●中国艦隊の推定航路
中国の外交はよく分からない。
というより『シロウト外交』に見えてならない。
通常「能ある鷹は爪を隠す」式が外交の基本である。
たかだか5隻の艦船を相手領海に入れて不愉快にさせてどうするつもりだろう。
アメリカが怒れば中国の艦船などオモチャにすぎないことは十分承知しているだろうに。
それとも
中国はそのオモチャをみせびらかしたかったのか。
これでは外交にならない。
『
JB Press 2015.9.10(木) 北村 淳
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44738
アラスカ沖のアメリカ領海を中国艦隊がパレード
「アメリカをなめてるのか」と米海軍関係者は激怒
●中国・北京の天安門広場で行われた抗日戦争勝利70年を記念する軍事パレードに登場した新型対艦弾道ミサイル「DF-21D」(2015年9月3日撮影、資料写真)。(c)AFP/GREG BAKER〔AFPBB News〕
9月3日、北京で抗日戦争勝利70周年軍事パレードがこれまでにない規模で実施された。
毛沢東時代が終わって以降4度目の大軍事パレードでは、初めて「人民共和国誕生の祝賀」が姿を消して、「抗日戦勝利」を徹底的に強調したものとなっていた。
かねてより米軍の中国専門家や一部の連邦議会・政府関係者などの間では、「過去のV-J(抗日戦勝利)を過剰に強調することによって、現在のアジアの盟主は中国であることを世界に見せつけようという魂胆に違いない」との見方があった。
その懸念がまさに的中した。
そして軍事パレードと時を同じくして、中国海軍にある動きがあった。
5隻の軍艦で編成された中国海軍艦隊が、中国海軍としては初めてアリューシャン列島線を越えてベーリング海へと進出した。
ちょうど、オバマ大統領がアラスカを訪問中であった日程に合わせて、中国艦隊がアラスカ沖に出現したのである。
とりわけ米海軍関係者の注意を引きつけることになったのは言うまでもない。
■東シナ海で「サンバーン」をぶっ放し日本を威嚇
抗日戦勝利軍事パレードの開催前には、中国海軍の7隻の艦隊が対馬海峡を北上して日本海に入り、ウラジオストックを本拠地にするロシア艦隊と大規模な合同演習を実施していた。
また、軍事パレードの直前には、中国海軍東海艦隊と南海艦隊の100隻以上の大小艦艇、多数の海軍航空隊と空軍の航空機が東シナ海に繰り出して、実戦さながらの大規模軍事演習を繰り広げた。
中でも米海軍の目を引いたのは、中国海軍がロシアから手に入れたソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦「福州」(同型艦「泰州」は日本海での合同演習に参加)が「サンバーン」艦対艦ミサイルを実射テストしたことであった。
「サンバーン」(ロシア名「モスキート」)は、元々はソ連がアメリカ空母を撃沈するために生み出した超音速対艦ミサイルである。
最新バージョンのものは飛翔速度マッハ3、最大射程距離240キロメートルと言われており、極めて強力な艦対艦ミサイルである。
「サンバーン」の実射テストを東シナ海でこの時期に実施したのは、日本とその“親分”であるアメリカにこれ見よがしに見せつけて、過去の「抗日戦勝利」と現在の「対日戦必勝」をリンクさせるためだとも考えられ、米海軍“反中派”は憤慨していた。
■ベーリング海に侵入し海軍力を誇示
ところが、そのように憤慨していた米海軍将校たちの神経を逆なでするように、「抗日戦勝利パレード」当日に、それもオバマ大統領がアラスカ州を訪問していた日に、中国艦隊がベーリング海のアリューシャン列島沿岸12海里内のアメリカ領海を“堂々とパレードした”のである。
米海軍将校たちが「アメリカをなめきっているのか!」と怒り心頭に発しているのも当然であろう。
アメリカ領海を含むアラスカ沿岸海域で「予定通りの航海訓練」(中国当局発表)を実施したこれら5隻の軍艦は、日本海でのロシアとの合同訓練に参加していた7隻のうちの以下の5隻であった(残りの2隻は対馬海峡を南下し帰投した)。
