●十三五之歌 The 13 WHAT - A song about China's 13th 5-year-plan
2015/10/27 に公開 視聴回数 598 回
AFPBBニュース 2015年10月28日 10:26 発信地:北京/中国
http://www.afpbb.com/articles/-/3064404
中国の新5か年計画、サイケ動画で国外にアピール
【10月28日 AFP】
陽気な歌とサイケデリックなアニメで中国の第13次5か年計画を英語で説明する動画がこのたび、国営新華社(Xinhua)通信によって公開された。
公開された3分間の動画では、4人のキャラクターが「ワーゲンバス」に乗り、ミントグリーンと赤紫色の空を背にした花畑や水連の池、万里の長城(Great Wall)などをめぐりながら
「中国がやることを知りたかったら、十三五(シサンウー)に注目しよう」
と繰り返し合唱する。
「十三五」は、中国政府が使っている第13次5か年計画の略語だ。
中国共産党幹部は今週、国のロードマップについて密室での協議を行っている。
英歌手デビッド・ボウイ(David Bowie)似のキャラクターが恐竜の上に座り、
「中国は5年ごとに新しい開発計画を作るんだ」
と歌う動画では、おもちゃのアヒルや宙に浮かぶ唇、カセットテープ、ミラーボール、アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)の顔、電球が頭になったマネキンや、テディベアの頭といった、70年代のサイケデリック文化を彷彿(ほうふつ)とさせる小道具がふんだんに登場する。
歌詞は英語だが、中国語の字幕が付いており、全般に中国政府としては珍しくユーモアの効いた内容となっている。
動画を製作した「復興之路工作室(Fuxinglushang Animation Studio)」に関する情報は少ないが、一般的には、中国共産党の国外向け宣伝動画の製作で知られている。
その名称をめぐっては「復興への道」を意味するもの、もしくは国営中国中央テレビ局(CCTV)がある北京の道の名前を間接的に表したものとも言われている。
(c)AFP
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『
TBS系(JNN) 10月30日(金)6時51分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151030-00000014-jnn-int
中国「5中総会」、中高速の成長維持を提言
習近平指導部が初めてまとめる経済5か年計画への提言では、今後5年間で「中高速の成長」を維持していく方針が決定されました。
具体的なGDP成長率の数字などは示されませんでしたが、これまでと同じか、やや低めの6~7%程度を示すものとみられています。
また、消費が主導する経済成長に転換を図ることなどが盛り込まれました。
中国共産党は国民の所得を2020年までに2010年と比べて倍増させることを宣言していて、今後は経済の構造転換を図りながら持続可能な成長を目指すことになります。
また、総会では、胡錦濤前国家主席の側近で収賄などの疑いで逮捕された令計画氏の党籍剥奪なども確認され、党や軍の人事面でも習近平主席が進めてきた“腐敗摘発”がさらに徹底されることになります。
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ダイヤモンドオンライン 2015年11月4日 吉田陽介[日中関係研究所研究員]
http://diamond.jp/articles/-/81039
習政権が考える、中国経済が今後5年で進むべき道
10月26日から29日まで開かれた中国共産党第18期中央委員会第五回全体会議(以下第18期五中全会と略)では「国民経済・社会発展の第13次五ヵ年計画策定に関する中共中央の提案」が採択され、次の5年間における習政権の経済運営の指針が決まった。
第13次五ヵ年企画の最終年度が2020年であるため、習政権がいかにして「中国の夢」に向けて、小康社会(ややゆとりある社会)の完成に導くか、その道筋が明らかになるため、多くの注目を集めた。
今後5年間の習政権はどのような経済運営をするか分析を試みる。
■習政権の経済政策の特徴はブレない「戦略的不動心」にある
「中国の夢」を実現する上でカギとなるのは、経済政策である。
習政権の経済政策の大きな目標は、2013年11月に開かれた中国共産党18期中央委員会第三回全体会議(以下第18期三中全会と略)で定められた「政府の役割を小さくして、市場経済の役割をさせ、経済に活気を与える」として、中国経済を高度成長段階から安定成長段階にバージョンアップさせるというものである。
この方針の下、国有企業改革や行政許認可改革、自由貿易区などの改革を推進してきた。
また習政権の経済政策を語る上で「戦略的不動心を保ち、情勢の変化に応じて計画する」という言葉は重要だ。
これは習総書記が浙江省視察のときに強調した言葉で、当面の経済政策の基本的方針である「安定的なマクロ経済政策」を変えることはないが、それにこだわり続けるのではなく、経済情勢が悪化したら、適時調整政策をとるということである。
