発展が速過ぎてフォローが追いつかない、
ということのようだ。
中国中で何が起きても不思議でない状況が現出している。
『発展から災害へ』
と大きく舵をとることになんるのだろうか。
『
TBS系(JNN) 12月21日(月)23時33分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151221-00000063-jnn-int
中国・土砂崩れは「人災」、行方不明85人
中国広東省・深セン市で起きた土砂崩れ。
33棟が倒壊し、土砂に覆われた範囲は38万平方メートル、東京ドーム8個分に相当します。一体、何が起きたのでしょうか。
4階建てのビルが一瞬にして崩れ落ちました。
工業団地に突然、土砂が押し寄せ、工場や宿舎をのみ込んでいきます。
ぶれる携帯電話の映像に、逃げ惑う人々の声が残されていました。
「我々の工場は全て倒れた。
まだ倒れ続けている。
全てさら地になってしまった」
土砂が直撃した建物で一命を取りとめた人は・・・。
「部屋から出たら建物が倒壊し、爆発も見ました」(救出された人)
「爆発があって、とても怖かった。パパと僕はビルから飛び降りました」(救出された人)
土砂が崩れた直後、大きな爆発も起きていました。
現場付近を通っていたガスのパイプラインが爆発した様子を捉えたものとみられます。
原因について市民は・・・。
「これは天災ではない。人災だ」
「政府がしっかりやっていれば、こんな問題は起きなかったはず」
これは、5年前の現場周辺の様子です。
山が大きく削られた部分は採石場でした。
採石場の跡地が去年から残土置き場として使われるようになっていました。
「(毎日、車が土砂を運ぶのを見た?)毎日だよ。
昼から夜までずっと運んでいた」
「(残土の高さは)ビル10階~20階、30階建てくらい。
しかもすごい傾斜です」
残土置き場として2月までは許可を得ていましたが、その後も一日に数百台のダンプカーが残土や廃棄物を運び込んでいたといいます。
「土砂崩れがあった場所です。
土がとても軟らかいのが分かります」(中国中央テレビ)
香港メディアは、残土が斜面にそって一気に崩れ、工場や宿舎を直撃した様子を報じています。
国土資源省は初期調査の結果、「残土の量が多く、傾斜が急すぎた」として、『人災』との見方を示しました。
夜を徹して捜索活動が行われ、20日夜までに7人が救出されましたが、今も85人が行方不明となっています。
さらに、多くの住民が生活と仕事の場を失いました。
「現場に近いこちらの避難所には、家に帰ることのできない住民らが大勢つめかけています」(記者)
「(一緒に逃げた)いとこが選んだ道は行き止まりで、今も土砂で埋もれている」(避難者)
中国有数の工業地域として知られる深セン。
ここ数年、建設ラッシュが続いていて、残土処理が深刻な問題になっていました。
「自分たちで造った人工の山に埋もれる、悲しい中国人」(中国版ツイッター:ウエイボより)
中国では、安全管理不足が原因の事故が相次いでいます。
習近平国家主席は、今回の事態を重く受け止め、捜索と負傷者対策に全力を挙げるよう指示したということです。
』
『
ニューズウイーク 2015年12月22日(火)15時44分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/12/post-4280.php
深セン土砂崩れの裏に緑威公司と地方政府の利権構造
●目を疑う惨事 天津の爆発事故同様、今回も人災の疑いが強い REUTERS
20日に起きた広東省深セン市の土砂崩れ事故の背景に、案の定、企業と深セン人民政府や中国共産党深セン市委員会との間の癒着が浮かび上がった。
次期国家主席の有力候補と見られている広東省書記・胡春華のへの影響は?
