『
毎日新聞 9月6日(日)23時45分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150906-00000089-mai-bus_all
<G20>中国「5年は苦難の調整」 生産・在庫が過剰
●中国の国内総生産(GDP)成長率の推移
◇楼継偉財政相が経済の先行きの見通しを示す
【北京・井出晋平】
世界連鎖株安の震源地となった中国の楼継偉財政相が、中国経済の先行きについて
「今後5年間は構造転換の陣痛期になる。苦難の調整過程になるだろう」
との見通しを示したことが6日明らかになった。
トルコの首都アンカラで5日まで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での発言として、中国財政省が6日発表した。
中国の閣僚が厳しい経済運営が続くとの認識を示すのは異例だ。
G20は中国を念頭に「必要に応じ新たなリスクに対処する」との共同声明を発表したが、具体的な対策には踏み込まなかった。
週明け以降の金融市場も中国の経済指標などに敏感に反応する不安定な状態が当面続きそうだ。
楼財政相は「構造転換の陣痛期」について
「過剰生産や過剰在庫の解消には数年間が必要」
と説明した。
中国は2008年のリーマン・ショック後、4兆元(約80兆円)の大型景気対策を実施し、世界経済の回復をけん引した。
だが、鉄鋼や石炭、セメントなどの主要産業の設備が過剰となり、生産活動が停滞。
今年7月の工業生産は前年同月比6.0%増と前月の伸び(6.8%増)を下回った。
7月の新車販売台数は7.1%減と4カ月連続で前年割れし、在庫が拡大している。
また、不動産への巨額投資で相次いで建設された大型マンションなどが大量に売れ残り、ゴーストタウンが各地で出現している。
習近平指導部は、中国経済を投資依存の高成長から消費主導の安定成長に構造転換させることを目指しており、
楼財政相は「構造転換に伴う主要な改革は20年までに完成させる必要がある」
と表明。
だが、非効率な国有企業が温存されるなど投資依存からの脱却は難航が必至で、
「消費主導への転換は苦難の調整過程になるだろう」と認めた。
一方、楼財政相は今後4~5年の国内総生産(GDP)の実質成長率について
「改革推進で(今年の政府目標の)7%前後を維持する」
とも述べた。
消費関連のサービス業が発展していることを訴えたが、改革の具体策は示していない。
また、中国人民銀行(中央銀行)は5日夜、周小川総裁がG20で中国の株価について「6月中旬まではバブルだった。
それ以降、調整があった」と説明したと発表した。
バブルがはじけたことを事実上認めた
ものだ。
周総裁は「(中国の株価が急落した)8月下旬の調整は全世界に影響を与えた」としつつも、
「危機を避けるため中国政府は(追加金融緩和など)一連の措置を行った」
と述べた。
今回のG20は中国経済に議論が集中し、各国が構造転換を求める展開となった。
中国は楽観的な景気見通しを前面に出すことが多かったが、今回は厳しい現状を説明する異例の対応に追い込まれたとみられる。
G20の声明は、中国経済の減速から世界経済の不透明感が強まっていることを踏まえ、
「経済回復を維持するために断固たる行動を取る」と宣言した。
◇中国の経済成長
改革・開放政策が始まった1979年以降、高成長が続き、国内総生産の成長率は物価変動を除いた実質で10%を超す年も多かった。
2010年には名目GDPで日本を上回り、
米国に次ぐ世界2位になった。
だが、今年1~3月期の実質成長率は前年同期比7.0%とリーマン・ショック直後の09年1~3月期以来の低水準に悪化。
4~6月期の成長率も7.0%だが、「実態はもっと悪いのでは」との指摘もある。
』
『
サーチナニュース 2015/09/07(月) 06:02
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0907&f=business_0907_002.shtml
中国不動産市場、
崩壊までの「スケジュール」=中国メディア
中国メディアの搜房網は3日、中国不動産市場は楽観視できない状況にあるとし、
「中国不動産市場の崩壊に向けたスケジュール」
