2015年9月1日火曜日

崩れゆく中国経済(3):中国製造業に危機到来、ハードランディングの時を迎えているのか?

-
サーチナニュース 2015/09/01(火) 06:02 

中国製造業に危機到来!? 
減速ぶりは明確=中国メディア

 中国メディアの科技新報は28日、中国国家統計局の発表を引用し、2015年7月における工業部門企業利益は前年同月比2.9%減となり、1-7月における国有企業の工業部門利益総額は前年同期比22.1%減となったと伝え、
 「中国製造業はハードランディングの時を迎えてしまったのだろうか
と危機感を示した。

 記事は、15年7月における工業部門企業利益が前年同月比2.9%減となったことに対し、「減少幅は6月より2.6ポイントも拡大した」と指摘。
 さらに、鉱業部門の1-7月の利益総額については前年同期比57.4%減となったと紹介し、工業、鉱業ともに大きく減速していることを示した。

 また、8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が47.1で、77カ月ぶりの低水準となり、不況と判断する目安になる50を6カ月連続で下回ったことを指摘し、
 中国製造業が減速していることは経済指標や業績が明確に示している
と指摘した。

 さらに、中国汽車工業協会のデータとして、中国の7月における乗用車販売台数は前年同月比6.6%減だったことを紹介。
 6月も同3.4%減だったとしたうえで、減少幅が拡大したことを指摘。
 また、韓国の現代自動車は中国市場における7月の販売台数が前年比32%減となり、11年7月以来の低水準に落ち込んだと指摘した。

 また記事は、中国国家発展改革委員会の徐紹史主任が27日、
 「世界経済の成長が予想を下回っており、中国経済も国内外で複数の困難に直面している」
と述べたことを紹介、特に製造業の減速ぶりが明確であることを示し、
 「中国製造業はハードランディングの時を迎えてしまったのだろうか」と危機感を示した。


2015.9.3(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44705

中国が直面する「経済の断絶」のリスク
経済成長の実績は見事だが、将来を保証するものではない
(2015年9月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 影響力のある中国人エコノミスト、デビッド・ダオクイ・リー(李稲葵)氏は次のように論じている。
 「株式市場の急落は問題ではない
 ・・・問題なのは――大きなものではないが、それでも問題ではある――
 中国経済それ自体だ

 筆者はどちらの指摘もその通りだと思うが、1つだけ同意できない点がある。
 これは非常に大きな問題かもしれないと思うのだ。

 市場の混乱は取るに足らない出来事ではない。
★.中国政府が株式市場を支えるために2000億ドルを投じながらも失敗したことや、
★.2015年7月までの1年間で外貨準備高が3150億ドルも減少したこと
はやはり重大だ。
 スケープゴートを探す動きが進んでいることも重要だ。

 これらは資本逃避と政策立案者のパニックを示す指標だ。
 信認について――あるいは、それがないことを――教えてくれるからだ。

 それでもなお、最終的な決め手になるのは経済のパフォーマンスである。
 中国に関する経済の重要な事実は、過去に成し遂げた実績だ。
 中国の購買力平価ベースの国内総生産(GDP)は、米国の3%相当額から約25%相当額に増加した。
 確かに、GDPは生活水準を完璧に計測できる指標ではないが、この値の変化は統計上の作為ではない。
 現場を見ればすぐに分かる。

■中国の成長余地はまだ大きいが・・・

 第2次世界大戦以降に、貴重な天然資源がないのにこのような実績を上げた「大きな(ここでは、都市国家よりも大きいという意味)」経済は、日本、台湾、韓国、およびベトナムだけである。

 それでも、米国との比率で言うなら、今日の中国の人口1人当たりGDPはまだ1980年代半ばの韓国のレベルでしかない。
 韓国の人口1人当たり実質GDPはその後実質ベースで4倍近くに増加し、米国のほぼ70%の水準に達している。

