2015年9月1日火曜日

中国共産党の権力闘争(1):次なるターゲットは「江沢民」か、大義名分は「腐敗防止」?

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 9月3日の抗日軍事パレードまではそこそこだろう。
 しかし、それを過ぎると両者の葛藤は火を噴く可能性がある。
 老人・江沢民がすんなりと今の状況を受け入れるとは思えない。
 今年中には大きな何かがおこりそうな雰囲気がある。


レコードチャイナ 配信日時:2015年9月1日(火) 17時48分
http://www.recordchina.co.jp/a117917.html

江沢民直筆の石碑が消えた?
中国共産党幹部の育成学校、理由を説明―中国メディア

 2015年8月31日、中国の習近平(シー・ジンピン)現国家主席と江沢民(ジアン・ザーミン)元国家主席の間でこの数年間、権力をめぐる派閥闘争が続いていたことは複数のメディアが報じてきたが、このほど、
★.中国共産党幹部育成機関の校門前から江沢民氏の直筆による校名の石碑が撤去された
と報じられた。
 これについて、ロイターの記者が追及している。
 チャイナネットが伝えた。

 党幹部を育成する中国共産党中央党校の校門前に置かれていた問題の石碑は今月、校内に移されたという。
 これについて、英通信社ロイターの記者は同校政法部常務副主任の卓澤淵(ジュオ・ザーユエン)氏に
 「これは江氏に対して尊重に欠ける行為ではないか?」
 「党は江氏に不満を抱いているのでは?」
との質問を投げ掛けた。

 卓氏の回答では、石碑を背景に記念撮影しようとする人が後を絶たず、周囲の交通への影響を懸念して校内に移動したという。
 同校の向かい側は北京市有数の観光地である頤和園の敷地となっているため、付近は交通量が多く、これまでにも交通安全への影響が出ていたという。
 「我々は一貫して江氏を尊重している」
と付け加えた。

 中央党校は1933年に開校し、90年超の歴史を持つ。
 マルクス主義や党理論を学ぶ場所として、これまで6万人以上を輩出している。



サーチナニュース 2015-09-02 17:27
http://news.searchina.net/id/1587425?page=1

中国権力闘争! 
次なるターゲットは「江沢民」か
・・・大義名分は「腐敗防止」

 中国共産党の理論誌「求是」が8月31日発売号で掲載した「党内は特殊党員を許さない」と題する論文が、注目を集めている。
 「特殊党員」とは江沢民元国家主席を指すとの見方が出た。

 掲載論文は冒頭で、習近平総書記の言葉として
 「党は、党紀と国法の制約を受ない、
 党章と組織の上に置かれた特殊党員を、絶対に許さない」
と論じた。

 続けて周永康、薄熙来、郭伯雄、徐才厚、令計划、蘇栄ら、腐敗撲滅運動の対象となり失脚した党や政府・軍の高級幹部の名を挙げた。

 論文は強い論調ではあるが、内容は党内に腐敗や怠慢が蔓延する害を説き、党の体質を浄化することを宣言したものだ。
 これまでにも繰り返されたことであり、政権党としての「決意の表明」と理解できる。

 しかし、第2段落以降でもすべての段落冒頭で
 「党の性質と主旨は、特殊党員を許さない」、
 「党の組織原則は特殊党員を許さない」、
 「党の規律と規則は特殊党員を許さない」、
 「われわれの党は歴代、特殊党員を許さず、特殊党員を途絶してきた」
と、「特殊党員」に対する非難を、極めて目立つ形で繰り返した。

 「特殊党員」への攻撃を執拗に繰り返したことで、同論文が言う「特殊党員」とは、すでに失脚した“大物”ではなく「次なるターゲットを意味する」との見方が出はじめた。
 そして、現在の中国で「異例の特別扱い」の対象になっている代表的人物が江沢民元主席(元共産党総書記)だ。