習政権の経済政策の特徴をまとめると、次の四つである。
第一に、民間の力を大いに活用するということである。
これまで公益性の強いインフラ事業は公的セクターが行ってきたが、公的セクターの事業運営は効率が悪い。
また、民間の生産能力が過剰であるため、それを生かすために公益性が非常に強いもの以外は民間の力を活用しようとしている。
第二に、新たな経済の発展段階に応じた政策をとりつつあるということである。
昨年習総書記は河南省視察の際の講話で「新常態(ニューノーマル)」という言葉を使い、昨年の中央経済工作会議でもその言葉が登場し、今後の経済政策の基調となった。
それは安定成長路線に転換し、経済構造の調整をはかるというものである。
第三に、安易な資金投入ではなく、既存資金の有効活用を目指している。
2008年から09年は世界的大不況の影響で大規模な公共投資を行って景気浮揚を狙ったが、結果として財政赤字を拡大させた。
だが、習政権になってからは「節約励行」を提唱し、公務員に「身を切る」ことを求める一方で、財政面での改革にも着手し、財政に眠っている資金を「活性化」し、それを民生に配分するようになった。
第四に、中国企業の「走出去(外に出て行く)」を推し進め、世界経済での存在感を高めているということである。
かつて中国は生産力が低く、外資を受け入れて外国の技術やノウハウを学んだが、現在の中国企業は力をつけてきており、また生産能力が過剰でもあり、力のついた企業は海外へ進出している。
「一帯一路」はその一環である。
このような特徴をもつ習政権の経済政策だが、では、今後どのように経済運営をしていくのか、その道筋を次に見ていく。
■キーワードは「発展」「革新」「グリーン」「開放」「シェアリング」
このほど閉幕した第18期五中全会は第13次五ヵ年計画を採択し、来年3月の全人代で審議されて正式に決まる。
習総書記は5月の浙江省視察の際に同計画の目標として、「成長を保ち、方式を転換し、構造を調整し、イノベーションを促す」ことなどを提起し、その後「10大目標」が発表された。
それを列挙してみよう。
1、経済成長の保持
2、経済発展パターンの転換
3、産業構造の調整・最適化
4、イノベーション駆動発展
5、農業の現代化の歩みを加速
6、体制・仕組みの改革
7、調和のとれた発展の推進
8、生態文明の建設の強化
9、民生の保障と改善
10、貧困脱却扶助開発の推進
以上の10大目標が達成されれば、中国経済は安定成長段階へバージョンアップできるであろう。
2013年11月に開かれた第18期三中全会で全面的な改革が提起されたが、それ以降改革の歩みが遅くなったという見方もある。
だが、改革は着実に進んでおり、この10大目標も三中全会の路線の延長線上にある。
ゆえに、この10大目標の中で「体制・仕組みの改革」はさらに重要になってくる。
29日夜に公表された第18期五中全会のコミュニケのキーワードは
「発展」
「革新(イノベーション)」
「グリーン」
「開放」
「シェアリング」
である。
「革新」は新たな発展を促進するものとして、重要な地位にある。
コミュニケでは「インターネット+」戦略や「国家ビッグデータ戦略」を推し進めるほか、「大衆による起業、万民による革新」の環境を整えることを提起している。
さらに、コミュニケは「調和のとれた発展」も重視している。
都市・地方間の調和のとれた発展のほかに、新しいタイプの工業化、都市化、農業の現代化を同じペースで発展させることなどが提起されている。
日本メディアで報道されている「一人っ子政策」から「二人っ子政策」への転換も人口のバランスが崩れることが懸念されるために提起されたもので、これも「調和のとれた発展」戦略の一部分である。
コミュニケで示されている「発展」の基礎にあるものは「人を基本にする」という理念で、今後中国は人々が経済の発展を肌で感じられるよう民生重視の政策をとり、かつて鄧小平が掲げた「共同富裕」の目標の実現を目指すだろう。
■経済成長率や構造改革など成長への課題は多い
このようにコミュニケでは小康社会の完成に向けての道筋が示されたわけだが、それにはいくつかの課題がある。
まず
第一に、どの程度の経済成長を続けられるかという点である。
鄧小平も指摘していたが、改革の環境をつくるにはやはり一定の経済発展が必要だ。
これまでは10%を目標にしていたが、それは経済規模の拡大を狙った、いわゆる開放経済下での「大躍進」であった。
そのため、過剰で無駄な投資や水増し報告も含まれている。
習政権は「水分のない」経済発展を目指して発展の質を求め、就任後の政府報告では「合理的な経済の動き」という言葉を使い、過度な経済成長路線をとらないことを明言している。
今年の第3四半期の経済成長は6.9%で7%を割り込んだ。
今年の「政府活動報告」では、今年の目標経済成長率を7%ほどと設定しており、やや幅をもたせている。
国家情報センター経済予測部の祝宝良主任は、
「6.52%」あれば2020年までに所期の目標を達成できる
とみており、
