって国内消費の尻抜けであることから、同国当局は国内消費拡大を図るために衣料品や靴、一部日用品の輸入関税を6月から引き下げている。
 かかる措置が講じられるのも、中国で売られている輸入品を値下げし、国内消費を刺激するためには当然の成り行きだろう。

 さらに、中国人の爆買いを支える銀行・クレジットカード「銀聯カード」による
★.海外での現金引き出しには、新たに年間の限度額(最高10万元=約190万円)
が設けられた。
 マネーロンダリング(資金洗浄)対策だというが、海外へマネーが流出する穴を出来る限りふさぎたいとの政策意図が見え隠れする。

 これら国内消費拡大へのなりふり構わぬ対応や、冒頭で触れた海外需要取り込みに向けた怒涛の攻勢は、中国経済の構造改革がいよいよ待ったなしということの表れでもあるのだろう。

 中国国家統計局が19日に発表した2015年7―9月期の実質国内総生産(GDP)伸び率は、前年比6.9%と6年半ぶりの低水準となった。
 また、
★.国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しによれば、
 2015年通年では6.8%、
 2016年は6.3%
まで減速する見込みだ。

 IMFの見通しに従えば、中国の経済減速が上記の程度で収まるならば、世界経済は好不況の分かれ目となる3%を上回る成長を維持する見込みだが、仮に今後、
★.中国の成長率が一段と下がり5%水準となれば
世界の成長率がそのメルクマールを割り込む悲観シナリオは現実味を増す。
 国際金融市場は一気に緊張度を増すことになるだろう。

 見方を変えれば、ここで取り上げた中国の変化は、そのような悲観シナリオを避けるために必要なものだと言えるのかもしれない。
 ただし、それは海外インフラ受注競争の激化や爆買いの中国国内回帰などを通じて、日本経済に負の影響を与える可能性もある。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。



サーチナニュース 2015-10-29 17:11
http://news.searchina.net/id/1592787?page=1

中国企業、経営モデル転換迫られるも 
「思考が足らず、世界を知らない」=中国メディア

 中国メディア・中国青年報は26日、中国の製造業がすでにハイエンド製品の製造にシフトしつつあるにもかかわらず、なおもローエンド製品の製造イメージを脱却できない要因などについて、中国人民大学重陽金融研究院の賈晋京氏の見解を紹介する記事を掲載した。

 記事はまず、中国の製造業に存在する問題点として賈氏が「目指す方向性が決まっていないこと」を挙げたことを紹介。
 「どうしてこの製品を製造しなければならないのか、製造することでどんなニーズを満たすのか」
という、
★.製造業と人類・社会との関係について答えを見出せないまま製品を作っている
と指摘したうえで、
 「ニーズが何なのか、
 人びとが何を欲しているのかという問いに答える企業は強い。
 そして、イノベーションがニーズの問題を解決するのだ」
と語ったことを伝えた。

 また、
★.中国はグローバル経営を学び始めたばかりであり、
 すべての業界の企業がその経営モデルの転換に迫られている
と論じるとともに、
★.中国企業が抱える最大の困難は「思考が不足していること、世界を知らないこと」である
としたことを紹介した。

 記事はさらに、「中国の製造業が長期的にローエンドから脱却できない理由は何か」と質問された賈氏が
 「実は長期間ローエンドに甘んじているわけではない。
 商務部のデータでは、現在60%以上がミドルからハイエンドの製品なのだ」
と説明したことを挙げた。
 そして、
 「例えば『iPhone』が自ら生産を行わず、世界に下請け業者を持つことでグローバルなブランド化戦略を進めている。
 中国の製造業はこういったブランド化経営を実現していないため、ローエンドのイメージを脱却できていない」
と指摘したことを伝えた。



サーチナニュース 2015-10-30 19:48
http://biz.searchina.net/id/1592964?page=1

中国から立ち去る企業・
入り込む密航者、
「蛇頭」に見られる「逆流現象

★.中国が1990年代からの高度成長に成功した最大の理由が、外資導入に成功
したからだった。
 それから20年あまり。外資企業の中国からの撤退が目立つようになった。
 一方で、中国ではベトナムなどからの密航者が発覚することも増えた。

 1980年代に、社会主義国としては実に大胆な外資導入を決断したのはトウ小平だ。
 当時の中国には産業を発展させるための資金がなかった。
 だから外資を導入した。
 先進国は中国を「低コストで生産できる工場」とみなした。
 中国で生産した安い工業製品が世界各地で売りさばかれた。

★.中国共産党としては国民に「改革開放で裕福になりつつある」と実感させねばならない。
 さもなくば支持を失う。
 したがって、中国人の平均的所得水準は、物価上昇以上の速度で引き上げられねばならない。