 もし中国が韓国と同じくらい豊かな国になったら、その経済規模は米国と欧州を合わせたものよりも大きくなる。

 以上は長期的な楽観論を支持する議論だが、これに異を唱える見方もある。
 「過去の実績は将来のパフォーマンスを保証するものではない」
というただし書きがそれにあたる。
★.経済成長率は通常、世界平均に回帰する。
 もし中国がキャッチアップ時代の高成長率を次の世代も続けたら、それは極端な例外となるだろう。

★.新興国では、経済成長が「断絶(discontinuity)」と称される急激な変化に見舞われることが多い。
 だが、中国の政策立案者が言う
 「新常態(ニューノーマル)」それ自体は、そういう意味での断絶ではない。
 中国当局は、年率10%の経済成長から、まだ速い同7%の成長へのスムーズな減速を自分たちが差配してきたと考えている。

 では、これ以上の減速はあり得るのだろうか。
 また、それ以上に重要なことだが、この「断絶」は1990年代後半に危機を迎えた韓国で見られたような一時的な中断なのか、それとも1980年代のブラジルや1990年代の日本で見られたような長期的なものなのだろうか。

■断絶の可能性を示唆する3つの理由

 中国の経済成長が断絶に見舞われるかもしれないと思われる理由は、少なくとも3つある。
1].現在の成長パターンは持続不可能であること、
2].過剰債務が巨額であること、
3].そしてこれらの難題に手を付ければ需要急減のリスクが生じること、
という3点だ。

 中国の現在の経済成長パターンにおいて最も重要な事実は、需要と供給の出所を投資に依存していることだ。
 この国では2011年以降、全要素生産性(1単位の投入に対する産出の変化を計測した指標)の成長への寄与がゼロに近くなっており、追加的なGDPを生み出すのは追加的な資本だけになっている。

 また、投資のリターンが急低下する中、限界資本産出率(ICOR、経済成長への投資の貢献を測る指標*1)が急上昇している。

*1=ICORは値が小さいほど投資の効率が高い

 国際通貨基金(IMF)は次のように論評している。
 「改革を行わなければ、経済成長率は緩やかに低下して5%前後になるだろうし、債務も急増するだろう」。
 しかし、そんな状況は持続し得ない。
 債務がすでに高水準に達しているとなれば特にそうだ。

 そのため、広義の信用残高の指標である「社会融資総量(TSF)」は、2008年のGDP比120%から2014年の同193%に急上昇した。

 中国政府はこの過剰債務なら管理できる。
 しかし、これが再度積み上がっていく事態は防がねばならない。
 借金頼みの投資は減らしていかなければならない。

 投資が今後しぼんでいく理由は過剰債務だけではない。
 ブリュッセルに本部を構える欧州政策研究所(CEPS)のダニエル・グロス氏によれば、中国のICORは爆発的に上昇している。
 特に目を引くのは、米国の水準をすでにはるかに上回っていることだ。

 もしこのICORが現在の水準で単に安定するにとどまるなら、そして経済が約6%のペースで成長するなら、GDPに占める投資の割合は約10%低下しなければならない。
 もしそれが急に起これば、需要が急減して景気が悪化することになろう。

■持続不能な経路から抜け出す難しさ

 改革によって、GDPに占める投資の割合が35%になる(つまり、2000年代初めの水準に単に戻す)のが望ましいが、このレベルに急激に引き下げてしまったら、国内需要も今日の水準から急減してしまうだろう。

 中国の経済成長はすでに政府が認める以上に減速している、と思っている人は多い。
 しかし、経済成長率の予想が低下したり投資のリターンの不確実性が増したりすればするほど、投資の実施を延期することは合理的になっていく。
 その結果、経済成長はさらに減速することになる。
 断絶の議論のキモは、持続不可能な経路からスムーズに抜け出すことは容易でないということだ。

 中国には、経済が今日の大方の予想よりも急激に減速するリスクがある。
 中国政府は、世界または国内の不均衡を悪化させない対応策をひねり出さねばならない。
 恐らく最善のアプローチは、改革を継続する一方で消費者がもっとお金を使えるように努めるとともに、公的セクターによる消費と環境改善を目指した投資を増やすというものだろう。
 そのような対応策なら、中国のニーズにぴったり合致する。