大方の専門家も「6.5%前後」あれば十分とみている。
ただ、現在中国は内需が力強さに欠けることや、輸出もこれまでよりも力弱いなど不安定要因もあり、多少の曲折が予想される。
今後、現段階の中国にとってどの程度の成長率が適正かを見極め、調整政策をとる必要がある。
二つ目の課題は、経済構造の転換がスムーズに進むかということである。
新常態下の中国経済はこれまでの政府による固定資産投資に頼った経済から消費主導の経済構造に転換するとされている。
実際に中国政府もそれを目標に掲げ、内需拡大のための政策をとっている。
現在習政権が進めている「大衆による起業、万民によるイノベーション」もその一環である。
その実現には、政府が経済発展のためのレールを敷くことも必要だが、大企業などでスピンアウトした人たちが容易に起業し、活躍できるような環境の整備が必要である。
もう一つの課題は、改革の障害を取り除くことである。
大胆な改革の途上では様々な障害に遭う。
例えば、三中全会は、現代的な企業制度を基礎にした国有企業改革を提起したが、その方向にはいかず、党の役割を強調した改革となった。
また、金融市場の整備も十分でなく、管理監督を強化した。
このため、しばらくは党が強力なリーダーシップを発揮して改革の障害を取り除く必要があろう。
以上、今後の中国の課題を挙げたが、現在中国政府は財政政策において「ストック資金を活性化」することと同様、国内における発展の潜在力を掘り起こそうとしている。
それにはやはり、「戦略的不動心を保ち、状況に応じて計画していく」ことが重要となってくる。
■中国の発展のために日本との協力は不可欠
コミュニケは互恵ウィンウィンの開放戦略をとり、世界経済と密接な関係を保ち、さらに「幅広い利益共同体を構築する」ことも述べている。
現在中国は「一帯一路」を提唱して沿線諸国との経済関係を強化しており、またAIIBを発展させようとしている。
中国のいう「幅広い利益共同体」というのは、「一帯一路」のことを指すと思われるが、それが中国の経済的覇権を目指すという疑念もある。
ただ、中国の対外経済外交の基本は互恵ウィンウィンで各国の共存共栄を目指すものである。
中国は国際的地位が上がって大国になったが、まだその地位に慣れているとは言い難く、自らの目指すものをはっきりと世界各国に伝えきれていないところもある。
そのため、中国の対外経済政策はウィンウィンなのだと世界に説明する必要があるだろう。
このような状況のもとで日本との関係はどうなるか。
今年は戦後70周年の節目の年で、中国は抗日戦争に関する宣伝を強化し、さらには軍事パレードで、自国の軍事力を誇示したため、政治体制の異なる日本の人々の目には「中国の宣伝やパレードは日本に向けたものだ」と映る。
だが、日中関係は全体的にみれば、改善に向かっており、以前のように極端に日本を批判するような報道はあまり見られず、関係改善の環境は整ってきている。
日中の政治関係は本格的改善にはいたっていないが、経済面では両国関係発展の可能性がある。
中国は改革開放後、三十余年で経済が発展し国力も向上したが、中国の製造業が作り出すものが人々の高度化したニーズに対応しているとは言い切れない。
今後中国の工業化はミドルハイエンド段階に入るため、クリーンエネルギーなど「環境に配慮した発展」が必要となる。
日本はその面での技術に優位性があるため、日中協力の余地は大いにある。
今年の全人代の「政府活動報告」には、中日韓FTAについて言及されており、三国間の経済協力が進む可能性がある。
国家発改委対外経済研究所国際経済協力室の張健平室長によると、
「生産能力と技術設備レベルについては、
日本はハイエンド、
韓国はミドルエンドで、
中国は過去のミドルエンドからハイエンドに向かいつつある」
とし、日本と韓国が付加価値の高い部品を中国に提供し、中国が組み立てるという分業が成立するのではと見ている。
また、中国は経済構造転換のため、サービス業の発展を目指している。
生活レベルの向上とともに、消費者もサービスの質を求めるようになってきた。
これまでの中国は
「人がたくさんいるから、あなたが買わなくても、ほかにほしい人がたくさんいる」という発想
で、サービスを考慮していなかった。
また、
「サービスをする人は、ランクが下の人間」という発想もあり、
なかなかサービス業が発展してこなかった。
中国のサービス業はレベルが上がってきたものの、日本のような「きめ細やかな」サービスのレベルに達しているとは言いがたい。
今後中国は雇用吸収が多い産業として、サービス業の発展を目指しており、その面での日中協力は不可欠だ。
今後の日中経済関係は、これまでの労働コスト節約のために進出して自社製品を加工するというものではなく、市場創出型、高度な技術面、環境面での協力にバージョンアップするのではないかと考える。
』
『
JB Press 2015.11.6(金) 藤 和彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45144
賄賂と宴会を禁じられて転げ落ちる中国経済
「反腐敗運動」のさらなる強化で金融危機が勃発か?
