2015年9月23日水曜日

チャイナショック(7):バブル崩壊を鎮火できない中国、延焼する韓国、「反腐敗キャンペーン」が、消費を萎縮させてしまった

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WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2015年09月23日(Wed)  水谷幸資 (経済ジャーナリスト)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5313

バブル崩壊:鎮火できない中国、延焼する韓国

 中国株バブルが崩壊した。
 株安が共産党の支配体制を揺さぶりかねないと、当局は株式相場の下支えに必死だが、市場の流れには抗しきれない。
 今や中国経済の失速がグローバルに及ぼす衝撃波に身構える段階に来ている。


●膨れ上がった債務の主体は 国有企業や政府系金融機関だ (出所)マッキンゼー・グローバル・インスティチュート 「Debt and (not much) deleveraging 」(2015年2月)

 「これは上海市場の天安門事件なのだろうか」。
 市場関係者がヒソヒソ声でささやき合っている。
 証券監督管理委員会(証監会)など当局が連日、「悪意ある空売り」を取り締まっているからだ。
 対象となった米ヘッジファンドのシタデルは、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ前議長が顧問を務める、米国の有力ヘッジファンドだ。

 「悪意」があるかどうかを認定するのは、中国当局にほかならない。
 当初は効果を挙げ、株式市場が小康を取り戻したかに見えたが、7月27日の月曜日、上海市場は前営業日比8.48%の下落幅を記録。
 「上海版ブラックマンデー」というべき売りの奔流に押し流された。
 中国人民銀行は8月11日に人民元切り下げを抜き打ちで始めたが、8月24日に再び8.49%下落。
 翌25日も7.63%下げた。
 24日は月曜日で、世界主要市場の株安に波及したことから、「中国版ブラックマンデー」に格上げ形容されている。
 6月12日に5100ポイント台を記録していた上海総合指数は3000ポイント付近をうろついている。
 2カ月半で4割下落した格好だ。

 中国株の売り圧力がなぜ衰えないのか。
 理由はハッキリしている。
 割高だからだ。
 香港と中国本土に二重上場している企業の株価を見ても、中国本土はピークで5割、足元でも3割程度割高となっている。
 ではなぜ割高なのかというと、
 当の共産党自身が今年春先にかけて、株高を煽っていたからだ。
 6月12日の高値5100台は、1年前に比べれば約2.5倍の水準である。

 今回の中国株バブルが深刻なのは、習近平政権が進めようとしていた「新常態(ニューノーマル)」政策が、根っこから揺らいでいることにある。
 投資と外需を原動力にした10%の二桁成長は、環境破壊や格差拡大という副作用を考えると、もう継続できない。
 消費と内需主導の7%程度の安定成長に、中国経済を軟着陸させる必要がある。
 その政策指針は決して間違ってはいない。

 問題は習政権が
 「新常態」に向けて舵を切ったとたん、中国経済が予想以上のピッチで失速
してしまったことだろう。
 背景には、習政権が鳴り物入りで進めた
 「反腐敗キャンペーン」が、消費を萎縮させてしまった
ことがある。

 例えばマカオのカジノの営業収入は、今年上期には前年同期比で4割近く落ち込んだ。
 自動車販売も、日本車に比べて売れていたフォルクスワーゲンや現代自動車の現地販売が急減。
 余りの惨状から、現代自は7月から月次の現地販売実績の公表を取りやめたほどだ。
 事態はどんどん悪化しているというのが、現地の実感といってよい。

 そもそも、春先に当局が株高を煽ったのも、景気失速を懸念していたからにほかならない。
 株高による資産効果で消費を刺激して、経済を軟着陸させようとしたのだ。
 ところが、肝心の株バブルが崩壊したことにより、保有株の値下がり損で自己破産する投資家が相次いでいる。
 皮肉にも株安による逆資産効果が、消費にブレーキをかけつつあるのだ。

 日米欧の中央銀行が行ったように、中国人民銀行(中央銀行)も政策金利を下げてマネーサプライ(通貨供給量)を増加させようとしている。
 一時はブレーキをかけた公共事業の執行も、急いでいる。
 ところが、現実には空回りしている。
 背景には、すでに借金の山が積み上がっていることがある。