とのタイトルで、
2016年にも危機が顕在化する恐れがある
と論じる記事を掲載した。
記事は、中国中央銀行の中国人民銀行が8月末に金融緩和として基準金利と預金準備率の引き下げを行ったことを指摘する一方、中国人民銀行が利下げを行うのは2014年11月以降で5度目だと伝えた。
さらに、中国不動産市場は一時的に持ち直す見込みだと伝える一方、市況としては決して楽観視できる状況ではないと論じた。
さらに、中国の不動産市場は9月、10月が最盛期であると指摘し、2015年の11月から2016年にかけてが問題だと伝え、アナリストの見解として、「中国不動産市場は基本的に需給が均衡状態」にあると主張。
短期的には在庫問題が重くのしかかっていると伝え、中国政府が不動産の購入制限を緩和するなどの救済策を打ち出したところで「不動産の在庫解消という局面に変わりはない」と伝えた。
また、9月、10月が最盛期に不動産の価格や取引件数が一時的に持ち直したとしても、
「結局は政府が絶えず行っている救済策によるもの」
であり、その背後には
中国不動産市場の「危機」が存在する
と指摘、
その危機は2016年にも顕在化する恐れがある
と主張した。
続けて記事は、2016年にも中国不動産市場で危機が顕在化すると主張した理由について、
★.中国では不動産需要がすでにある程度満たされていること
を指摘したうえで、利下げの影響によって9月、10月が最盛期に需要の先食いが起きると指摘。
16年初頭にも利下げの影響は薄れ、不動産を購入しようとする人が大幅に減少し、市場は大きな調整を余儀なくされるだろうと主張した。
また、米国で利上げが行われる見通しであることから、世界の投資家はまずドル建ての資産を購入しようと動くと指摘し、その意味では米国の不動産こそ投資価値があると紹介。
こうしたなかで中国政府が外国人による不動産の購入制限を緩和したところで不動産市場の救済策としては価値が小さいと指摘。
たとえ外国人が中国の不動産を購入するとしても、対象は条件の良い大都市の一部の物件に限られるだろうと論じた。
』
『
現代ビジネス 2015年09月07日(月) 真壁 昭夫
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45144
投資家が「逃避」し始めた!
〜中国経済崩壊&米国利上げ、そしてさらなる懸念も浮上
マーケットでは、世界的に株価が軟調に推移し、米国債などの需要が高まり金利は低下している。
この中でドルは対円で軟調に推移している。そうした投資家の動きを見ると、彼らが世界経済の先行きに対する懸念を感じ始めているのが分かる。
世界経済の懸念の背景にある最大の要因は、中国経済の成長率の低下だ。
そして米国の利上げ観測が、世界経済をより不安定にさせるとの警戒感も高まりつつある。
米国の利上げはFOMCの判断を待つしかないが、今後、多くの投資家がリスク回避に向かい、世界の金融市場が不安定化することには注意が必要だ。
いまの市場環境を概括すると、中国経済に対する先行き懸念が株価を下落させ、米国の国債利回りが低下する“質への逃避”につながっている。
すでにドル円は一時116円台まで円高が進んでおり、ドル高に対する期待も低下している。
中国に対する懸念だけでなく、米国での利上げ観測も金融市場を不安定にさせる要因の一つだ。
フィッシャーFRB副議長らは、中国経済に対する懸念がある中でも利上げは可能との見方を示した。
その発言自体、FRBの利上げが景気の先行きを不安定化させるという懸念を高めている。
FRBの利上げを占う重要材料として注目された8月の雇用統計では、失業率が5.1%に低下し、非農業部門の雇用者数は17.3万人となった。
雇用者数は予想を下回ったが、前月分が上方修正された。
また、平均賃金の水準も予想地を上回った。
こうした強弱混合の結果を受けて、FRBも相当、利上げに頭を悩ますことになるだろう。
強弱混合となった雇用統計の発表直後には、株安、金利低下、そして円高が進んだ。
おそらく株価の下落は先行きの景気リスクに加え、利上げに対する警戒心に影響されたと思われる。
そして金利の低下は、先行きの世界経済の減速懸念を反映している可能性がある。
■米国の利上げは世界経済のリスクを高めるか?
