2015年12月17日木曜日

アジア諸国と日中とのスワップ協定:中国スワップはアテになるのか?

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ロイター  2015年 12月 16日 14:40 JST
http://jp.reuters.com/article/hsbc-idJPKBN0TZ08V20151216

アングル:アジア新興国、
日本や中国との通貨協定が防波堤

[シンガポール 16日 ロイター] -
 米国が利上げに踏み切った場合に多額の投資資金の流出に見舞われる恐れのあるアジアの新興市場国にとって、中国や日本との間で結んでいる総額2550億ドルの通貨スワップ協定が、いざという際に為替市場の混乱を防ぐ防波堤になりそうだ。

 アジア諸国の中央銀行と交わしているスワップ協定の額
★.中国人民銀行(中央銀行)が2150億ドル、
★.日銀が400億ドル
 そのほとんどは2008年の金融危機以降に締結された。

 HSBC(香港)のアジア経済調査部門共同ヘッド、フレデリック・ニューマン氏は
 「投資家が動揺した場合に政策当局者は巨大なバズーカが必要で、引き出し可能な公的な補完手段は極めて有益だ」
と話す。
 その上で
 「万が一に東南アジアで金融不安が再発すれば、中国のほか日本も大きく前に出ると予想している」
と話した。

 アジア諸国の外貨準備は総額6兆7500億ドルで、その約70%を中国と日本が占める。
 他のアジア諸国、とりわけ南アジアと東南アジアの新興国は緩衝剤となる外貨準備が薄く、中銀の流動性供給枠が通貨防衛の層を厚くする上で役立っている。

 例えば外貨準備が946億ドルしかないマレーシアは、1800億元の人民元スワップ協定を結んでいる。
 インドネシアは外貨準備が1002億ドルだが、中国および日本とのスワップ協定に基づいて外貨を引き出せば準備は380億ドル上積みされる。

 中国は新興国とのスワップ協定で東欧や中南米よりもアジアで積極的な姿勢を採っている。
 加えてアジアではスワップ協定が中国人民銀行と日銀の2大中央銀行に集中しており、
 「大型のスワップ協定によって他の新興国に比べて恵まれた立場にあるかもしれない」(IGの市場ストラテジスト、バーナード・オー氏)
との声も聞かれる。
 「二国間スワップ協定が使われることは稀だが、金融危機の際には役立つことが分かっている」
という。

★.日銀のスワップ協定は「金融危機の場合に利用を限定する」ことがはっきりとうたわれている。
 しかし、
★.人民銀行のスワップ協定が利用可能な条件には疑問が残る。

★.人民元の二国間スワップ協定は、資金が貿易のための支払いや直接投資など二国間で合意した目的に利用可能
と定めている。
 HSBCのニューマン氏は
 「いざとなったときにこの資金が本当に手に入るのか疑わしい」
と述べた。

(Vidya Ranganathan記者)



夕刊フジ 12月26日(土)16時56分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151226-00000006-ykf-int

日本との通貨スワップ復活を渇望する韓国 
経済深刻でも朴政権は切り出せない?

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が「経済危機」への備えを命じた韓国。
 その対策の一つとして、またぞろ日本などとの通貨交換(スワップ)協定を復活させるべきだとの声が上がり始めた。
 朴政権の「反日」姿勢を背景に、韓国側が「協定延長は不要」と打ち切った経緯を忘れたわけではあるまいが、そこまで経済が追い込まれているということなのか。

 慰安婦問題の早期妥結に向けて、28日にも日韓外相会談が開かれることになった。
 また、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に無罪判決が出て検察が控訴を断念したほか
 韓国の憲法裁判所が日韓請求権協定の「違憲」を主張する訴えを却下し違憲性の判断を回避した。
 このところ、
 朴政権の対日すり寄りともいえる動きが相次いでいる背景の一つに、深刻な経済不振がある。

 ウォンは今年に入って対ドルで6%超下落。
 7年ぶりの大きさとなった。
 外国人投資家は韓国株を4年ぶりに売り越しに転じるなど、市場では「韓国売り」が目立つ。
 朴大統領は米国が利上げを決める前の今月16日、
 「経済危機に備えた緊急対応策を用意しておくべきだ」
と異例の発言をするところまで追い込まれた。

 聯合ニュースによると、与党セヌリ党が対応策の一つとして掲げているのが通貨スワップ協定の拡大だ。
 「必要に応じて主要国の中央銀行などとの協議を拡大する」
と明らかにしている。
 通貨スワップは、外貨不足に陥った際、自国通貨と交換で相手国から融通してもらう仕組み。
 2008年のリーマン・ショック後の資金流出の際には、米国や日本との通貨スワップでドルを調達して危機をしのいだ。

 現在、韓国が最大のスワップ協定を結んでいる相手は中国だが、調達できるのは人民元。
 ドル建ての対外債務が多い韓国にとっては無用の長物に終わる恐れがある。
 ロイターは、人民元の調達すら「いざとなったときに資金が本当に手に入るのか疑わしい」
とする専門家の見方を紹介した。

 一方、日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)による「チェンマイ・イニシアチブ」では最大384億ドル(約4兆6200億円)の引き出し枠があるが、国際通貨基金(IMF)の関与がない場合の引き出しは最大30%。
 また、別の国がドルを必要とする場合、韓国は提供する立場になる。

 2国間のドルスワップはかつて米国や日本と結んでいた。
 韓国経済新聞は、大手シンクタンク、現代経済研究院の研究員による
 「いつでも再び米国との通貨スワップを結ぶことができるよう、対米関係を強化しなければならない」
とする見解を報じた。

 ただ、韓国の露骨な中国への接近にオバマ政権は業を煮やしている。
 韓国の保守系サイト、趙甲済(チョ・ガプジェ)ドットコムは、
 「金融不安を効果的に沈める方法は、米国と日本の少なくとも一国とドル通貨スワップを締結することだが、
 米国が韓国のスワップ締結要求に応えてくれる確率はほぼない」
とする投稿を掲載。
 「韓国政府は日本を優しくなだめて一刻も早くドルスワップ協定を締結するべきだが、
 亡国の反日が韓国に危機的状況をもたらしている」
と朴政権の反日政策を厳しく批判している。

 日本と韓国のドルスワップ協定は2001年に締結され、11年に700億ドル(約8兆4200億円)規模まで融通枠を拡大したが、その後は縮小、反日姿勢の朴政権が「延長の必要がない」と言い出したこともあり、今年2月に終了した。
 韓国の財界からは日韓スワップの復活を求める声が上がっているが、
 「本来は韓国政府が提案すべき案件だが、韓国政府は今さら持ち出せないという苦しい立場になっている」
と指摘するのは、週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏。

 「韓国の経済危機は中国経済の落ち込みという要因も大きく、
 通貨危機発生時にも中国への支援要請が不可能になることにようやく気付いたようだ。
 大失策を犯した朴政権が、遅まきながら日本に近づこうとしているということだろう」
と指摘する。
 朴政権が失ったものはあまりに大きいようだ。









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