 中国の格差問題は極めて深刻だが、工場労働者の賃金は上昇しつづけた。
 その結果、外国資本が中国を「工場」とするメリットは低減した。
 とすれば
★.中国特有の「複雑怪奇な行政」というマイナス面がずしりとのしかかる。
 「三十六計、逃げるにしかず」
ということになる。

 ただし、
★.中国を工場とみなすか市場とみなすかで、結論は異なる。
 「単なる工場」とみなすなら、「逃げるにしかず」だ。
  一方で、中国を「巨大市場」と考えるなら、中国に残る意味が出てくる。
 ただし、「主たる生産現場を他の国に移して中国に売る」という方法もある。
 円安の進行している現在は、日本企業の工場の『帰国』現象も目立つようになった。

 ここで東南アジア諸国連合(ASEAN)に目を移そう。
★.人1人あたりGDPが中国より大きいのはシンガポール、ブルネイ、さらにマレーシアの3カ国だけだ。
 つまりASEANの多くの国民は、中国人より貧しい。

 とすれば、中国に行って働けばよい収入を得られると思う人は出てくる。
 しかし中国は、単純労働者を受け入れていない。
 とすれば密航を企てる者も出てくる。

 1980年代から90年代にかけて「蛇頭(スネークヘッド)」と呼ばれる「中国人を先進国に密入国させる」組織が注目された。
 その蛇頭が今や、東南アジア人を中国に密入国させる“稼業”に精を出しているという。

 23日付検察日報によると、浙江省でベトナム人2人と中国人3人がこのほど、他人を密入国させた容疑で起訴されることになった。
 5人は1人当たり日本円換算で5万7000円程度を支払わせて、ベトナム人数十人を中国に密入国させていたとされる。
 中越国境の川を小舟で渡らせ、陸上の国境ゲートを迂回して運んでいたという。

★.「外資企業の撤退」も「蛇頭の逆流」も「中国人観光客の爆買い」も、
 中国が一応の経済成長を遂げたことのあらわれだ

 もちろん、経済状況だけですべてを説明できるわけではない。
 中国では今も、先進国に移住したいと考える人が多くいる。
 しかも、経済的に成功した人に「海外雄飛の夢」を実現させる人が多いという。
 日本や欧米に留学し、卒業後には自国企業から高い地位と収入を提示されたのに、日本や欧米での「キツイ生活」を続ける人もいる。
 これらの人は、中国に居続ける場合のマイナス面やリスクを感じ取っていると言うことになる。


サーチナニュース 2015-11-02 14:20
http://biz.searchina.net/id/1593053?page=1

シャドーバンキング、資金供給を止める事例も 
中国のゴーストタウンに「トドメの一撃」=香港メディア

 香港メディアの鳳凰網は1日、
★.中国の2007年における債務残高は7兆4000億ドル(約892兆円)
ほどで、国内総生産(GDP)の158%程度
 だったとする一方、
★.現在の債務残高はGDPの300%に相当する30兆ドル(約3617兆円)に
まで膨らんでいると伝えた。

 07年は世界金融危機がぼっ発した年に当たり、米国発のサブプライムローン問題に端を発し、世界が深刻な危機に直面するなかで、中国は総額4兆元(約76兆円)もの景気刺激策を打ち出した。

 中国の経済成長と景気刺激策は、世界経済が金融危機の影響から徐々に脱することに一役買ったが、鳳凰網は「中国の信用拡張は中国国内に大量の鬼城(ゴーストタウン)を生み出した」と指摘。
 中国政府の景気刺激策が不動産開発投資に回される一方で、「誰も住んでいない大量のマンション群」という、収益をもたらさないものを生み出してしまったことを指摘している。

 続けて、中国では不動産開発投資の需要が信用拡張につながり、さらには鉄鋼業など基礎素材型産業の成長を促進してきたが、記事は中国では14年ごろから当局の厳しい規制をかいくぐり、各産業に資金を供給してきたシャドーバンキング(影の銀行)が突如、資金供給を停止するケースが増えたと紹介。

 銀行融資以外の信用供与は中国の経済成長における潜在的なモーターだったとしつつも、こうした信用供与が停止したことで
★.「中国のゴーストタウンは正式に死を迎え、
 鉄鋼業などの基礎素材型産業もまもなく崩壊する可能性がある」
と報じている。

 さらに、中国では経営危機に直面する鉄鋼メーカーが今後増える可能性があるとの見方が存在することを伝える一方、米メディアなどの報道を引用し、中国はいかなる鉄鋼メーカーもデフォルトさせることができないと主張。
 その理由として
 「1社がデフォルトするだけで、債券市場全体が動揺し、無数の企業が倒産し、無数の中国人が失業するからだ」
と伝えている。







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