今回の雇用統計、そして市場の反応を考える上で注視すべき点は、すでに市場は米国の利上げを想定して行動している可能性があることだ。
利上げが、足許の市場を不安定にさせている中国の減速リスクを増幅し、より大きな世界経済のリスクにつながるシナリオも意識され始めた可能性がある。
中国の株価が幾分持ち直していることもあり、市場の一部には懸念は過ぎ去ったという見方もあるだろう。
しかし、中国の株価は政府の介入によって持ち上げられている疑いが強い。
そのため、中国経済は指標の内容によって中長期的な観点で評価されるべきだ。
当局が介入している国内市場の動向に一喜一憂すべきではない。
一方、米国株が下落し、そして、利上げの可能性があるにもかかわらず米金利が低下していることは、投資家が世界経済の変調を懸念し始めたことの裏返しかもしれない。
FRBが緩やかに利上げを進めると表明していることを受けて、市場は利上げ後の世界経済を織り込もうとしている可能性がある。
中国政府が景気刺激先を打ち出せば、一時的にはリスク回避の動きが落ち着くかもしれない。
しかし中国経済の安定化は短期間では困難だろう。
利上げが新興国からの資金流出につながるという懸念もある。
先進国の政策的な余地が限られているだけに、世界経済の減速リスクには注意が必要だ。
』
現代ビジネス 2015年09月07日(月) 真壁 昭夫
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45144
投資家が「逃避」し始めた!
〜中国経済崩壊&米国利上げ、そしてさらなる懸念も浮上
マーケットでは、世界的に株価が軟調に推移し、米国債などの需要が高まり金利は低下している。
この中でドルは対円で軟調に推移している。そうした投資家の動きを見ると、彼らが世界経済の先行きに対する懸念を感じ始めているのが分かる。
世界経済の懸念の背景にある最大の要因は、中国経済の成長率の低下だ。
そして米国の利上げ観測が、世界経済をより不安定にさせるとの警戒感も高まりつつある。
米国の利上げはFOMCの判断を待つしかないが、今後、多くの投資家がリスク回避に向かい、世界の金融市場が不安定化することには注意が必要だ。
いまの市場環境を概括すると、中国経済に対する先行き懸念が株価を下落させ、米国の国債利回りが低下する“質への逃避”につながっている。
すでにドル円は一時116円台まで円高が進んでおり、ドル高に対する期待も低下している。
中国に対する懸念だけでなく、米国での利上げ観測も金融市場を不安定にさせる要因の一つだ。
フィッシャーFRB副議長らは、中国経済に対する懸念がある中でも利上げは可能との見方を示した。
その発言自体、FRBの利上げが景気の先行きを不安定化させるという懸念を高めている。
FRBの利上げを占う重要材料として注目された8月の雇用統計では、失業率が5.1%に低下し、非農業部門の雇用者数は17.3万人となった。
雇用者数は予想を下回ったが、前月分が上方修正された。
また、平均賃金の水準も予想地を上回った。
こうした強弱混合の結果を受けて、FRBも相当、利上げに頭を悩ますことになるだろう。
強弱混合となった雇用統計の発表直後には、株安、金利低下、そして円高が進んだ。
おそらく株価の下落は先行きの景気リスクに加え、利上げに対する警戒心に影響されたと思われる。
そして金利の低下は、先行きの世界経済の減速懸念を反映している可能性がある。
■米国の利上げは世界経済のリスクを高めるか?
今回の雇用統計、そして市場の反応を考える上で注視すべき点は、すでに市場は米国の利上げを想定して行動している可能性があることだ。
利上げが、足許の市場を不安定にさせている中国の減速リスクを増幅し、より大きな世界経済のリスクにつながるシナリオも意識され始めた可能性がある。
中国の株価が幾分持ち直していることもあり、市場の一部には懸念は過ぎ去ったという見方もあるだろう。
しかし、中国の株価は政府の介入によって持ち上げられている疑いが強い。
そのため、中国経済は指標の内容によって中長期的な観点で評価されるべきだ。
当局が介入している国内市場の動向に一喜一憂すべきではない。
一方、米国株が下落し、そして、利上げの可能性があるにもかかわらず米金利が低下していることは、投資家が世界経済の変調を懸念し始めたことの裏返しかもしれない。
FRBが緩やかに利上げを進めると表明していることを受けて、市場は利上げ後の世界経済を織り込もうとしている可能性がある。
中国政府が景気刺激先を打ち出せば、一時的にはリスク回避の動きが落ち着くかもしれない。
しかし中国経済の安定化は短期間では困難だろう。
利上げが新興国からの資金流出につながるという懸念もある。