 2008年のリーマン・ショックを中国は見事に乗り切ったとされた。
 4兆元にのぼる景気対策によって、大々的なインフラ投資や設備増強を行って、10年には国内総生産(GDP)で日本を抜き、世界第二位の経済大国の座を手にしたのだ。
 しかしその引き換えに、中国全体の債務がそれまでの約4倍に膨れ上がってしまったのだ。

 米コンサルティング会社のマッキンゼーによれば、債務の主体は企業や金融機関である。
 中国の場合、純粋な民間部門ではなく、国有企業や政府系金融機関が大きなウエートを占めている。
 4兆元(約70兆円)対策の投資先は採算の覚束ないインフラ事業や過剰設備である。
 公共事業のメインプレーヤーである国有企業、金融機関はこの期に及んで、さらに債務を積み上げてまで利益の上がらない投資を行うことには、二の足を踏むだろう。


●輸入の回復が輸出に比べて鈍い中国 (出所)GLOBAL TRADE ATLAS資料でJETROが作成した資料をもとにウェッジ作成

 既視感を覚えないだろうか。
 そう、90年にバブルが崩壊した後の日本である。
 成長モデルを見いだせないまま、採算度外視で公共投資による一時しのぎの経済対策を続けた結果、今日のような借金の山を積み上げてしまった。

 中国の場合も、「国進民退」と呼ばれる国有企業優位の構造にメスを入れて、民間主導の経済に舵を切らなければいけないのに、実際には株価対策でみられるような当局による強権的な介入がまかり通っている。
 後から振り返れば、
★.今年6月に始まった中国株バブルの崩壊は、そうした中国経済変調の屈折点
として記憶されるに違いない。

 もっとも、中国を見る世界の眼差しは、そうした根っこにある問題からはほど遠い。
 中国がこのタイミングでこけたら、世界経済も巻き添えを食ってしまう。
 そんな懸念から、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事ら、国際金融界の大立者(おおだてもの)は、当局による市場介入に対し大目に見ている。
 まずは火事を止めてほしい、というわけだ。

 中国が今すぐ頼れるのは外需だ。
 実際、輸出は対前年比プラスに回復しつつある。
 が、注目すべきは輸入だ。
 昨年11月から対前年比マイナスが続いており、
 いかに中国の内需と産業活動が不活発かを示している。

 隣家延焼の恐れに、お隣の韓国はすでにパニック状態となっている。
★.韓国のGDPの輸出依存度は5割を超え、
 しかも輸出の25%強は中国向けで、その比率は米国の2倍。
 日本や米国がブレーキを踏むのを尻目に、ここ数年は企業の対中直接投資を目いっぱい増やしてきた。
 その中国シフトが今や完全に裏目に出たのだ。
 韓国政府が9月1日に発表した8月の貿易統計によると、輸出は前年同月比14.7%減で、09年以来で最大の下げ幅となった。

 もし中国株バブルの崩壊が不動産やシャドーバンキング(銀行を経由しない金融機能)に及べば、韓国経済はもたない。
 韓国のメディアは連日、そんな金切り声を上げる。
 日本としてはすでに変調を来している韓国経済が失速した場合の、とばっちりには十分備えておく必要があるだろう。

 韓国ほどではないが、影響が大きそうなのは、自動車を中心に中国シフトのアクセルを踏んでいたドイツである。
 日本がバッシングを被っているのを尻目に、ドイツ企業はメルケル首相のトップセールスもあり、中国市場で着実に地歩を固めてきた。
 ドイツが巧みなのはブランド力を売り物に、伸び盛りで付加価値の高い分野でシェアを高めてきたことだ。

 トヨタ自動車を抜いて今年上期に全世界の販売台数が世界トップになった、フォルクスワーゲンはその典型である。
 同社の販売高の実に4割は中国市場。
 皮肉にも、その路線は今まさに逆風に見舞われようとしている。

 日本企業は尖閣摩擦以降、中国市場で韓国やドイツ企業のようにふるまうことができなかった。
 それが、結果として傷口の拡大を防いだと言える。
 とはいえ中国が世界同時不況を誘発してしまうような事態は、日本にとっても大きな打撃となる。
 しばらくは、中国株と中国経済から、目が離せない。