■中国経済の難問の解決が世界経済を形作る

 中国の経済成長が断絶する可能性は、ここ数十年で最も高くなっている。
 このような断絶は短期間では終わらないかもしれないし、政策立案者は大変な苦難に直面することになる。
 減速していく経済を破綻させずにリエンジニアリング(抜本的な再構築)をしなければならないのだ。

 しかも、この難題は技術的に難しいばかりではない。
 技術的な難しさが中心であるわけでもない。
 市場主導の経済と、ますます進む政治権力の集中とは果たして両立するのか、という大きな問題が控えているのだ。
 中国経済の次の段階は難問だ。
 そして、それを解くことが世界を形作ることになるだろう。

By Martin Wolf
© The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.



JB Press 2015.09.04(金) 藤 和彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44709

中国の「QT」が引き起こす世界の金融バブル崩壊
原油市場が「強気相場入り」? 
しかし結果は三日天下に

 8月31日までの3営業日で27%上昇した原油相場は9月1日に約8%下落した。
 変動率はここ7カ月で最大である。
 その様子を9月2日付ブルームバーグは「原油市場、バンジージャンプのロープのように再び下落」と伝えている。

 8月31日、原油価格は3営業日で1カ月分の下落分を取り戻した。
 3営業日の上昇率は過去25年で最大を記録したため、6年ぶりの安値を付けてから1週間経たないうちに「強気相場入りした」との見方が市場で出ていた。

 急騰の要因は、
(1):OPECが将来の減産の可能性を示唆したこと、
(2):米国政府が原油生産量が減少し始めたことを認めたこと、
であった。

■減産に踏み切る可能性は薄いOPEC

 OPECの動向から見てみると、8月の月報で
 「OPECは適正かつ妥当な価格達成に向け原油輸出国と協議する用意がある」
と表明したのは事実である。
 しかし、
 「非加盟国が減産に応じない限り、減産による価格押し下げは実施しない」
といういつもの条件を付けている。
 この声明はOPECが以前から主張していることであり、なんら目新しいものではない。

 9月1日付ブルームバーグによれば、8月のOPEC加盟国の原油生産量は前月比日量10.8万バレル増の同3231.6万バレルとなったようだ(9月2日付ロイターは「イラク要因で8月のOPEC原油生産量は日量3171万バレルに減少した」と報じている)。
 加盟国の中で最も生産量が増加したのはアラブ首長国連邦(15万バレル増の295万バレル)である。

 イランは同国の核開発に対する追加制裁が科された2012年7月以降の最高水準となった(前月比5万バレル増の290万バレル)。
 中旬まで減産傾向にあったイラクも0.5万バレル増の430万バレルで、1989年以降の月間生産量の過去最高水準に近づいた。

 一方、サウジアラビアは日量7万バレル減の1050万バレルで、2カ月連続で原油生産を減少させた。
 予算繰りが厳しい中で今後も減産を続けることができるだろうか。

 9月1日、イラン石油相は「OPECは他の産油国と調整して生産水準を決定する必要はない」との見解を示した。
 このように、OPECが一致団結して事態収拾に乗り出す雰囲気は醸成されておらず、懸案となっているOPECの緊急会合の開催の目途も立っていない。
 9月3日付ブルームバーグによれば、OPECは現在長期戦略報告書を作成中だが、その中に価格見通しを盛り込むことを主張しているイランに対し、サウジアラビアは除くよう強く求めており、調整が難航している。

 OPEC非加盟国の側も、OPECとともに減産に踏み切ると考えはないようだ。
 9月1日にロシア副首相は
 「政府として原油価格下支えのために減産するつもりはない」
と発言した。

 ロシアでは、国内2位の石油会社ルクオイルの第2四半期の利益が原油安で10億ドルと前年比58%減少し、今年第2四半期のGDP成長率が前年比4.6%減となった。
 ロシアにとっても減産する余裕はまったくない。