・フリゲート「臨沂」(547:北海艦隊所属)
・フリゲート「衡陽」(568:南海艦隊所属)
・輸送揚陸艦「長白山」(989:南海艦隊所属)
・補給艦「太湖」(889:北海艦隊所属)
●海上自衛隊により確認された中国海軍の艦隊。
上より駆逐艦「瀋陽」、フリゲート「臨沂」、フリゲート「衡陽」、輸送揚陸艦「長白山」、補給艦「太湖」(写真:統合幕僚監部)
8月29日、それら5隻の中国艦が日本海から宗谷海峡を東航しオホーツク海に抜けたことは、海上自衛隊P-3C哨戒機ならびにミサイル艇が視認しており、翌日に統合幕僚監部が公表していた。
余談になるが、アメリカ当局は、ベーリング海を遊弋した5隻の軍艦の詳細情報を発表しなかった。
そのため、統合幕僚監部の情報に気付かなかった米メディアなどは「どの艦艇がアラスカ沖に接近したかは特定できない」などとしている。
■国際法的には領海内航行は合法
もちろん、軍艦といえども他国の領海における「無害通航権」は保証されている。
中国艦隊がアラスカ沖であろうがアメリカ西海岸沖であろうが12海里領海内を航行しても国際法的には何ら問題にはならない。
領海国に対して軍事的脅威を与えるような領海内航行でなければ、全く問題はないのである。
実際に、アメリカ軍当局は
「アメリカは国際海洋法を最大限尊重する。
したがって、中国軍艦のアラスカ沖アメリカ領海内通航は何の問題もないし、アメリカ軍が何らかの反応をすることはない」
との公式見解を述べている。
しかし、北京で軍事パレードが開催されていたのと歩調を合わせて、そしてオバマ大統領がアラスカを訪問していたのとも時を同じくして、さらには習近平国家主席が国賓としてアメリカを訪問する直前に、なぜ中国艦隊はアラスカ沖で海軍力を誇示する必要があったのか?
軍関係者やシンクタンク研究者などでは議論が続いている。
■「対米戦必勝」というメッセージなのか
そうした議論の中では、中国艦隊が接近したのが、アメリカ軍にとってはあまり語りたくない嫌な思い出のある西部アリューシャン諸島であったということから、中国特有の“歴史を引き合いにした”何らかのメッセージではないか?
という勘ぐりもなされている。
中国艦隊が周辺を遊弋したアッツ島ならびにキスカ島は、第2次世界大戦中にアメリカが唯一占領された領土であった(当時アラスカ州は準州であった)。
1942年6月3~4日、日本海軍空母機動部隊はアリューシャン列島のウラナス島ダッチハーバーに設置されていたアメリカ海軍基地を空襲し、大損害を与えた。
引き続き日本海軍は上陸部隊を送り込んで6月6日にはアッツ島を、翌7日にはキスカ島をそれぞれ占領した。
その後1年近く日本軍は守備隊を配置して占領を続けたが、日本側にとっては戦略的価値がなかった上に補給が困難であったのと、アメリカ側が占領されてしまった自国領土の奪還に大規模戦力を投入し続けたため、占領継続は困難になった。
結局、1943年5月12~29日にかけてのアメリカ軍によるアッツ島上陸作戦によって、兵力わずか2638名の日本軍守備隊は全滅(重症を負ったため捕虜となった生還者27名)してしまった。
一方、キスカ島も米軍の大兵力に取り囲まれ孤立無援の状態に陥っていたが、アッツ島玉砕の1カ月後の7月29日、キスカ島周辺が濃霧で視界ゼロに近い天候を利用して、日本海軍の守備隊救出艦隊がキスカ湾に突入した。
海軍上陸戦隊は上陸用舟艇を用いて5200名の守備隊全員の収容に成功し、救出艦隊は再び危険な濃霧の中をついてアリューシャンを離脱した。
このキスカ島撤収作戦は、今でも水陸両用作戦(撤収)の大成功事例としてアメリカ海兵隊や海軍では語り継がれている。
アメリカ海軍は、太平洋戦争当時も現在も
「敵には我が海岸線を一歩も踏ませない」
ことを鉄則としている。
それにもかかわらず海岸線を踏ませないどころか島嶼を占領されてしまったという“最悪の汚点”を残してしまったアッツ島周辺海域に、中国艦隊が、それも水陸両用戦用の新型揚陸艦「長白山」まで加わった艦隊が領海内まで接近してきたということは、「嫌な歴史を思い出さずにはいられない」のだ。