■緑威公司と深セン人民政府や党委員会との癒着
今月20日に広東省深セン市の工業団地で起きた大規模土砂崩れで、33棟の団地が一瞬で地面に埋まってしまう惨事が起きた。
現時点で1人の遺体が見つかっているが、なお89人が行方不明のままだ。
土砂崩れによって38万平方メートルの土地が深さ10メートルの土砂で埋まった。
このとき天然ガスパイプラインも破損して爆発が起き、惨状を加速させている。
中国政府は今のところ、土砂崩れの原因は、高さ100メートルまで積み上げられた土砂置き場の土砂で、土砂置き場として臨時に利用されていた石切り場が、工業団地の方向を向いていたことが惨事を生んだとしている。
この土砂は、工場や工業団地を建築する際に生じたもので、土砂にはコンクリ―のかけらや建築廃材なども含まれており、それが不安定さを増し、崩壊の主要原因になっていたとのこと。
そして中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球網」(環球時報のウェブサイト)は21日朝、土砂を積み上げた業者として、「深セン市緑威物業管理有限公司」(以下、緑威公司と略称する)の名前を挙げた。
緑威公司は2001年に1001万元(現在のレートで約2兆円)の資本金で張菊如と張金華が設立した会社だ。
張菊如はまた、「深セン市緑威投資発展有限公司」という会社を同じく資本金1001万元で2010年12月に設立している。
環球網の情報源は中国の「毎日経済新聞」の記者によるが、2013年10月から今日に至るまで、緑威公司は何度も深セン市宝安区政府購入センターの落札対象となってきたという。
直訳なので、もう少し表現を変えて書くと、政府の仕入れ係の窓口が推進するプロジェクトに複数の企業が入札したとき、毎回、必ず緑威公司が独占的に落札してきたということだ。
これは中国全土のいたるところに充満している現象で、水面下で(いや、堂々と?)、企業と政府役人が癒着し賄賂を渡して特定の会社に落札させる。
同時に、その管理に関しても余計な経費を掛けず、すべて「目こぼし」をしてくれるという仕組みが全国的に出来上がっている。
今回も例外ではなく、天津の爆発事故同様、「人災」であることは明らかだ。
癒着している政府役人というのは、中国では二重になっていて、一つは地方人民政府の役人で、もう一つはその地方の中国共産党委員会書記などである。
2001年からの市長と書記の名前を列挙したいところだが、その誰が癒着に関わったのか、まだ特定することはできないし、またもしかしたら全ての人が「伝統的に」受け継いできたかもしれないので、具体的な人物に関しては必要に応じてまたの機会にしたい。
問題は、緑威公司が、政府が落札して請け負った土砂処理(堆積?)経営権を、別の業者に譲り渡していたということだ。
それを明らかにさせたのは22日付の「東方報業集団ウェブサイト」(東網)で、75万元(約1500万円)で「深セン市益相龍投資発展有限公司」に経営権を譲渡していたとのこと。
政府によって落札した企業が、その経営権を袖の下を使って他の企業に譲渡する行為は、中国でも違法である。
管理責任問題と中国の腐敗構造は、事故現場以上に泥沼化しそうだ。
■次期国家主席有力候補、広東省の胡春華書記への影響は?
事故の犠牲者に対する関心とともに、筆者だけでなく中国人民は次期国家主席の有力候補者とされる中国共産党広東省委員会の胡春華書記に対する影響がどうなるのだろうかということに、連鎖反応的に注意がいく。
そこで土砂崩れ事故と胡春華の二つのキーワードを入れて中国のネット空間で検索してみた。
すると、実に奇妙な現象が現れた。
いきなり「広東省委書記胡春華看望深セン山体事故傷員」(実際はすべて簡体字)という選択項目が出てきたので、驚いてクリックした。
ところが、どのページをクリックしても、すべて「削除されました」とか「申し訳ありません。このページは探し出せません」あるいは「not found」という表示が出てくるではないか。