 このような情勢を反映して、ペルシャ湾岸のOPEC加盟国関係者は「原油価格は年内1バレル=40~50ドルにとどまる」との見通しを示している(8月31日付ロイター)。

■原油安でも増産する米国のシェール企業

 次に米国の原油生産だが、米エネルギー省によれば、6月の生産量は日量930万バレルをわずかに下回り、生産量のピークだった4月に比べて3%減少した。

 その中で、南部テキサス州の原油生産量が過去の推計から引き下げたため、
 「リグ稼働数の増加基調は終わりつつあり、シェールオイル企業の淘汰の圧力が高まっている」
との懸念が生じている。
 (ただしこの結果は、米エネルギー省が原油生産の算定方法を“州当局のデータ”から“主要各州のシェール企業からのヒアリング結果”を基に推計するやり方に変更したことにより生じたものであり、市場関係者の間では「米エネルギー省の新データを完全に信頼するのは時期尚早である」との声も上がっている。)

 一方、稼動している石油掘削リグ数は6週連続で増加している。
 米石油サービス大手のベーカーヒューズによれば、8月28日までの1週間の米国内石油掘削リグ稼働数は前週比で1基増の675基となり、5月上旬以来の高水準となった。

 シェール企業58社は過去1年間に設備投資を217億ドル削減したにもかかわらず生産量は19%増加し(8月27日付ブルームバーグ)市場の需給が悪化させる要因となっている。
 原油安でもシェール企業が増産する背景には、株主がリターンより増産を選好しているという事情がある。

 シェール企業の多くは、金融機関から前払いで現金を受け取る見返りに将来生産する石油やガスを現物で支払うという契約を結んでいる。
 そのため、原油価格等の下落で生産物の価値が下がれば、借金の返済のために赤字覚悟の生産の増加をますます迫られる。
 増産しない限り、シェール企業は借金の返済ができなくなり、会社が倒産することから、株主はやむなく増産を支持しているのだろう。

 ウオール街はリーマン・ショック後からシェール革命の最大の支援者だった。
 だが、銀行監督当局がシェール企業への融資に関連するリスクについて警告を発しているため、融資返済に向け圧力を強めつつある。
 生産物の価値に基づく与信枠が10月までに縮小されれば、シェール企業は資金繰りに窮する事態に追い込まれるだろう(7月21日付ブルームバーグ)。

■生産減少が始まるのはいつのことに?

 8月27日の原油価格急騰に話を戻すと、「ショート・カバー・ラリー」というテクニカルな要因も絡んでいたようだ(9月1日付日本経済新聞電子版)。

 ショート・カバー・ラリーとはこれまで空売りに走っていた投機家たちが大挙して買い戻しに走る現象を指す。
 原油先物を売っていた投資家たちは「売られ過ぎではないか」と神経質になっていたため、ポジテイブなデータには何でも反応する状態になっていた(8月28日付ブルームバーグ)。
 その矢先に「OPECがすべての原油生産者と話し合う用意あり」などの情報が流れたために、今度は一転して「買われ過ぎ」の状態になったようだ。
 ショートカバーで急騰しただけで、供給過剰というファンダメンタルズがなんら変わっていないため、その後の買いは続かなかった。

 9月1日のニューヨーク原油市場では、OPECが他の産油国と生産抑制で協調するとの期待が薄れ、2カ月ぶりの大幅安となった。「強気相場」は文字通り「三日天下」に終わった。

 米原油在庫の増加見通しも下落要因となったが、世界の原油市場には原油価格の命運を左右できるかつてのサウジアラビアのような調整役が存在しない現在、「1バレル=30ドルを割り込むまで、生産が減少することはない」(米シテイ)のだろうか。

■原油価格を引き下げる人民銀行の「QT」

 8月27日からの原油価格急騰は、米国の第2四半期のGDP成長率の改定値が3.7%と市場予想を上回ったことがきっかけだった。
 そのことが示すように、持続的な原油価格の回復には、世界経済の勢いを取り戻すしかない。