やはり、東シナ海での威嚇的演習と同様に中国艦隊のアラスカ沖出現も、過去の「抗日戦勝利」と将来の「対米戦必勝」をリンクさせるメッセージなのかもしれない。
』
『
JB Press 2015.9.10(木) 池田 信夫
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44765
中国の盛大な軍事パレードは政権の弱さの現われ
習近平の目指す危険な「国際秩序への挑戦」
北京で9月3日に行なわれた、中国の「抗日戦争勝利70周年」の軍事パレードは、中国がその巨大な軍事力を世界に誇示し、経済大国にふさわしい軍事大国を目指すという大規模なデモンストレーションだった。
ところが日本の国会では「米軍の後方支援も憲法違反だ」などというのんきな論争が行われている。
野党は中国の脅威への対応には関心がないようだが、この軍事パレードには中国の世界戦略を示す重要なサインがいくつか含まれている。
■中国の属国になることを表明した韓国
共産主義国家では、上のような写真の序列が重大な意味をもつ。
右から3人目の習近平総書記の左にロシアのプーチン大統領がいるのは分かるとして、その隣は韓国の朴槿恵大統領、そして2人おいて国連の潘基文事務総長という序列は異例である。
朴大統領はぎりぎりまで中国の招待を受けるかどうか迷い、アメリカは慎重な対応を求めていた。
そもそも韓国は「抗日戦争」で中国を侵略した日本の領土だったのだから、出席するなら謝罪する立場だ。
それが(終戦直後に参戦した)ロシアと並んで、戦勝国のように並んでいるのは奇妙な風景である。
韓国人の潘基文氏は朴氏の次の大統領を狙っているといわれるが、中立の立場で世界の軍縮を進める機関である国連の最高責任者が、世界に軍事的脅威を誇示するパレードに出席するのは非常識だ。
これは朴氏とともに「韓国はアメリカではなく中国に従属する」という事大主義の表明だろう。
事大主義というのは中国に従属する(大に事える)という外交方針で、朝鮮では14世紀以降の李朝で、一貫して事大主義がとられてきた。
このように周辺国家を従属させて平和を保つ冊封体制が中国の伝統的な秩序だった。
李氏朝鮮では500年も続いた事大主義で官僚機構が硬直化し、経済が疲弊して餓死が大量に出ていた。
これを改革しようとした「開化派」を、清朝の意を受けた「事大派」が弾圧したのに対し、日本が開化派を支援した結果、日清戦争が起こった。
これに日本が勝って朝鮮半島から清は排除され、日露戦争で日本の朝鮮支配が確立した。
1910年の日韓併合で清への事大主義は一掃され、「抗日戦争」では朝鮮から24万人の志願兵が日本兵として戦った。
その中で将校まで出世したのが朴大統領の父、朴正煕だった。
そして今、彼の娘が李朝の事大主義に回帰するのは、歴史的にみると自然なことだ。
いつも大国にはさまれて右往左往してきた朝鮮半島が、強い国に従うのは彼らの伝統だからである。
■中国共産党に政権を取らせたのは日本軍だった
こんな「記念式典」が行われるのは、今年が初めてだ。
そもそも9月3日が「抗日戦争勝利70周年」だという根拠は何もない。
強いていえば日本が米戦艦ミズーリ号で降伏文書に署名したのが1945年9月2日だが、ポツダム宣言に署名したのは中華民国の蒋介石であり、そのころ毛沢東は延安を拠点とする反政府ゲリラの指導者にすぎない。
共産主義を信じる国民がほとんどいない中、共産党政権の一党独裁を正統化する根拠は「抗日戦争に勝利し、中華人民共和国を成立させた」ことしかないのだ。
これは嘘だが、国民党が抗日戦争に勝利したわけでもない。
共産党との内戦で消耗していた蒋介石が頼ったのはアメリカの軍事力で、(在米経験の長かった妻)宋美齢を通じてアメリカのルーズベルト大統領に対日開戦を要請した。
ルーズベルトはその進言どおり日米戦争を行い、蒋介石は浙江省の空軍基地をアメリカに提供し、ここからB29が発進して日本を空襲した。
そして日本の敗戦によって、中国は労せずして戦勝国となった。