これはただ事ではない。
知り合いの退職した中国政府の老幹部に確認したところ、どうやら「よからぬ噂」が流れていたので、このタイトルのページは検閲に引っかかり、全て削除されたのだという。
しかし胡春華自身は北京で開かれていた中央の会議に参加していたのだが、習近平国家主席と李克強国務院総理の支持を受けて、すぐさま現場に駆け付けたそうだ。
中国共産党新聞網によれば、「張高麗、馬凱、胡春華、楊晶、郭声●(王偏に昆)、王勇、朱小丹」などの中共中央および広東省の関係指導層に対して、緊急に救助活動に従事するよう命令を出したとのこと。
胡春華は、広東省の書記としての責任は当然負わなければならないだろうが、直接の影響は少ないようだ。
継続して事態の経緯を見守りたい。
』
『
JB Press 2015.12.29(火) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45651
深センの土砂崩れ、あの爆発は何だったのか
背後に見え隠れする中国産業界の腐敗体質
12月20日、広東省深セン市で大規模な土砂崩れが起きた。
事故は深セン市光明新区鳳凰社区で起こり、恒泰裕工業団地など複数の工業団地を巻き込んだ。
波のように押し寄せる汚泥が33棟の工場と15の企業を呑みこんだとされる。
行方不明者は90人以上に達している。
原因は、「工事現場などから運ばれ堆積した残土が土砂崩れを引き起こした」(人民日報)とみられている。
もともとこの残土処理場は採石場だったが、環境保護という観点から採石は止められ、原状回復の名のもとに残土処理場と化した。
深セン市にはこうした残土処理場が少なくない。
その後、この残土処理場には工事現場などから集められた残土が大量に運び込まれた。
残土は山側に寄せられ、およそ100メートルの高さの山ができていた。
そうした状況に対して、地元の環境報告書は以前から地滑りの危険性を訴えていた。
にもかかわらず現場は改善されることなく、事故が起きてしまった。
危険性が分かっていながらも、地元政府は無策だった。
土地整備課、土地利用課、地質環境課などの専門のセクションを擁する宝安区の国土資源委員会も、事故を未然に防ごうとはしなかった。
それもそのはず、国土資源委員会は土地資源の売却で儲けることしか頭にないからだ。
同ホームページを見てもその体質は明らかだ。
今回の事故についてまったく触れられていないどころか、工業用地の競売情報ばかりである。
おそらく、今回の事故に巻き込まれた工業団地も、周辺の危険性などおかまいなしに叩き売られたのだろう。
中国沿海部を代表する大都市の深センでさえ、財源を土地資源の切り売りに深く依存している
のが現状なのだ。
■メディアの報道には納得できない
事故の原因について、中国の報道の多くが「積みあがった残土による土砂崩れ」と伝えている。
だが、地元民は納得していない。
一部の電子メディアは、付近の住民の声を次のように伝えている。
「事故当日は悪天候ではなかった」
「雨季に土砂崩れが起こらず、今ごろ起こるなんてありえない」
当日は確かに雨が降った。
しかし事故があった後に小雨がぱらついた程度で、午前中から大雨が降っていたわけではない。
また、こんな疑念の声もあがっている。
「建物が倒壊した状況を見ると、ただの山崩れとは思えない。
山崩れなら建物は1つの方向に崩れて行くはずだ。
しかし実際はそうなっていない。
一体どんなエネルギーがあれほどの建物を倒壊させたのか」
日本の地質コンサルタントも次のように指摘している。
「通常、このような大崩落は大雨や地震などの後に起こります、
また普通の地すべりならゆっくり動くが、これは一気に崩壊しています」
「堆積した残土が滑って崩れた」だけでは説明がつかない事故なのだ。
■爆発があって山崩れが起きた?