先進国の政策的な余地が限られているだけに、世界経済の減速リスクには注意が必要だ。
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『
現代ビジネス 2015年09月07日(月) 高橋 洋一
https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=1373239284673676154#allposts/postNum=0
G20が認めた「危機の中国経済」
■中国経済危機はどこまで深刻か
5日に閉幕したG20財務相・中央銀行総裁会議は、中国に焦点が当たった。
名指しこそしていないが、共同声明のポイントは次の部分にある。
<我々は、負の波及効果を最小化し、不確実性を緩和し、透明性を向上させるために、
特に金融政策その他の主要な政策決定を行うにあたり、
我々の行動を注意深く測定し、明確にコミュニケーションを行う>
筆者は、「我々の行動を注意深く測定」に着目している。
ある意味で、これは中国統計の杜撰さを指摘しているからだ。
8月24日付けの本コラム(衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている?データが語る「第二のリーマン・ショック」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44888)で書いたように、
中国ショックの本質は、中国の統計の信頼性のなさ
である。
GDP統計では、支出面アプローチでGDPを消費、投資等に分解する。
中国国家統計局のデータにももちろんそれがあるが、OECD等の国際機関では掲載されていない。
おそらく統計のプロならば、中国の統計のいい加減さを知っているので、使っていないのだろう。
それを承知の上で、あえて中国国家統計局のデータを使うと、中国経済では、先進国では当たり前の「民間消費主導」になっていないことがわかる。
筆者には、この点にも、中国の「構造問題」があるように思える。
筆者の愛読書の一つに、ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』(1962年)がある。
ちなみに、マンキュー教授もテキスト以外で推薦する一冊といえば、この本であるといっていた。
同書では、政治的自由と経済的な自由は密接な関係があって、競争的な資本主義がそれらを実現させると書かれている。
これを中国に当てはめると、一党独裁の政治体制では、資本主義の経済的な自由は達成できないことになる。
この議論が正しければ、いつまでたっても、GDPのなかで民間消費が大きな割合を占めることはないだろう。
中国経済がいびつな構造をしているのは、中国の政治体制が一党独裁のままであれば是正できない「構造問題」というわけだ。
■財務省に操られた「麻生発言」
中国では消費が少ない分、過剰な投資になるわけだが、
大きすぎる投資は経済を不安定にする。
つまり、バブル崩壊だ。
G20でも中国のバブルが問題になっていることが認められたが、中国経済の正常化は、政治体制にまでメスを入れないと達成できないというフリードマンの50年以上前の卓見はあたると、筆者は思っている。
というわけで、中国問題はかなり用心しなくてはいけない。
そして、日本経済である。
筆者は、2014年度の経済成長をマジメに分析してきた。
その結果、中国ショックがあろうがなかろうが、予定通りに2017年4月から消費再増税を行えば、2017年度の経済成長はマイナスになると試算している。
ところが、内閣府の試算では、2017年4月から消費再増税しても「経済成長は落ちない」という。
しかし、2014年4月からの消費増税で失敗したときも同じセリフを吐いていた。
その上に中国ショックが重なれば、日本経済はかなり悲惨なことになるだろう。
そうした状況にもかかわらず、政府からは、別の声が聞こえてくる。G20に出席していた麻生財務相は、外遊先のトルコで「軽減税率は面倒くさい。給付金で対応」と発言。
これは明らかに財務省から出てきたものだ。
このように海外から発信するという手法は、それまでの議論をひっくり返すときにはしばしば見られる方法だ。
早速、与党協議をしていた自民・公明両党の議員から、寝耳に水という意見が出ている。
軽減税率ではなく給付金になると、価格上の優位性を期待して軽減税率に賛成し、そのために消費増税にも賛成していた新聞業界も、メリットがなくなる。
だから、大騒ぎをしているようだ。
これまで筆者は、新聞業界が財務省からの天下りを受け、消費増税の軽減税率を主張してまで、消費増税に賛成してきたことを批判してきた(例えば、2011年1月24日付け本コラム「消費税賛成の裏側に「大新聞の非競争的体質」あり」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1961 など)。