日本軍は共産党を軽視して「打通作戦」で国民党を徹底的に攻撃したので、国民党は弱体化し、戦力を温存していた共産党は国民党を中国本土から駆逐し、蒋介石は台湾に落ち延びた。
だから「抗日戦争」の勝利は蒋介石の外交戦略によるもので、共産党はそれに便乗して政権を取っただけだ。
毛沢東は、のちに日本社会党の訪中団が侵略を謝罪したとき、
「何も謝ることはない。我々は日本軍のおかげで政権が取れたのだから」
と公式に表明した。
■習近平の「腐敗撲滅キャンペーン」は権力闘争
今回の軍事パレードについて、一部の人々が「日本に対する核戦争の準備だ」などというのは被害妄想だ。
中国がめざましい経済発展を遂げた最大の原因は、鄧小平以来の改革・開放で市場経済化を進め、WTO(世界貿易機関)に加盟して飛躍的に輸出を拡大したことにある。
その最大の相手国の1つである日本と戦争しても、得るものは何もない。
しかし明らかになったのは、習近平が毛沢東と並ぶ政治的・軍事的な権威をもつ独裁者として君臨しようとしていることだ。
彼の路線は、政治的には中央集権化を進めて反対派を追放し、経済的には対外開放を維持する政左経右といわれるが、かなりリスクを伴う。
反対派を駆逐する手段は「腐敗の摘発」だが、中国に腐敗していない官僚は1人もいないといわれる。
賄賂を渡すことは中国でビジネスを行うとき不可欠の慣習で、共産党の幹部になると数千億円の資産を海外にもつのは珍しいことではない。
当局が狙ったら、摘発することは難しくない。
しかし摘発された幹部や元幹部は、ほとんどが江沢民元総書記の人脈に属す人々であり、これは不正摘発という形をとった権力闘争である。
習近平の側近の「太子党」(元幹部の子弟)に権力が集中することに、人民解放軍などの不満も強いので、反対派がこれに反撃することも考えられる。
盛大なパレードとは裏腹に、習近平の政治基盤は脆弱であり、特に経済改革がほとんど進んでいない。
停滞をもたらしている国有企業や国有銀行の抵抗が強いからだ。
今年の経済成長率は、公式には7%と予想されているが、株式バブルの崩壊にみられるように、実態はゼロに近いという見方もある。
今まで共産党政権を支えてきた唯一の取り柄だった経済成長がゼロやマイナスに転じると、民衆の不満が天安門事件のような形で表面化するおそれもある。
そのとき国内的な混乱を収拾するために対外的な敵をつくるのは、韓国もやってきた常套手段である。
特に今回のパレードが「抗日戦争」を祝賀するという理由で開催されたことには警戒が必要だ。
安倍首相は戦後70年記念談話で、「日本の最大の失敗は国際秩序への挑戦者になってしまったことだ」という巧みな表現で過去を反省したが、これは中国への牽制でもある。
政治の緊急課題は無意味な憲法論争ではなく、こうした中国の直接・間接の脅威にアメリカと連携してどう対抗するのか、日本の戦略を立て直すことである。
』
『
ロイター 2015年 09月 10日 16:21 JST
http://jp.reuters.com/article/2015/09/10/column-china-us-military-idJPKCN0RA0OE20150910?sp=true
焦点:軍事力誇示する中国、
「裏庭」覇権めぐり対米けん制
[北京 10日 ロイター] -
習近平国家主席が率いる中国は、同国の「裏庭」における、
いかなる米軍の軍事行動も躊躇(ちゅうちょ)させるテクノロジーを自国軍が有していると考えている
ようだ。
近未来の設定で、中国が空母を破壊するため弾道ミサイルを放ち、戦闘機の離着陸場を攻撃するなどして応戦の構えを見せている。
中国インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が先月に配信したアニメーションに登場する敵は特定されていないものの、艦船は米ニミッツ級空母によく似ており、破壊された戦闘機はロッキード・マーチン製のF22戦闘機であることは明らかだ。
あくまで想像の世界かもしれないが、これまでに6000万回以上視聴されている同アニメーションは、中国国民と軍部の間にナショナリズムと自信が高まっていることを反映している。