事故当日、新華網は、事故現場から4キロの地点に住む住民の次のようなコメントを掲載した。
「20日正午に突然大きな爆発音が聞こえた。
その後に聞こえたのが土砂崩れの音だった」
この証言によると、爆発があり、その後、土砂崩れが発生したことになる。
事故現場には、中国の国家プロジェクト「西気東輸計画」で建設したガスパイプラインが通っている。
プロジェクトを進めたのは「中国石油天然気」(ペトロチャイナ)である。
「西気東輸計画」は、中国西部の天然ガスを中国東部沿岸地域に輸送する総延長約4000キロメートル、総工費約1400億元のパイプラインだ。
西部から送られた天然ガスの東の終着点が、事故のあった広東省に当たる(ちなみに、西気東輸のガスパイプラインは、新疆ウイグル自治区などで過去に何度も爆発事故を起こしている)。
当初、パイプラインの爆発が大崩落を招いたのではないかとの疑いもあった。
ところが、中国石油天然気は即座に「爆発原因説」を否定する。
そして事故翌日の12月21日の新華網は、これを受けて
「西気東輸のガスパイプラインの爆発が土砂崩れを引き起したのではなく、土砂崩れが爆発を引き起こした」
と伝えた。
その後、中国石油天然気は「ガス漏れはあったが爆発は起きていない」と発表。
土砂崩れで「むしろ損害を被った」と強調した。
住民が撮影した動画には、土砂崩れと同時に高く黒煙を噴き上げる大規模な爆発が映っている。
だが、メディアはその後、中国石油天然気を追及しなくなった。
■中国高速鉄道事故との類似点
今回の土砂崩れ事故から想起されるのが、2011年7月に浙江省温州市で発生した中国高速鉄道事故である。
死者40人と重軽傷者約200人を出す大惨事となったあの事件だ。
中国高速鉄道の建設を推し進めたのが、鉄道部部長として中国の鉄道の全権を握り、辣腕をふるった劉志軍だった。
劉志軍は職権濫用、汚職、収賄などの重大な規律違反があったとして2011年2月に摘発されている。
自分の利権で愛人を儲けさせ、その愛人から巨額のバックマージンを得ていたというのだ。
収賄金額は30億元だとも言われている。
この男にとって「人命、安全」が二の次だったことは言うまでもない。
実は、爆発を起こした「西気東輸のガスパイプライン」も、共産党のある大物幹部の息がかかったプロジェクトだった。
その幹部とは、元国家発展改革委員会副主任、元国家エネルギー局局長の劉鉄男である。2012年10月、西気東輸パイプライン第3ルートである「西気東輸3線」の建設が新疆と福建で開始された際、北京の着工式の檀上で祝辞を述べた人物だ。
劉鉄男はエネルギー産業で巨大な利権を握り、収賄金額は24億元とも言われている。
習近平体制が確立すると、政府が推し進める反腐敗活動の“重点的ターゲット”となり、2013年に重大な紀律違反に問われる。
2014年12月の一審では無期懲役の判決を下された。
2015年8月に天津港で起きた貨物倉庫の爆発事故も、根底にあるのは、共産党の大物幹部と癒着した企業の安全管理のお粗末さだった。
今回の土砂崩れも、こうした中国の産業界の「腐敗体質」「汚職体質」は影響していないだろうか。
事故の続報を見守りたい。
』
JB Press 2015.12.29(火) 姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45651
深センの土砂崩れ、あの爆発は何だったのか
背後に見え隠れする中国産業界の腐敗体質
12月20日、広東省深セン市で大規模な土砂崩れが起きた。
事故は深セン市光明新区鳳凰社区で起こり、恒泰裕工業団地など複数の工業団地を巻き込んだ。
波のように押し寄せる汚泥が33棟の工場と15の企業を呑みこんだとされる。
行方不明者は90人以上に達している。
原因は、「工事現場などから運ばれ堆積した残土が土砂崩れを引き起こした」(人民日報)とみられている。
もともとこの残土処理場は採石場だったが、環境保護という観点から採石は止められ、原状回復の名のもとに残土処理場と化した。
深セン市にはこうした残土処理場が少なくない。
その後、この残土処理場には工事現場などから集められた残土が大量に運び込まれた。
残土は山側に寄せられ、およそ100メートルの高さの山ができていた。
そうした状況に対して、地元の環境報告書は以前から地滑りの危険性を訴えていた。
にもかかわらず現場は改善されることなく、事故が起きてしまった。
危険性が分かっていながらも、地元政府は無策だった。
土地整備課、土地利用課、地質環境課などの専門のセクションを擁する宝安区の国土資源委員会も、事故を未然に防ごうとはしなかった。
それもそのはず、国土資源委員会は土地資源の売却で儲けることしか頭にないからだ。
同ホームページを見てもその体質は明らかだ。
今回の事故についてまったく触れられていないどころか、工業用地の競売情報ばかりである。
おそらく、今回の事故に巻き込まれた工業団地も、周辺の危険性などおかまいなしに叩き売られたのだろう。
中国沿海部を代表する大都市の深センでさえ、財源を土地資源の切り売りに深く依存している
のが現状なのだ。
■メディアの報道には納得できない
事故の原因について、中国の報道の多くが「積みあがった残土による土砂崩れ」と伝えている。
だが、地元民は納得していない。
一部の電子メディアは、付近の住民の声を次のように伝えている。
「事故当日は悪天候ではなかった」
「雨季に土砂崩れが起こらず、今ごろ起こるなんてありえない」
当日は確かに雨が降った。
しかし事故があった後に小雨がぱらついた程度で、午前中から大雨が降っていたわけではない。
また、こんな疑念の声もあがっている。
「建物が倒壊した状況を見ると、ただの山崩れとは思えない。
山崩れなら建物は1つの方向に崩れて行くはずだ。
しかし実際はそうなっていない。
一体どんなエネルギーがあれほどの建物を倒壊させたのか」
日本の地質コンサルタントも次のように指摘している。
「通常、このような大崩落は大雨や地震などの後に起こります、
また普通の地すべりならゆっくり動くが、これは一気に崩壊しています」
「堆積した残土が滑って崩れた」だけでは説明がつかない事故なのだ。
■爆発があって山崩れが起きた?