 江沢民元主席をとする「江派(上海閥)と、胡錦濤前主席を中心とする「団派」は、激しく対立してきた。
 胡錦濤政権発足時に、江沢民元主席は「江派」の後輩を多く、政権中枢に送り込むことに成功。
胡前主席は思うように動きが取れなくなった。

 江沢民元主席は引退後も長年にわたり、強い影響力を行使しつづけた。
 各種行事でも、現職の胡錦濤主席よりも「上」に扱われた。
 2013年には「本人が自分を特別扱いしないよう」申し入れたとされるが、それでも「かなりの程度、特別扱い」されたことに変化はなかった。

 このため、「特殊党員」とは江沢民元主席を指すとの見方が出始めた。
 さらに、中国共産党の理論研究と教育の中心である中央党校の正門外にあった、江元主席の揮毫による巨大な石碑も撤去され、それまでより目立たぬ場所に移された。
 学校側は「多くの人が記念写真を撮影し、交通安全の問題になっていたから」と説明した。



時事通信 9月3日(木)11時3分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150903-00000038-jij-cn

江沢民元国家主席ら出席
=習指導部の「団結」示す―中国

 【北京時事】
 中国の北京で3日開かれた「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70年」記念式典には、江沢民元国家主席(89)や李鵬元首相(86)ら長老も出席した。

 江氏らは、習近平国家主席が主導する「反腐敗闘争」に反発を強めていたとされるが、習主席ら最高指導部・政治局常務委員7人らと共に天安門城楼に登場し、指導部の「団結」を示した。
 式典にはこのほか、胡錦濤前国家主席、朱鎔基元首相、温家宝前首相、曽慶紅元国家副主席らが顔をそろえた。
 李鵬元首相をめぐっては健康悪化説も流れていたが、これを打ち消した。
 江、李両氏らがそろって公の舞台に登場したのは昨年9月末、国慶節(建国記念日)前夜のレセプション以来。 


サーチナニュース 2015-09-07 10:21
http://news.searchina.net/id/1587735?page=1

人民解放軍が「リストラ」実施
・・・ターゲットは陸軍!=香港メディア

 3日に北京で行われた戦勝70周年軍事パレードで、習近平国家主席が中国人民解放軍の人員を30万人削減することを発表したことについて、中国メディア・環球網は6日、
  削減対象の半数以上が士官である
と香港・南華早報が5日に報じたことを伝えた。

 記事は、中国軍が今月中旬に削減の具体的な内容について発表する予定であると消息筋が明かしたことを紹介。
 中国軍制御削減協会理事で元陸軍少将の徐光裕氏が
 「陸軍が今回の削減のおもなターゲットになる。
 なぜなら、その人員規模がすでに空軍と海軍の合計を超えているからだ。
 中国の防御戦略に取ってみれば、正しい道筋だ」
と語ったとした。

 そして、現存する北京、瀋陽、蘭州、成都、済南、南京、広州の
 7大軍区のうち2軍区が削減されれば
 少なくとも17万人の陸軍士官がリストラされる
ことになると説明。
 これが実現したうえで、残った軍区では空軍と海軍から兵力を呼び込んで協力作戦指揮体系の強化を図ることになると解説した。

 記事はさらに、
 10万人にのぼる医療、通信、文化宣伝工作団など非戦闘部隊員も削減の対象
になるほか、すべての削減対象者は十分な補償が得られる予定であるとの情報が出ていることを併せて伝えた。

 中国政府・国防部の報道官は、
 人員削減の主旨が「軍隊の近代化と構造の改善」にあり、2017年末までに完了させる
としている。



レコードチャイナ 配信日時:2015年9月13日(日) 10時18分
http://www.recordchina.co.jp/a118836.html

<書評>中国習政権、2期目は対外融和路線を歩む!
 その理由とは?
『習近平の「反日」作戦―中国「機密文書」に記された危険な野望』相馬勝著

 