中国人民解放軍の元少将で軍事評論家の羅援氏は6月、
「米国は、中国との対決で勝てると確信できるのだろうか。
中国は日々、現代の戦争に勝つために準備を怠らない」
と指摘していた。
専門家はそのような米中対決の可能性がある場として3つ挙げている。
★.1つは、中国が近隣諸国と領有権を争う南シナ海、
★.2つ目は米国の同盟国である日本と領有権を争う尖閣諸島(中国名・釣魚島)のある東シナ海。
そして
★.3つ目は台湾の独立をめぐる中台問題
だ。
米国は今なお世界で最大の軍事大国であり、最先端の軍備を投入して国際水域とされる中国沖での監視を続けている。
一方、中国は先週の抗日戦争勝利70年記念軍事パレードで、自国が誇る最先端兵器の一部を見せつけた。
ある米高官は、近年見られる中国の軍備増強を懸念してはいるものの、先の軍事パレードについては「ワシントンの誰もを過度に心配させるものではなかった」と語った。
習主席は今月末に訪米する。
■<軍事パレードで誇示>
軍事パレードでお披露目された兵器には、中国が独自に開発した対艦短距離弾道ミサイルDF‐21Dや数種類の大陸間弾道ミサイルのほか、グアムにある米軍基地を拠点とする艦艇の脅威となり、「グアムキラー」として知られる対艦中距離弾道ミサイルDF‐26も含まれていた。
また、南シナ海で中国が進める飛行場や港の建設は、東南アジア海域まで及ぶ地域に中国が力を誇示する一助となるだろう。
元中国海軍の少将である張召忠氏は今年、国営メディアで、台湾周辺における米国との対戦能力に関して「われわれは基本的に、第一列島線をすでに突破している」と主張。
今後は「第二、第三列島線を突破する必要がある」とし、東アジアの他の地域のみならず、ハワイにまで及ぶ地域で米海軍に対抗できる可能性を示唆している。
ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)の防衛問題専門家、リチャード・ビツィンガー氏は、軍事パレードで展示された兵器などに技術的な新しさは見られなかったとしたうえで、
中国軍が自信過剰になっている可能性について懸念を示した。
■<太平洋のパワーゲーム>
アジア重視戦略を掲げる米オバマ政権は、西太平洋で今後も支配的な海軍力を維持する構えを見せている。
米海軍の約58%は、日本やグアム、シンガポールを含む太平洋艦隊に配備されており、米原子力空母「ロナルド・レーガン」は現在、米海軍横須賀基地に向かっている。
米国防総省による最近の報告書は、中国軍の防衛力には大きなギャップがあると指摘。
★.その1つとして、対潜水艦作戦能力の欠如
を挙げている。
北京のある西側当局者は、軍事パレードで展示されたミサイルについての内部評価に言及し、
★.「このようなミサイルを保有していることと、
戦闘でそれらを効果的に使用できることとは全く違う話だ」
と語った。
お披露目された最新モデルが果たして実際に配備されているかどうかも定かではないとの見方を示した。
とはいえ、中国の軍事的発展はすでに台湾にとっては大きな頭痛の種となっている。
ロイターが確認した未公表の台湾国防部による報告書は、中国の改良されたH6爆撃機が対艦ミサイルを装備すれば、インド洋まで影響を及ぼすことが可能となると警告している。
冒頭に挙げたテンセントのアニメーションでも、同様の航空機がミサイルで空母を破壊する様子が描かれている。
「中国は最近、『われわれはここにいる。君たちはそれに慣れた方がいい』というメッセージを送っている」と、北京に住むアジアの上級外交官は指摘。
「その狙いは、米国をできるだけ遠くに追いやることだ。
なぜならアジアに2人もビッグブラザーは必要ないからだ」
と語った。
(Ben Blanchard記者、翻訳:伊藤典子、編集:下郡美紀)
』
『
レコードチャイナ 2015年9月10日(木) 17時16分
http://www.recordchina.co.jp/a118505.html
米国は頼りにならず?