10月28日付のブルームバーグが、中国の反腐敗運動が金融界を狙い撃ちしていることを伝えている。
中国の反腐敗運動を主導する共産党中央規律検査委員会は、10月23日に発表した声明で、
中国人民銀行や中国工商銀行をはじめとする中国5大銀行、
政府系ファンドの中国投資(CIC)、国家開発銀行、上海・深セン両証券取引所、中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委員会(証監会)、中国保険監督管理委員会など31機関を、
不正行為または汚職の可能性をめぐる検証の対象として挙げたという。
2012年11月の習近平総書記就任直後から、党内の「腐敗分子」をあぶり出す反腐敗運動が開始された。
「ハエ(小物)もトラ(大物)も叩く」との宣言どおり、元政治局常務委員の周永康や人民解放軍の最高幹部だった徐才厚らが摘発された。
これまで「石油閥」や「電力閥」などにメスが入れられてきたが、金融業界が公式にターゲットになるのは初めてである。
中央規律検査委員会は、第13次5カ年計画(2016~20年)について討議する第18期中央委員会第5回総会(5中総会)の開催直前という微妙な時期に、あえて声明を出した。
国家行政学院の竹立家教授はそのことについて、
「中国経済に対する下振れ圧力が強まる中、腐敗した金融システムは中国の経済的な安全保障を脅かす恐れがある」
からだとしている。
■反腐敗運動が中国経済の減速をもたらした
中国政府は6月中旬からの株価暴落以降、その犯人捜しに躍起になっていた。
8月末には、中国最大の証券会社である中信証券や証監会の幹部が株価暴落を招く不正行為を自供したとして拘束された。
また、中央規律検査委員会が声明を発表した10月23日には、大手証券会社である国信証券総裁が自殺し、翌27日には証監会上海先物取引所の元理事長が職務怠慢などを理由に解任された(10月29日付「大紀元」)。
江沢民一派の追い落としのための権力闘争との見方もあるが、金融業界にまで本格的な反腐敗運動を展開することになれば、中国の金融危機勃発のリスクがますます高くなってしまうのではないかと筆者は危惧している。
そもそも中国経済が減速し始めた原因の一端は、反腐敗運動にある。
習近平指導部がスタートして最初に迎えた春節期(1年を通して最も消費が活発になる期間)の飲食業界の売り上げは前年比8.4%増と過去10年で最も低い伸び率となった。
高級ブランド品の買い控えはそれ以上であったと言われている。
バブル経済を支えている共産党幹部が財布のひもを締めた結果である。
その後、不動産投資などにも波及し、広範な経済活動に悪影響を及ぼした。
中国政府は輸出主導型からサービス・消費主導型経済への構造転換を図ろうとしているが、
専門家の間では
★.「政府は国内に潤沢にある貯蓄(GDPの約5割を占める貯蓄率)を活用して必要なインフラ投資
を進めないと、中国経済は失速しかねない」との懸念が高まっている(10月26日付ブルームバーグ)。
公共事業など投資活動が低調だからだ。
反腐敗運動の総元締めは王岐山 政治局常務委員である。
王氏の下で、
何万もの捜査官が役人や経営者を取り調べ、1日500人以上が処分される状況
が続いている。
その
恐怖が官僚機構や国有企業の経営陣全体に広まり、
多くの幹部たちは目立つことを恐れて重要な決定を下すことを避けてしまうようになってしまった。
中国メディアによれば、
「役人らは面従腹背で、裏で仕事をさぼっている。賄賂も宴会もダメなら仕事もしない。
執務時間中は政治学習と称して小説を読んでいるため、公共事業の許認可の遅れや手続きの停滞を招いている」
という。
■世界最大の鉄鋼業界が深刻な危機に
10月29日、中国銀行は「第3四半期決算はリーマン・ショック後初めての減益となった」と発表した。
その要因は、中国の景気低迷と過去最大規模となる貸倒引当金の計上である。
中国の銀行から欧米勢の出資引き揚げの動きが相次いでいる。