目先だけを考えると、新聞が軽減税率の対象ではなくなると、これまでの財務省からの天下りがムダになることになる。
新聞社にとっては大きな痛手だが、自業自得だと思う。
さらに新聞社の経営問題にも発展するだろうから、これまでのマスコミの消費増税への賛成スタンスが変わるのではないか、と密かに期待している。
しかし、その一方で、なぜ財務省がこうした案を出してきたかを冷静に分析する必要もある。
■「消費増税はマスト」が一番問題
外遊先で麻生財務相が話したというだけで詳細はわからないが、次の通りと思っている。
1):2017年4月からの消費増税はマスト。
2):その際、「酒類を除く飲食料品」の消費増税分に相当する給付金を事後的に払う。
3):給付金の事後支払の際には、マイナンバーを利用して個人の課税データを参考にして推計する。
まず、経済セオリーとしては、軽減税率はそもそも豊かな者へも恩恵があり、弱者対策に特化できない。
その上、実務上は軽減税率の対象と非対象の区分けが難しいし、税務官僚に裁量の余地が大きすぎるので、弱者への負担軽減策としては、給付金のほうが望ましい。
であれば、2)と3)については、いい考え方であるといえる。問題は、1)である。
そもそも、2017年4月に消費再増税を実施すれば、経済成長は再びマイナスになりうる。
さらに、中国ショックもかなりの確度でありえることを見越せば、消費再増税を回避することを考えるべきだろう。
ということは、1)を除けばいい。
つまり、消費増税をせずに、2017年4月から給付金制度=2)と3)だけを実施すればいい。
経済政策としては、低所得層に対して、3000~5000億円の減税ということにある。
この程度の財源は、景気の落ち込みを防げば捻出できる程度だ。
なにより、2014年度の消費増税の失敗を再び犯すことはあるまい。
とりあえず2)と3)だけやるのが最低ラインであるが、さらに効果的な政策を加えるとすれば、消費税について、現行の帳簿方式からインボイス方式に変更すべきである(編集部注:業者や利用者が、いったいいくら国に消費税を納めればよいかを明確にするシステム)。
消費税を導入している国で、日本だけが帳簿方式であり、他の国ではインボイス方式になっていることを財務省はよく知っているはずだ。
しかも、現行の帳簿方式は、中小事業者にとってみなし仕入率を採用できるので、「益税」が発生して、事実上補助金になっている。
これは、その分、消費者の払った諸費税が国ではなく中小事業者の懐に入っているという意味で、増税に苦しむ消費者とその一部をもらえて儲ける事業者の間で不公平である。
他の国では、インボイス方式なので、このような不合理はない。
■やっぱり増税は時期尚早
インボイス方式に変更すれば、益税の部分は増収になるはずだ。
しかも、インボイス方式は、消費脱税がやりにくいので、この意味でも増収になる。
それを給付金の財源にすればいいだけだ。
ここまで来ると、やはり歳入庁にも言及したい。
社会保険料は、法的性格は税と同じであるので、社会保険料と税は同じ機関で徴収するのが、行革にもなるし、徴収効率が増すので、世界の常識になっている。これが「歳入庁」だ。
海外では、米国、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーが、歳入庁で税と社会保険料の徴収の一元化を行っている。
東ヨーロッパの国々でも傾向は同じで、歳入庁による徴収一元化は世界の潮流と言ってよい。
しかし、この常識は、財務省には通用しない。
国税庁の人事が財務省の裁量で自由にできなくなるからだ。
かつて、筆者が大蔵省にいたとき、1998年ごろのイギリスで、従来の社会保険料徴収機関と国税徴収機関がバラバラであったのが、まさに「歳入庁」として統合され、あっという間に作られた。
この手法があまりに見事だったので、その経緯を当時の大蔵省にレポートしたら、その事実を口外しないように言われて驚いたものだ。
社会保険料の徴収漏れは巨額で、ある試算では年間10兆円にもなるという。
もちろん、政府はこの試算を否定するが、社会保険料と国税の徴収が二本立てでいいはずない。何
もやらずに否定だけは懸命なのはおかしい。
増税前にやるべきことは多い。
それをやらずに、増税は時期尚早である。
』
『
2015年9月7日 5時30分 横山信弘(Yahoo!ニュース個人)-2時間前
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20150907-00049236/
中国経済が急減速!
今後はどういう日本企業が中国進出すべきなのか?