日印豪が対中けん制で連携強化―中国メディア
2015年9月7日、中国メディア・米爾網に
「『米国は中国に対するチェック・アンド・バランスを実現できないのではないか』と懸念する日印豪、対中けん制で連携を強化」
と題する記事が掲載された。
6月にはインドと日本、豪州の3カ国で新たに外務次官対話が開催されたほか、7月に安倍首相とアボット豪首相がインド洋・太平洋地域の安全保障を強化する共同声明を発表。
アジアで新たな地政学的枠組みが急速に構築されつつある。
また、10月に米国とインドが行う合同海上軍事演習「マラバール」に海上自衛隊が再び参加することも明らかになっている。
安倍政権は新たな安保法制の整備を進めており、防衛省の2016年度予算の概算要求総額は過去最大の額となった。
日本とインド、豪州、米国の4カ国が関係を強化するきっかけとなった「日米豪印戦略対話」は、米国の積極的な支持を受けた安倍首相が07年の第1次内閣時期に行ったアジア遊説で設立を提唱。
その結果、同年9月にはベンガル湾周辺海域で日米豪印にシンガポールを加えた5カ国合同軍事演習が行われている。
米国が国内の疲弊した状況や中東情勢への対応に苦慮していることから、
インドや日本、豪州などのアジア地域の大国は外交的、経済的な影響力が増大し、国内で民族主義の高まる中国を見据えた積極的な対応を取ろうとしている。
』
『
サーチナニュース 2015-09-12 08:35
http://news.searchina.net/id/1588516?page=1
中国海軍が米空母艦隊に「照準」=中国メディア
中国の大手ポータルサイト・新浪網は9日、
「中国の『Su-30』戦闘機は『YJ-20』を2発搭載してイージスシステムを破って空母に打撃」
と題する記事を発表。
「Su-30」は、ロシアのスホーイ社が「Su-27」の派生型として開発した複座式の多目的戦闘機。
初飛行は1989年。ロシア空軍以外にインド空軍、中国空軍・海軍、マレーシア空軍なども採用している。
中国への引き渡しは2000年12月に開始。
「YJ-12(鷹撃-12)」は中国が開発した空対艦ミサイル。
2013年に、インターネットで写真が出回った。
3日に開催された抗日戦勝利70周年祝賀の軍事パレードで初めて公開された。
性能については推測だが、ラムジェット推進で速度はマッハ2以上、射程は100キロメートルとされる。
射程が400キロメートル以上との見方もある。
新浪網は、写真からYJ-12の大きさを、長さ6.5-7メートル、直径50センチメートル、発射重量を1500-1800キログラムと推定した。
新浪網は、YJ-12は比較的小型であるため、海軍が保有する「J-16(殲-16)」、「Su-30MKK」、「Su-30MK2」ならば、2発が搭載可能と指摘。
さらに「H-6K(轟-6K)」爆撃機ならば4発が搭載可能など、中国海軍保有機にYJ-20が搭載可能な機種が多いと主張した。
また、YJ-12は中国海軍の現役の空対艦ミサイルに比べれば、速度が大きいなどで、相手の防衛網に対する「突破能力」が高いと指摘。
記事は、中国海軍の攻撃目標は大型艦隊で、
「10万トン以上の空母を中心に、その他の艦も基本的には8000トン級」
として、早期警戒機、先進的な戦闘機、イージスシステムなど「強大な防御能力を持つ」と紹介。
中国現有の「YJ-83K」空対艦ミサイルでは攻撃が難しく、中国は新型の対艦ミサイルを装備することにより、大型艦隊を圧倒する能力を向上させていくと主張した。
アンチ・レーダーミサイル、弾道ミサイルなども合わせ、「多種・多方向・多数回波状」攻撃により、水上艦の攻撃能力を高めるという。
』
『
読売新聞 2015年09月11日 10時27分 日本大学教授・元読売新聞編集委員 勝股秀通
http://www.yomiuri.co.jp/matome/archive/20150910-OYT8T50151.html
中国が軍事パレードで見せた「透明威嚇」
9月3日に行われた中国の「抗日戦争勝利70年」の記念式典と軍事パレードでは、弾道ミサイルなどの最新兵器が初公開された。
中国がいま戦力を見せ付けた狙いはどこにあるのか。
米国や日本への影響は――。
防衛問題や安全保障に詳しい日本大学の勝股秀通教授に分析してもらった。
■ミサイルの識別番号も書き入れるサービスぶり
「透明威嚇」という言葉を思い出した。