タイトルだけを見ると、よくある「過激な“反中”煽り本」と見紛うが、読み進むうちに、綿密な取材に基づいた、中国通ジャーナリストならではの実証的な分析書であることが分かってくる。

 うたい文句の「機密文書」10本のうち「反日」と読めるのは2本だけ。
 その一つ「習近平の日本との戦争に関する重要講話」は、2012年9月の副主席時代、日本政府による尖閣諸島の国有化の直後で反日機運が高まっていた時のもの。
 もう一つの「習近平の日本との戦争に関する重要講話」は13年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝の翌日開かれた軍事委員会指導幹部会での発言。
 いずれも立場上、過激な物言いをせざるを得ない局面でのものである。

 本書には、
 権力を掌握しつつある“皇帝”習近平の政治方針、
 生い立ちと取り巻く人物
が詳述され、世界の政治・経済・軍事面で不気味に台頭する中国を知るのに役に立つ。

 文化大革命(1966~76年)時代に、副首相だった父が批判され、中学生だった自身も、都市の知識青年を農村に送って肉体労働などに就かせる「下放」政策のもとで、洞窟住居での厳しい生活を強いられた。
 今の地位に上り詰めるまでの経緯、習の両親と抗日戦争との関係、人生観などを知ることができる。
 生粋の共産主義者で毛沢東主義者である一面、改革開放も推進する複雑な指導者像も浮かび上がる。

 習近平が推進する「腐敗の撲滅」についても多くのページを割いている。
 習近平の「一般大衆は、ハエもトラもと腐敗分子を退治するのを歓迎していると思う。
 この一点について、完全に民衆の側に立たなければならない」との肉声を紹介した上で、
 「習近平の腐敗撲滅にかける心意気は17年間を過ごした福建省時代に芽生えた」
と指摘。
 民衆の貧しさが半端でなかった寧徳地区の党書記だった1990年に、「21世紀までに貧困地帯を消滅させなければならない」と福建省党委に訴え、問題解決へ支援を求めたエピソードを紹介する。
 こうした中、同地区の幹部たちが公用地を私的に借用し、不法に住宅を建設していたことが発覚、習近平は彼ら全員を処罰した。
 著者は
 「これが習近平の反腐敗闘争の原点であり、いまも当時のように純粋な気持ちで全身全霊をかけて取り組んでいる腐敗撲滅運動は民衆から絶賛されている」
と記述している。

 栗戦書(党中央弁公庁主任)、
 劉亜州(中国国防大政治委員)、
 王岐山(党政治局常務委員・党中央規律検査委書記)、
 劉鶴(党財経指導小組弁公室主任)、
 範長龍(中央軍事委副主席)
といった主要なキーパーソンについて、具体的に取り上げられ参考になる。
 このうち、人民銀行総裁などを務め国際金融界に知己が多い王岐山とは、不遇の青年時代に意気投合した仲。
 最も信頼する兄貴分で、実力や実績も高く評価し、腐敗撲滅の陣頭指揮を任せているという。
 王岐山が北京市長だった時に、ユネスコ北京事務所長として再三会談した評者の友人が、
 「誠実な人柄で子どもの貧困や重症急性呼吸器症候群(SARS)の撲滅に真剣に取り組んでいた」
と語っているから、本当の話なのだろう。

 著者は習近平の政治外交方針について「軍部や党内をはじめとする国内の反日勢力を味方につけるためにも対日強硬論を時々ぶち上げ、尖閣諸島問題では一歩も引かない」と指摘する。その一方で、「中国経済の減速が目立つ中、日本企業の撤退が相次いだり投資が鈍っていることに強い懸念を抱き、2017年からの2期目での指導部運営ではより安定した権力基盤の下、山積する内外の問題への対処のために、国内的には改革路線を堅持しながら対外的には融和路線をとるのではないか」と予想する。