9月4日に閉幕したG20。ここでも中国経済が抱える構造的な問題が取り沙汰されました。
現在、世界経済が中国の動向に大きく左右されていることは疑いの余地がなく、中国に進出している日本企業にも損失が出はじめています。
「チャイナリスク」が高まる昨今、日本企業は中国進出をどう考えるべきなのでしょうか。
重要なことは、経済が減速しているとはいえ、中国は今も、これからも、比類ないポテンシャルを持つ国であるということです。
市場の絶対的な大きさ、労働人口の圧倒的な量を考えれば当然です。
他国にないリスクはあるでしょう。
しかしビジネスにおいて、尽きることのない魅力があることは事実です。
中国経済が急成長していた時代、「とりあえず中国へ」「出遅れたらマズイ」といった一過性のブームがありました。
そのブームに左右されて中国進出を果たした企業経営者も多かったのは間違いありません。
しかし、その時代は終わったのです。
もっと腰を据えてビジネスの基本に立ち返る時期に来たのだと思います。
そもそも、中国がどうの、東南アジアがどうの、アフリカがどうの、という地理的な「環境要因」を軸にしてビジネスを考えるから、覚悟が決まらないのです。
「儲かるのか/儲からないのか」という物差しでその国や地域を見ているから、「その目は節穴だ」ということになります。
ここで、ベストセラー「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者、坂本光司教授の名言を引用しましょう。
それは――
「企業経営とは、5人を幸せにすることだ」
です。
そして、その5人とは、「社員」「社員の家族」「お客様」「地域社会の人々」「株主・出資者」の5人。
中国に進出し、中国の人たちを相手に商売をするのであれば、お客様としての中国人。
中国の人たちを雇用してビジネスをするのであれば、社員、そしてその家族としての中国人。
そして、そのビジネス拠点の地域に住む人たちとしての中国人。
……こういった中国の人たちの幸せを考えることがビジネスの基本です。
これが原理原則。
この原理原則を忘れた企業であれば、中国であろうが、どの国であろうが進出すべきではないでしょう。
「日本の社員やその家族」の幸せのために中国や他国へ進出する、というのであれば、その日本企業の姿勢は根本的に間違っています。
これでは「搾取」と同じようなものです。
「中国はこう攻めればいい」
「中国でウケる商品はこれだ」
……などと小手先のテクニックやノウハウに惑わされるのではなく、もう一度原点に立ち返り、なぜその国、地域でビジネスをするのか性根を据えて自問自答してみることをお勧めします。
覚悟が決まれば、時期はどうあれ、進出すべきなのです。
横山信弘 経営コンサルタント
現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。メルマガ「草創花伝」は3万人の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「営業目標を絶対達成する」など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は「空気で人を動かす」「空気でお客様を動かす」。
』
マネーの達人 9月7日(月)5時20分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150907-00010003-manetatsun-bus_all&p=1
株式大暴落の要因は「中国不審、中国不振、中国不信」
■大きな株価変動が!
ご存知と思われますが、8月中旬から下旬にかけ、世界中の株式市場が大暴落(その後は一部暴騰)しました。
「ギリシャ問題」、「中国上海株問題」、「アメリカ利上げ」を要因とした6月・7月の大揺れマーケットもなんとか落ち着き…と思っていた矢先のより大きな波でした。
今回の暴落を引き起こした要因は「中国不審、中国不振、中国不信」そして「心の底にあるアメリカ利上げへの心配」であると考えています。
市場がすでに割高であったとも言えますが、異常なほどではなかったので、ある程度影響した? くらいでしょうか。
■中国不審
7月の上海株暴落は党支配により経済が歪められてきた影響が表面化した状態だったのでしょう。
今回は歪められたものに、8月11日に実施された「突如の元切り下げ」が追加されました。
よい方向に考えると、市場の実勢を反映させる元国際化の一歩とも言えますが、本質はそんなによいものではないでしょう。
中国の自分勝手な行動と言えます。
不審が下落のきっかけとなったと言えます。
特に「突如行ったこと」、「一度きりと言いながら、翌日も行ったこと」などのやり方は我侭以外にありません。
実際、新興国通貨などには大きな影響がありました。
国際化を求めるのであれば、また世界の中心に立ちたいのであれば、自分たちのやり方をゴリ押しすることはかえって逆効果です。