レコードチャイナ 2015-09-23 10:27
http://news.searchina.net/id/1589537?page=1

中国経済の困難は、「人びとの想像を絶する」と銀行関係者見解

 中国メディアの財新網は14日、中国農業銀行のチーフエコノミストである向松祚氏がこのほど
 「中国経済が直面している困難は人びとの想像よりも大きい」
と主張したことを紹介した。

 記事は、向松祚氏の見解として、国内総生産(GDP)を構成する
 「投資」、
 「消費」、
 「輸出」
の観点から中国経済を分析した場合、「2015年1-8月のデータを見る限りでは情勢は厳しい」と指摘した。

 続けて、
★.中国経済を長期にわたってけん引してきた「投資」について、ピーク時にはインフラ建設、不動産建設、製造業の設備投資が投資全体の「約9割」を占めた
としながらも、現在は設備投資および不動産建設が大きく減少していることを紹介した。
 特に製造業では生産能力の過剰が深刻だとし、設備投資を行う余裕がないとしたほか、インフラ建設も含め、
 「投資はもはや中国の急成長をけん引することは不可能となった」
と伝えた。

 さらに輸出においても、中国の2015年8月の輸出額が前年同月比6.1%減となり、1-8月も前年比1.6%減となったことを指摘し、
 中国の莫大な輸出入が短期間で急回復することは見込めない
と指摘。
 また、付加価値の高い製品は日本やドイツと、付加価値の低い製品は人件費の安い国との競争にさらされているとし、
 製造業が多く集積する広州、香港、マカオを結ぶ珠江デルタ地域では多くの企業が人員を整理している
と伝えた。

 続けて、消費について、向松祚氏が「1-7月の消費の伸びは10%を下回った」と指摘したことを伝え、中国では一般消費者の長期的な期待所得は「不安定」と紹介。
 消費は将来に手にすることができるであろう所得に大きく左右されるとし、
 「株価や不動産価格が不安定で、社会保障も整っていない中国社会においては、消費の急成長も望めない」
と論じた。

 さらに記事は、向松祚氏が「中国経済と金融危機はコインの裏表のようなもの」と述べ、
★.中国経済は「刃に3本のロープがかかっている状況」と形容し、
 3本のロープとは
 「民間の債務、
 地方政府の債務、
 不動産や製造業の不良債権」
であると紹介。
 そして、
 これらのロープが切れてしまう時、中国経済の危機が顕在化する
との見方を示した。



サーチナニュース 2015/09/23(水) 06:32
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0923&f=business_0923_002.shtml

投資家の信用を失った中国政府 
「救済策の効果は一時的」の声も

 中国メディアの科技新報はこのほど、6月から急落を始めた中国株式市場に対し、中国政府はなりふり構わぬ救済策を打ち出したとする一方、英メディアのコラムニストの見解として「中国政府の救済策はコストが高くつくだけでなく、その効果も一時的」と指摘したうえで、
  「中国株式市場が歩む道はかつての日本と驚くほど似ている」
と論じた。

 記事は、中国政府が株式市場に対してさまざまな救済策を打ち出したとしながらも、それでも株価の急落を止められなかったと伝え、
★.投資家たちはすでに中国政府の救済能力を疑問視している
と指摘。

 また、英紙のコラムニストがこのほど
 「中国は過去20年にわたって中央政府が統制する金融システムのもとで
 特定の産業に資金を注入して高度経済成長を実現してきた」
とし、こうした歩みは日本の戦後と良く似ていると指摘したことを紹介した。

 さらに、日本は1970年代以降に経済が成熟すると、企業は銀行から資金を調達する必要が薄れてきたうえ、国民も豊かになり、多くの人びとが財テクに走ったと指摘。
 また、日本政府が徐々に金融市場における改革を進め、規制緩和を行ったとしながも、緩和の速度が遅かったために資産バブルが発生し、株式と土地の価格が高騰したと指摘した。

 続けて、1989年12月には日経平均株価が3万8915円で天井をつけ、その後2年で60%も下落し、日本政府はそれから「ようやく資産価格の下支えに動いた」と紹介。
 一方で、バブル崩壊に伴い、資産価格は暴落し、政府は国民の信頼を失い、人為的に吊り上げられた市場価格という存在についても疑問を持つようになったと指摘し、
 「こうした状況は現在の中国と驚くほど似ている」
と論じた。