 しかし、リーマン・ショック後の救世主だった中国政府がリセッション回避に失敗すれば、世界全体が景気後退に陥り、原油価格の下値が見えない状態になってしまう。

 9月1日に中国国家統計局が発表した8月の製造業購買担当者指数(PMI)は3年ぶりの低水準だった。
 それをきっかけに世界の株式市場は「2段下げ」の様相を呈してきている。
 世界の金融市場は中国経済の減速以上に動揺している感が強い。

 景気対策の一環として政府が8月に実施した人民元の切り下げは、資本流出の拡大を招いてしまった。
 人民銀行は人民元急落を阻止するための人民元買い・ドル売り介入を余儀なくされ、これにより国内の金融市場で流動性が低下し、経済成長の足を引っ張る事態が生じている。

 この事態を打開するため、人民銀行は8月25日に銀行融資拡大のための預金準備率の引き下げを実施した。
 だが、意図に反してさらなる資本流出を招いてしまい、人民銀行はさらなる為替介入に追い込まれる。
 そしてまたもや流動性不足に直面し、資本流出が加速するという悪循環に陥っている。

 途方に暮れた人民銀行は人民元の取引自由化に完全に逆行する措置を講じ始めている。
 資本流出の温床となっている為替予約を実質的に封じ込めるために、10月15日から顧客が元売り・外貨買いの為替予約を結ぶ場合、銀行は残高の20%を「危険準備金」として人民銀行に預けさせることを決定した(9月2日付日本経済新聞)。

 こうして中国政府はなりふりかまわず資本流出防止策を実施しているが、この動きが世界の金融市場全体にまで「量的引き締め」という深刻な副作用を生じさせるとの懸念が高まっている(8月28日付ブルームバーグ)。

 中国は2003年以降、人民元の上昇を抑制するため元売り・ドル買いを前例のない規模で行い、10年間で約4兆ドルの外貨準備を積み上げた。
 資産の内訳は米国債が中心だったが、その後、中国経済が減速に転じ資本流出が生じたため、今年7月には外貨準備が前年比5000億ドル超も減少した。
 さらに8月には、人民元の切り下げなどの影響もあって最大2000億ドルの資本が流出したと言われている。

 人民元防衛に動けば人民銀行は保有する海外債券を市場に放出することになるが、これにより世界の金融市場から流動性が失われることになる。
 リーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)が米国債などの資産を購入して世界の金融市場に流動性を供給した「QE」(Quantitative easing:量的金融緩和政策)が、
 現在の人民銀行はその逆に当たる「QT」(Quantitative tightening:量的金融引き締め政策)を実施し始めているというわけである。

 米国のQEの規模は3期にわたり、合計3.9兆ドルの資金が世界の金融市場に放出された。
 4兆ドルの外貨準備を保有していた人民銀行がQTを実施し続ければ、米国のQE以上の資金が世界の金融市場から吸い上げられ、世界の市場関係者のリスク志向は萎えてしまう。
 世界のリスク資産は総崩れだろう。

 中でもFRBのQE開始とともに上昇を始めた原油価格は、人民銀行のQTにより2003年以前の原油価格(1バレル=20ドル前後)に下落するのではないだろうか。

■シェール企業関連債券が大地震を引き起こす?

 米国で投資家は5週連続でジャンク債の投資信託から資金を引き揚げている。
 中国のQTによる最初の犠牲者はシェール企業かもしれない。

 シェール企業への逆風はまだある。
 かねてより環境保護団体が、シェール企業が原油の採取に用いる「水圧破砕法」に対して地震発生につながると警鐘を鳴らしていたが、8月27日、カナダ西部ブリテイッシュコロンビア州当局は2014年8月に観測されたマグニチュード4.4の地震はシェールガスの採掘によって引き起こされたとの見解を示した(水圧破砕法による地震としては世界最大級)。

 水圧破砕法は欧州の一部諸国では禁じられている。
 今後、北米地域での生産活動にも悪影響が出るかもしれない。

 シェール企業と地震は縁があるようだが、中国発のQTにより、世界の金融市場でシェール企業関連債券が大地震を起こさないと言い切れるだろうか。




【輝ける時のあと】


_