今回の行動は「中国不審」をより印象付けただけでしょう。
■中国不振
7月の自動車販売台数が前年同月比で-6.58%。21日発表の8月の財新製造業PMI速報値が47.1(前月47.8、市場予想48.2、その後47.3に改定)などの経済指標が発表され中国経済の不振が明らかになりました。
発電量や鉄道輸送量などは、直近では3月頃がもっとも悪化していたのでいまさら感はありますが、不振が明らかになったことで、中国経済不振→世界経済への悪影響→全世界の株価悪化との流れが強まりました。
以降も、国家統計局製造業PMIが49.7と製造業活動拡大、縮小の目安となる50を下回る。
非製造業PMIは53.4で7月の53.9から低下。需要動向を示す8月新規受注指数は49.7で7月の49.9から低下。8月新規輸出受注指数は47.7で7月の47.9から低下し2014年10月から11ヵ月連続で50を下回ることに。
などなど不振を示す指標は後を絶ちません。
■中国不信
中国は「公表される統計数値が信頼できない。」
従来から言われ続けていますが、8月12日の天津大爆発。およびこれに伴う徹底的な隠蔽が、中国不信を決定的にしたのではないかと考えます。
不信は不振と違い後々まで影響する大きな問題です。
不振はそのうちに脱することが可能です。
特に経済対策や金融政策の余地が大きく残されている中国は、不健全であったとしても当面の不振から立ち直ることか十分可能でしょう。
所得上昇が顕著な世代が莫大な数であることから生まれる内需の拡大も不振脱却を後押しすると考えられます。
しかし、不信は直ぐには脱却できません。
どんな良い政策を行っても、どんな良いことを言っても、どうせ…と思われるとその影響は計り知れないものとなります。
株式投資においても同様です。発表される数値が不信である限り、健全な投資資金が集まるとは考えられません。
本質的な価値は二の次である目先の株価だけを追いかけるマネーゲームが繰り広げられるだけです。
■今後の行方
中国の金融は世界と切り離されているため、リーマンショックの再来はないと考えます。
しかし、中国不振が世界経済に影響することによる大幅な株価下落懸念は残されています。
ここに不審感、不信感が加わると必要以上の下落となる可能性もあります。
株式相場に大きな変動は付きものです。
少々の変動とはうまく付き合っていくしかないのですが、大暴落時はキャッシュ比率を高めていたいものです。
この差は世界の実態経済への悪影響の広がりがあるのかないのかです。
残念ですが、中国以外の経済指標や個別企業の業績予想からも目が離せない、ビクビクしながら投資する環境になってしまったと言えるでしょう。
(執筆者:山副 耕一)
』
『
サーチナニュース 2015/09/10(木) 09:48
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0910&f=business_0910_021.shtml
中国経済の「鈍化」は想定内!?
「世界市場は過剰反応」の見方も=中国メディア
中国メディアの新浪財経は7日、世界が中国経済の先行きを不安視するなか、米投資銀行のゴールドマン・サックス・アジア・パシフィック会長のマーク・シュワルツ氏は「中国株の下落に対する世界の市場の反応は過剰」との見方を示していると伝えた。
記事は、上海総合株価指数が6月の高値からすでに約40%も下落しているとしながらも、マーク・シュワルツ氏が米CNNの取材に対し、「中国株の下落に対する世界の市場の反応は過剰だ」と指摘したことを紹介。
さらに、マーク・シュワルツ氏が「中国は正常な経済構造への転換を行おうとしている」とし、中国では政府が制御・主導する経済構造から、市場原理による経済構造に移行しつつあることを高く評価したことを伝えた。
また、中国経済の成長が鈍化することについて、専門家は早くから認識できていたはずだとし、
「むしろ中国の経済成長は鈍化しなければならない」
と主張。
中国政府は道路や鉄道、不動産といった固定資産投資による経済成長から消費が牽引する経済成長へ転換するため、改革を進めていると紹介した。
さらに記事は、マーク・シュワルツ氏が
「中国が改革を終えるまでは10年、ひいては20年かかるかもしれない」
と指摘する一方で、世界は中国の改革に対して「我慢強く見守るべき」と論じたことを紹介。
また、中国の製造業や輸出が疲弊していることを示す経済指標が相次いでいることに対し、マーク・シュワルツ氏が
「ゴールドマン・サックスとしては2015年の中国の経済成長率は6.8%と予測している」
と述べ、中国経済がハードランディングすることはないと考えていることを紹介した。
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【輝ける時のあと】
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