 また記事は、証券会社が行ったアンケート結果を引用し、
★.中国の2015年の国内総生産(GDP)成長率が7%に達すると信じている投資家はわずか「6%」
だったと指摘。
 一方で、
★.「23%」以上の投資家が中国の実際の「成長率は4%以下」に落ち込んでいるはずだと回答した
ことを紹介し、
 投資家もすでに中国政府を信じていない
と伝えた。



サーチナニュース 2015/09/28(月) 06:36
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0928&f=business_0928_003.shtml

中国株安、100日間で「日本のGDP」が吹っ飛んだ!=中国メディア

 中国株式市場で上海総合指数の上海総合指数日足チャート が6月12日に5178.19ポイントをつけ、その後急落に転じたことについて、中国メディアの新京報は22日、
 「9月21日までの100日間で、中国株式市場は時価総額ベースで28兆元(約527兆5500億円)が吹き飛んだ計算」
と伝えた。

 記事は、6月12日の上海および深セン証券取引所の株式時価総額は約71兆元(約1337兆7300億円)だったものの、その後の急落によって21日時点の時価総額は約42兆元(約791兆3300億円)まで減少したと紹介した。

 さらに、6月12日から9月21日までの100日間で
 時価総額ベースで約29兆元(約546兆円)が吹き飛んだ
計算と指摘したうえで、
 「29兆元という数字はタイの14年の名目GDPの約12倍にあたり、
 日本の14年の実質GDPに匹敵する金額」
と伝えた。

 また、中国国家統計局が発表した
★.14年の中国GDPの約44%が失われた計算
であるとし、これだけの時価総額が消失したことで
★.「機関投資家や個人投資家はどれだけ損をしたのか」、
★.「実体経済に対する影響はいかほどか」
などと懸念を示した。

 続けて、中国株式市場では株価急落以降、売買代金が細ってきているとし、
★.6月15日は1兆650億元(約20兆円)だった売買代金が9月18日には2184億元(約4兆1149億円)まで減少した
と指摘。
 さらに、
★.9月11日時点の中国での個人投資家の数は約9446万1100人だったとし、1日あたりの損失額は29万6000元(557万7000円)
に達する計算と伝えた。

 また記事は、株価の下落によって、所有している株式の時価総額が500万元(9420万円)以上に達する個人投資家の数も激減したと伝え、
 「中国の株価急落は実体経済にも大きな影響を及ぼすとの声が存在する」
と紹介。
 さらに、アナリストの見解として、時価総額の減少は実体経済に直接的な影響は及ぼさないとしつつも、今後の新規上場や新株発行、企業の買収合併には大きな影響が出るだろうと論じた。



東洋経済オンライン 2015年09月28日
http://toyokeizai.net/articles/-/86094

中国、「経済崩壊にもっとも近い国」の行方
生産能力の過剰が経済を脅かす時限爆弾に

 過去20年の間、中国はかろうじて深刻な財政危機は免れてきた。
 だがその良き時代も終わりを迎える日は近いのかもしれない。
 しかも、それは最近起きた株式市場の暴落が原因ではない。

 今年の夏、中国の株価が暴落したことにより中国が深刻な経済危機に瀕しているのではないかとあちこちで物議を醸している。
★.ザ・テレグラフ紙は中国のバブル崩壊を1929年に世界大恐慌が引き起こされた時の状況と比較している。
★.一方でニューヨーク・タイムズとフォーチュンはバブル崩壊はただの誤認警報だったとし、中国に対する懸念は払しょくされたと主張している。

■直近の株価下落は、儲かったカネを失っただけ

 短期間で見れば後者の意見のほうが確かに説得力がある。
 中国の金融危機は国内世帯数の15%以下にしか影響を与えていないのだから。
 しかも、これら
★.中流階級の投資家の大多数は数カ月前株価が急上昇したときに儲けたお金を失っただけ
なのである。
 この前のあの暴落の後でさえも、上海総合指数は2014年7月と比較しても1000ポイントも高い数値を示している。