1996年12月、中国の国防相として初めて、遅浩田氏が訪米した際、米海軍は空母打撃グループによる演習を披露し、陸軍もミサイルの実射訓練などを展示した。
その圧倒的なパワーを目の当たりにした国防相が発した言葉だ。
「透明威嚇」とは、何も隠さずに見せることで、相手を威圧し、屈服させるといった意味であり、「戦わずして勝つ」という孫子の兵法に通じる言葉でもある。
9月3日、北京の天安門広場で行われた「抗日戦争勝利70年」を記念する軍事パレードで、習近平国家主席は、かつての米国が中国に行ったように、日本やASEAN(東南アジア諸国連合)など周辺諸国に対し、「透明威嚇」を実践したのかも知れない。
次々に登場した兵器は、戦車からミサイルまで40種類に上り、航空機も約200機が参加した。
いずれも国産兵器とされ、そのうちの8割余りが初公開という。
しかも、テレビ映りを意識して、ミサイルにはわざわざ「DF-26」や「DF-21D」などの識別番号まで書き入れられるサービスぶりだ。
軍の威容を誇示することで、日本はもとより、アジア太平洋地域への関与を強める米国をけん制する意図があったことは明らかだ。
注目される兵器を挙げると、まずミサイルでは、「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風(DF)21D」(射程1500キロ)と、グアムの米軍基地まで届くという「東風26」(同4000キロ)の2種だ。
東風21Dは、かつて米海軍の機関誌「PROCEEDINGS」(2009年5月号)の表紙に中国の対艦弾道ミサイル攻撃で爆発炎上する米空母が掲載されて話題となったが、順調に開発が進んでいることをアピールするのが狙いだろう。
今後、試射などが繰り返されればかなりの脅威だが、不思議なことに、いまだに米国は防御手段を開発するなどの手立てを講じていない。
■イージス艦が役に立たない?…日本の脅威「東風26」
日本にとっての脅威は、むしろ東風26だ。
4000キロという射程が強調されているが、弾道ミサイルは、燃料を調節して飛距離を変えることはできないものの、ロフテッド軌道と呼ばれる高高度(最高到達高度約400キロ)を飛翔させれば、近い目標を狙うことも可能となる。
その場合、弾頭が落下するスピードが速すぎて、イージス艦が発射する迎撃ミサイルは役に立たない。
ミサイルが有事(戦争)となった際に大きな脅威となるのに対し、平素から油断できないのが航空機だ。
初公開された新型早期警戒機「空警(KJ)500」は、旧型の空警200に比べ、探知できるレーダーの覆域範囲が格段と広がり、上海など沿岸部の航空基地への配備が進めば、中国が2013年11月に設定した東シナ海の防空識別圏を監視する能力は、飛躍的に高まる。
尖閣諸島やガス田周辺など東シナ海を飛行する海上自衛隊のP3C哨戒機などに対し、識別圏内を飛行する空警500からの指示で、中国空軍機が緊急発進(スクランブル)する回数は増え、異常接近など挑発行動を繰り返すことが想定される。
■中国がパレード翌日に犯した「大失態」
過去最大規模とされる今回の軍事パレードで気になったのは、米国本土を射程に入れ、3個の核弾頭が搭載可能な大陸間弾道弾(ICBM)の「東風5B」(射程1万5000キロ)など米国に対抗する能力を誇示したにもかかわらず、予想した範囲内などと冷静にコメントを公表する米国の姿勢だった。
訪米を間近に控えた習国家主席にすれば、米国との間で余計な波風は立てたくなかったはずで、パレードに登場させる兵器などについては、事前に米国に連絡していたのでは、と勘繰りたくなる。
それは今年4月、日米が「新たな日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)を策定した際、米政府は事前に中国政府に対し、指針の内容を説明していたからだ。
また、聞くところによると、米中の海軍のトップ同士は、スカイプで連絡を取り合う関係とも伝えられている。注意が必要だろう。
準備は万全で臨んだはずの習近平政権だが、誤りを犯したとすれば、それは北京ではなく、遠く離れた米アラスカ州沖のベーリング海だ。軍事パレードには冷静に対応した米国防総省だったが、パレード翌日の4日、中国海軍の軍艦5隻がアリューシャン列島を通過し、その際、沿岸から12カイリの米領海内を航行した事実を公表した。
海上自衛隊の護衛艦に射撃管制レーダーを照射したように、中国海軍の米国に対する挑発であれば、大失態だ
』