著名な投資家であるマーク・ファーバー氏は
「債務で警戒を要する中国の上場企業数が昨年の115から今年は200に急増している」
ことに警告を発している(10月27日付ブルームバーグ)。
上場企業数の債務総額は前年比で約23%増加しているが、この増加のペースはGDP成長率の3倍である。
業種別に見ると石油・石炭などのコモデイテイ分野(92社)と鉄鋼などの工業分野(43社)がおおかたを占める。
中国鋼鉄工業協会は10月28日の定例記者会見で、
「業界では値崩れととともに需要が急落し、銀行が貸し渋り姿勢を強め、損失が積み上がっている」
と、世界最大の鉄鋼業界が深刻な危機に見舞われていることを明らかにした。
前述の5中総会は、内部意見の対立により例年より遅れて10月26日に北京で開かれたが、難産の末出てきたのが1979年以来続いてきた「一人っ子政策」の廃止である。
2016年3月に開催される全国人民代表大会における法律承認の手続きを経ずして共産党が早急な政策変更を望んだのは、経済成長を支える生産年齢人口(15~59歳)の減少が危機的な状況にあることを示している。
中国経済に見切りをつけた投資家たちが、
当局の規制をかいくぐる形でいわゆる地下銀行を通じて海外へ資本を流出させるという動きも活発化している(10月29日付ウォール・ストリート・ジャーナル)。
前述のファーバー氏も、
「私も中国国民が記録的なペースで国内から資金を移しつつあるとの見方に賭けたい」
としている。
人民銀行は11月2日に人民元の大幅引き上げを行ったが、
資本流出がますます深刻化しているのではないだろうか。
■中国経済が世界2位の座から陥落?
旧ソ連が崩壊した一因として「クレムリンの役人たちが相互に連帯することなくサボタージュが同時多発的に発生した」ことを指摘する専門家がいる。
中国が未曾有の金融危機勃発のとば口に来ている最中に、反腐敗運動の矛先を向けられ恐れをなした金融業界の役人や経営者達の間で大規模なサボタージュが起きたらどうなるのだろうか。
ソ連崩壊後に7年間GDPが減少し続けたため、GDPは旧ソ連時代より44%減少したと言われている。
現在の中国は資本主義国の体裁を擁しているが、その実態は共産党一党支配の計画経済国または計画型疑似資本主義国である。
そのため、中国政府が発表するGDPは実績値ではなく計画値に過ぎない。
本当のGDPの数字が分かるのは、中国で大規模な金融危機が発生し、旧ソ連の場合と同様に経済システム全体の見直しを余儀なくされる事態を経てからだろう。
著書『やがて中国の崩壊がはじまる』で知られるゴードン・チャン氏は、
「日本が成長しなくても中国が落ちるため、
中国はいずれ世界経済第2位の座を日本に明け渡すだろう」
としている(10月22日付大紀元)。
今の中国は、それが「全くの空想話」として一笑に付せる状況ではなくなってきている。
■在庫が積み上がる中国、米国の石油業界
中国の石油業界は、鉄鋼業界と同様に過剰な債務に苦しんでいる。
中国最大手の石油・天然ガス企業であるペトロチャイナ(中国石油)の第3四半期の純利益は、原油安が売り上げに悪影響を及ぼしたため、前年比81%減と予想以上に悪化した。
アジア最大の石油精製企業であるシノペック(中国石油化工集団)の1月から9月までの純利益も、前年比48%の大幅減であった。
10月23日に発表された統計によれば、9月末の中国の原油在庫は前月比2.4%増の3358トンとなり、景気減速の影響で国内のガソリン消費が低迷していることが明らかになった。
10月30日付ウォール・ストリート・ジャーナルが「原油相場の反発、中国には期待するな」と報じているように、
中国の原油輸入量の減少はいよいよ本格化するだろう。
米国でも在庫の積み上がりの状況は深刻である。
過去4週間に2260万バレル増加したため、原油在庫は10月としては1930年以来の高水準に達した。
供給過剰に加え、この時期にしては比較的温暖な気候が原油・ガス需要を抑えている。