事故当日、新華網は、事故現場から4キロの地点に住む住民の次のようなコメントを掲載した。
「20日正午に突然大きな爆発音が聞こえた。
その後に聞こえたのが土砂崩れの音だった」
この証言によると、爆発があり、その後、土砂崩れが発生したことになる。
事故現場には、中国の国家プロジェクト「西気東輸計画」で建設したガスパイプラインが通っている。
プロジェクトを進めたのは「中国石油天然気」(ペトロチャイナ)である。
「西気東輸計画」は、中国西部の天然ガスを中国東部沿岸地域に輸送する総延長約4000キロメートル、総工費約1400億元のパイプラインだ。
西部から送られた天然ガスの東の終着点が、事故のあった広東省に当たる(ちなみに、西気東輸のガスパイプラインは、新疆ウイグル自治区などで過去に何度も爆発事故を起こしている)。
当初、パイプラインの爆発が大崩落を招いたのではないかとの疑いもあった。
ところが、中国石油天然気は即座に「爆発原因説」を否定する。
そして事故翌日の12月21日の新華網は、これを受けて
「西気東輸のガスパイプラインの爆発が土砂崩れを引き起したのではなく、土砂崩れが爆発を引き起こした」
と伝えた。
その後、中国石油天然気は「ガス漏れはあったが爆発は起きていない」と発表。
土砂崩れで「むしろ損害を被った」と強調した。
住民が撮影した動画には、土砂崩れと同時に高く黒煙を噴き上げる大規模な爆発が映っている。
だが、メディアはその後、中国石油天然気を追及しなくなった。
■中国高速鉄道事故との類似点
今回の土砂崩れ事故から想起されるのが、2011年7月に浙江省温州市で発生した中国高速鉄道事故である。
死者40人と重軽傷者約200人を出す大惨事となったあの事件だ。
中国高速鉄道の建設を推し進めたのが、鉄道部部長として中国の鉄道の全権を握り、辣腕をふるった劉志軍だった。
劉志軍は職権濫用、汚職、収賄などの重大な規律違反があったとして2011年2月に摘発されている。
自分の利権で愛人を儲けさせ、その愛人から巨額のバックマージンを得ていたというのだ。
収賄金額は30億元だとも言われている。
この男にとって「人命、安全」が二の次だったことは言うまでもない。
実は、爆発を起こした「西気東輸のガスパイプライン」も、共産党のある大物幹部の息がかかったプロジェクトだった。
その幹部とは、元国家発展改革委員会副主任、元国家エネルギー局局長の劉鉄男である。2012年10月、西気東輸パイプライン第3ルートである「西気東輸3線」の建設が新疆と福建で開始された際、北京の着工式の檀上で祝辞を述べた人物だ。
劉鉄男はエネルギー産業で巨大な利権を握り、収賄金額は24億元とも言われている。
習近平体制が確立すると、政府が推し進める反腐敗活動の“重点的ターゲット”となり、2013年に重大な紀律違反に問われる。
2014年12月の一審では無期懲役の判決を下された。
2015年8月に天津港で起きた貨物倉庫の爆発事故も、根底にあるのは、共産党の大物幹部と癒着した企業の安全管理のお粗末さだった。
今回の土砂崩れも、こうした中国の産業界の「腐敗体質」「汚職体質」は影響していないだろうか。
事故の続報を見守りたい。
』
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