 いずれにせよ、
★.中国の株式価値は国内の金融組織が保有する総資産のうちの1.5%
でしかなく、
★.中国企業のほとんどは株式を財源としていない。
★.消費者信頼感指数は中国の都市部や農村部での消費の成長トレンドは安定的である
と示している。
 そして、中国当局はいまだに経済成長を動かす権限と柔軟性を保持している。
 例えば金融緩和をすることで貸付限度額の流動性を高めたり、財政措置を広げることにより家計消費を刺激したり、だ。

 しかし中国の経済がすぐに破綻しないにしても、中国が経済の崩壊を招く次の主要国である可能性が高いという事実に直面していることには変わりはない。

 主な要因の一つには産業の生産能力過剰がある。
 生産能力の過剰は中国に始まったことではないが、鉄鋼、ガラス、セメント、アルミニウム、太陽光パネル、発電装置の部門に関しては過剰率が30%を上回っている。
 30%とは借金をして減益となった企業による債務不履行を招きかねない生産能力過剰の閾値だ。
 中国鉄鋼工業協会によると、供給過剰により鉄鋼価格があまりにも下落したので、鉄鋼を1トン生産したとしてもその利益ではアイスクリーム・コーン1つさえ買うことができないという。

 地方政府同士の卑劣な争いのために過剰な生産が行われてきた。
 高いGDP目標を達成するため、地方政府はタックスホリデーや国有地の賃料免除などありとあらゆる助成金を提供することで新しい製造工場を誘致している。
 さらに地方政府は企業が国有銀行からローンを安く組めるように取り計らいもする。
 このようなお節介が生産コストを不自然に減少させている。

■中国の経済を脅かす時限爆弾

 企業が負債を抱えながらそれを返済しなければいけなくなってしまったことが原因で、生産能力の過剰は中国の経済を脅かす時限爆弾となり果ててしまった。
★.2014年の時点で鉄鋼関連企業は合計で4890億ドルもの借金を抱えている。
 経済の減速、
 生産過剰、
 マクロ経済レベルでの負債の増加、
これら3つが組み合わさることで企業閉鎖と不良債権の巨大な波が生まれる可能性がある。

 万が一この爆弾が爆発してしまった場合、その影響は計り知れないだろう。
 中国には日本のような成熟した社会的セーフティー・ネットがないし、アメリカのような政治的安定にも欠けているため、経済の崩壊だけでなく深刻な社会的・政治的大混乱に直面することになるだろう。

 危機を回避するためには習国家主席と政策立案者たちが中国の生産能力過剰問題の抑制に注力しなれければならない。
 やらなければいけないポイントは4つある

1].まず第一に、習国家主席は税金特権を管理する地方政府に対して厳しい規制を設け、政府からの民間企業に対する助成金を全て透明化させるべきである。
 これらを規制すれば、習国家主席も中国という国家をイノベーションとサービス部門主体の経済へと移行していきやすいというものだ。

2].2番目に、習国家主席とその陣営は地方政府から反対の声があがったとしても、倒産企業の破産・清算を許可、いやむしろ推奨すべきである。
 倒産企業の過保護は経営不良と低効率の長期化を助長するだけだ。

■報道の自由を奨励すべき

3].番目に、習国家主席の政府は中国の金融市場の改革を加速させる必要がある。
 国有銀行に独占されている現在の金融制度では、企業は革新することよりもできるだけ大きく成長することに邁進してしまうため、生産能力過剰が起こってしまう。

 国有銀行は企業が大きければ大きいほど政府からの保護を受けられるため、地方政府がバックアップしているスケールの大きいプロジェクトにお金を貸したがる。
 中国は未公開株式、中小企業債券、クラウドファンディングを推奨しなければならないし、地方企業に仕える地方銀行の発展を許可すべきである。
 この分野に関してはアメリカにたくさんの経験と専門知識があるので活用すると良い。

4].4点目に、習国家主席は報道の自由を奨励すべきである。
 なぜならば経済の発展、貧困削減、良きガバナンスの確立には欠かせない要素だからだ。
 報道の自由化によって地方政府の監視及び規則破りの批判が可能となるため習国家主席の改革政策がやりやすくなるし、政府予算や助成プログラムも透明化しやすくなる。

 中国経済が転換点に達したその瞬間、習国家主席のアメリカ訪問と国連持続可能な開発委員会への出席が一度に可能となるだろう。
 習国家主席は無関心でいるのではなく自信を持つべきだ。

(執筆:Shuaihua Wallace Cheng)






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