米国の天然ガス価格は2012年4月以来の100万BTU当たり2ドル割れを記録し、原油価格にも下押し圧力となっている。
アラブ首長国連邦(UAE)経済相は10月25日、
「原油価格は1バレル=45ドルで底打ちした後、来年は60ドルまで上昇する公算が大きい」
と予想した。
だが、
「大手石油会社にとって、原油価格1バレル=60ドルは魔法の数字になりつつある(10月28日付ブルームバーグ)。
「原油価格は1バレル=36ドルに向かいつつある」
とするのが市場関係者のコンセンサスだからだ。
8月以来の原油価格1バレル=40ドル割れは、シェール企業のみならず大手石油会社にとっても打撃は大きい。
このため米国の大手石油会社は、コストとリスクの高い超大型プロジェクトから撤退し、不安を抱える投資家らを納得させるためにより安全なシェール層掘削事業に軸足を移している。
格付けの悪化を懸念するエクソン・モービルとシェブロンはシェールオイル事業により米国の原油生産を大幅に増やす計画を発表した(10月30日付ブルームバーグ)。
石油稼動リグ数が578基にまで減少し、大手石油会社のシェール企業買収が本格化する兆しが見えてきているが、これによる金融市場に与える負のインパクト(ジャンク債市場の崩壊等)が心配である。
■ますます苦境に陥るサウジアラビア
前回のレポート(「原油価格下落で袋小路のサウジアラビア」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45069)でサウジアラビアの苦境を説明したが、イランメデイアによれば、10月26日、サウジアラビアの軍艦がイエメン南西部沿岸でイエメン側からのミサイル攻撃を受けて沈没するなど苦戦を強いられているため、サウジアラビア政府は米国の民間軍事会社であるブラックウオーターの支援を要請したという(イエメンで化学兵器を既に使用したとの噂もある)。
また10月26日、サウジアラビアの王子がレバノン空港で過激派組織イスラム国との関係が疑われる薬物の密輸容疑で拘束されるというスキャンダルが発生した。
さらに翌27日にはサウジアラビア主導の連合軍がイエメン北部にある「国境なき医師団」の病院を空爆し、国連の事務総長がこれを非難する声明を発表している。
欧州議会は10月29日、優れた人権活動をたたえるサハロフ賞を、保守的なイスラム教国のサウジアラビアで言論の自由を訴える人権活動家であるバタウィー氏(現在服役中)に授与すると発表した(2011年には「アラブの春」に寄与した活動家達が受賞した)。
こうした状況のなか、国際社会におけるサウジアラビアの立場が急速に悪化し始めている。
中東原油の最大需要国である中国への原油輸出が減少するなど、サウジアラビア政府を支える原油収入の見通しも明るくない(米格付け会社S&Pは10月30日、原油安による財政悪化を理由にサウジアラビアの格付けを引き下げた)。
9月に、中国のロシアからの原油輸入量は前年比42%増の404万トンだったのに対し、サウジアラビアからの輸入量は前年比17%減の395万トンだった。
ルーブル安による生産コスト低下により、ロシアの10月の原油生産は日量1078万バレルと過去最高水準を再び更新した。
ロシアの原油が中国市場におけるサウジアラビア原油のシェアをさらに奪う可能性が高い。
最後に南シナ海だが、「米国と中国の『熱い平和(ホットピース)』時代に入った」と分析する専門家が出てきている。
「ホットピース」とは「冷戦(コールドウオー)」の相対概念だ。
地域的には直接衝突するが、その衝突は世界的には広がらない、とするものである。
だが、南シナ海は年間約4万隻の船が通過する世界第2位の貿易航路である(貿易額は年間約5兆ドル)。
この地域における米中の軍事衝突は、たとえ小規模であっても日本経済にとって致命的な打撃となる。
サウジアラビアとともに今後の推移に要注意である。
』
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