 習近平が浙江省党書記だった時期に、同省と姉妹省県の静岡県知事を務めトップ同士の交流が度々あった石川嘉延氏は
 「習さんはとても協調的で日本との経済文化交流を大事にしていた」
と評者に述懐している。
 習近平は浙江省のほかにも、福建省や上海市など日本企業の進出が活発な地域のトップを務めていた時に交渉に当たった日本企業関係者の多くは「経済発展の重要性をよく分かっている人だった。
 本音は日中経済協力推進だろう」などと語っており、著者の見立てに賛同したい。

 著者は産経新聞外信部記者、次長、香港支局長などを務めたフリージャーナリスト。
 中国の歌姫と言われた妻である彭麗媛の華麗な人脈や「中華民族の復興」「中国夢」「海と陸のシルクロード」「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」などの構想、ゴーストタウン“鬼城”の実態なども書き込まれ、「中国の今」を知る読み物としても興味深い。(評・八牧浩行)

相馬勝著『習近平の「反日」作戦―中国「機密文書」に記された危険な野望』(小学館刊、1500円税別)



レコードチャイナ 配信日時:2015年10月11日(日) 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/a120668.html

中国人民解放軍の30万人削減、
軍内で習近平への不満高まる

 中国の習近平国家主席兼中央軍事委員会主席が9月3日の軍事パレードに先立つ抗日戦争勝利と反ファシスト戦争勝利70周年の記念式典で、中国人民解放軍の30万人削減を発表したことについて、軍内では将校を中心に不満が高まっていることが分かった。
 削減されるのが非軍事部門のほか、給料の高い将校クラスが主で、特に将校の場合、年齢が高いことから再就職が難しいためだ。

 習氏は記念式典で、
 「中華民族は一貫して平和を愛しており、
 発展がどこまで至ろうとも、
 中国は永遠に覇権を唱えないし、永遠に領土を拡張しない。
 中国は今後、軍隊の人員を30万人削減する」
と宣言した。

 しかし、30万人削減については、事前に軍の将校らには伝えられておらず、突然の発表だったために、テレビの生放送を見ていた地方軍区の将校らは顔色を変え、パレード終了後、地方軍区の幹部らは司令官らに食って掛かり、不満を口にしたという。
 
 今回の軍削減について、軍機関紙「解放軍報」は
 「非戦闘部分などを削減して、戦闘力を高めることで、中国の軍事力を増強させて、他の国から攻撃を受けないようにする」
しているが、元陸軍少将の徐光裕・中国軍制御削減協会理事は同紙に対して、
削減の主な対象は陸軍で、
 旧式の歩兵部隊が中心であり、
 現在の地方の7大軍区のうち2大軍区を整理すれば17万人が削減され、
 残った18個師団のうち3個師団約3万人を整理する
というもの。
 
 さらに、これに加えて医療、通信、文化宣言工作団など非戦闘部隊計10万人を加えて、30万人の削減を実現しようというものだ。
 新華社電によると、
 30万人の人件費だけで年間600億元(約1兆2000億円)節減
できるが、これに年間の防衛費の伸びを加えれば、兵器・装備の一層のハイテク化が可能となると報じている。
 
 つまり、今回の削減はていのよい将兵のリストラというわけだ。
 中国では1978年末の改革・開放路線導入以来、
 85年のトウ小平の100万人、
 97年には江氏の50万人、
 2003年の胡氏による20万人
の計3回実施されたが、削減とは名ばかりで、
 国防費は年々二ケタ成長を続け、兵器もハイテク化が進んできた。
 
 北京の外交筋は
 「非戦闘部門のスタッフの場合、一芸がある分、再就職は比較的容易だが、高齢の陸軍将校や兵士は切り捨てられる運命にあるだけに、
 軍内ではクーデターが起こりかねない状況だとの情報もある」
と指摘する。

◆筆者プロフィール:相馬勝
1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。



【輝ける時のあと】


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