2015年12月25日金曜日

世界経済にかつてなく大きな影響を及ぼした中国:バブル崩壊するが、中国経済は崩壊しない

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 ことし2015年、中国のバブルの一部が崩壊した。
 株式市場である。
 今後、数年に渡ってさんまざまな中国バブルが崩壊していく。
 たとえば不動産バブル。
 鉄鋼バブル。
 自動車バブル、などなど。
 だがしかし、中国経済崩壊にはならない。
 振り返ってみよう。
 日本はバブル崩壊の経験をしている。
 それをおもいだせば、すぐに理解できる。
 バブル崩壊がいかに起きようとも、「国家経済は崩壊しない」のである。
 日本はバブル崩壊後「失われた**年」というプロセスに入った。
 しかし、中国が急成長してくるまで、バブル後の日本は世界経済ナンバー2を保持している。
 つまり「失われた十数年」の間、「世界経済ナンバー2」であり続けたのである。
  実際、就職状況は氷河期を迎えた。
 だが、毎年のように連休には海外旅行客が史上最高を記録していったことも確かである。
 このことからしても、中国経済は崩壊しない。
 しかし、様々なバブル崩壊があちこちで起きることは確かだと思う。
 過剰生産と銀行の過大債務はバブル崩壊を引き起こすにふさわしい条件をもっているし、一部では崩壊は起きる。
 しかし、中国経済は厳としてそこにあり続けるだろう。
 そのような見方で、中国をみていくことが肝心だと思う。


2015.12.25(金) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45638

世界経済にかつてなく大きな影響を及ぼした中国
2016年も世界経済を左右する重要な国になるが、その影響は異なる?
(2015年12月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国はこの1年、かつてないほど大きな影響を世界経済に及ぼした。
 中国の景気減速はエネルギーやコモディティー(商品)の生産国に苦痛を与えただけでなく、ほかの途上国にとっても深刻な経済成長減速要因となり、世界全体の成長率を押し下げた。
 また、同じくらい衝撃的だったのは、この夏の株価急落と手際の悪い通貨切り下げのために米連邦準備理事会(FRB)が9月の金利引き上げを延期したことだ。
 金融政策の立案に当たってFRBほど外部の影響に反応しない中央銀行はない。
 そのFRBがこの点で予想外の敏感さを見せたことは、中国の台頭によって世界がいかに大きく変化したかを物語る出来事だった。

 さらに、中国政府はついに、人民元を国際通貨基金(IMF)の準備通貨のバスケットに採用してもらうという大願も成就させた。

■効果を発揮し始めた景気刺激策、政策の方向性に注目

 来たる2016年も、中国は再び、世界経済の動向と資金の流れる方向を左右する非常に重要な存在になるだろう。
 だが今度は、景気減速が云々という話にはならない。
 鉱工業生産指数からうかがえるように、景気刺激策は効果を発揮している。
 また、特に地方政府によるインフラ投資の改善に反応する形で、投資が上向いている。
 国有企業も投資を増やしている。

これは中国政府がかねて脱皮しようとしていた、
 投資・輸出主導の古い経済成長モデルへの回帰にほかならない。
 予想をはるかに上回る景気減速に直面した今年、中国共産党の幹部たちは方針を転換した。
 比較的古い産業で失業が高水準になれば社会不安が生じ、
 共産党による権力維持の脅威になりかねないと恐れたに違いない。

 来年には、経済における消費の割合を増やしたり金融の自由化を続けたりする当初の計画が放棄されたか否かを示す、決定的な証拠が明らかになるだろう。
 もし放棄されたのであれば、中国は高くつく資源配分の誤りを永続させることになり、後でさらに高い代償を払うことになる。
 中国以外の国々も代償を払うことになるだろう。
 持続不可能な経済成長モデルは、中国が世界全体の生産能力の余剰に寄与したために多くの産業で利益率が落ち込むという悪影響を外部に及ぼしている。
 あまり指摘されていないが、これは米国と大半の欧州諸国で金融危機以降に企業の投資が低迷していることの1つの要因だ。

■人民元切り下げの行方

最も大きな疑問の1つは通貨戦争に関するものだ。
 中国の産業界は、競争力のない人民元レートに苦しんでいる。
 上昇の著しい米ドルにペッグしていることが、この問題をさらに悪化させている。

 今月になって中国当局が、通貨バスケットに基づく指数に切り替えたことは、表向きは市場で決まる部分が大きい為替レートへの移行に寄与する。
 中国人民銀行(中央銀行)が人民元レートを切り下げるときの煙幕にもなる。
 また生産者物価が急低下していることも、人民元の実質ベースの下落に寄与している。
 先進国が需要不足に苦しんでいることを考えれば、秩序ある切り下げなら、世界のほかの国々にとって元安は対応可能かもしれない。
 原油価格が下落して消費者の所得が押し上げられていることに加え、中国から輸入される製品が値下がりすれば、消費を刺激することに役立つと思われるからだ。

 ただ、もっと急激な人民元切り下げとなれば(実行されるとすれば、日本がさらに競争的な通貨切り下げを図るときに促される可能性がある)、話は別かもしれない。
 大統領選挙が行われる年に米国で保護主義的な感情を燃え上がらせてしまう場合は特にそうだ。
 米国経済全体に占める貿易可能財セクターの割合は比較的小さいものの、輸出業者が連邦議会に対して行使するロビイング力はかなり強い。
 とはいえ、グローバルサプライチェーンの存在は、グローバル化が始まる前に比べれば、貿易保護主義の主張が抑制されたものになるかもしれないことを意味している。

■中国マネーが各国でバブルを生む可能性

 中国の当局者らが金融改革に対する意欲を取り戻すようなことがあれば、別の種類のショックがほかの場所で感じられるかもしれない。

 完全な資本勘定の自由化に向けた動きは、莫大な貯蓄のプールを解き放ち、外国市場に向かわせるだろう。
 財産権がより強固でガバナンス(統治)が安定した国々へ投資を多角化させようとする衝動は、圧倒的に大きいはずだ。
 そうなると、バブルが生まれるだろう。
 発展途上国世界の比較的狭い市場では特にそうだが、先進国でも生じるはずだ。
 経済には、それより悪いことが起き得るものだ。

By John Plender
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ロイター 2015/12/28 20:55 ロイター
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151228-00000036-biz_reut-nb

中国政府、地方政府債務11兆元のスワップを承認 3年以内に

[上海 28日 ロイター] -
 中国の楼継偉財政相は、地方政府の2014年末時点の債務15兆4000億元(2兆4000億ドル)を約3年以内に借り換える方針を明らかにした。
 第一財経日報が28日報じた。
 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で発表した。

 債務残高のうち1兆0600億元分はすでに地方債発行によるリファイナンスが承認されている。
 残額は銀行融資や地方政府の資金調達ビークルを通じたバランスシート外の融資によるものだという。

 楼財政相はさらに、 国務院(内閣に相当)が残額について、財政省による地方政府の債務スワッププログラムを利用して3年以内に借り換えることを許可したと明らかにした。
 第一財経日報の試算によると、これにより借り換えられる債務の残額は11兆1400億元になる見通し。

 財政省は3月に、地方政府の救済のため、債務を低利の地方債へスワップするプログラムを立ち上げた。
 2015年のスワップ枠は当初1兆元だったが、後に3兆2000億元まで拡大されていた。










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